和歌山市は、近隣の和歌山県海南市、紀美野町を含む、分娩(ぶんべん)施設の空き状況を把握し、通常分娩の妊婦に身近なかかりつけ医を紹介する「周産期情報センター」の運用を始めた。お産が集中する和歌山県立医大付属病院(和歌山市)で緊急性の高い患者を受け入れられなくなる事態を避けるためで、地域の医療機関の役割分担を明確にし、互いの長所を生かす取り組み。お産に関する医療機関の情報を一元的に管理する仕組みは全国初という。
和歌山市によると、この3市町では、医師の産科離れが進み、97年度以降、分娩施設が半分以下の12施設まで減少。このため、05年度に361だった県立医大付属病院の分娩数が07年度は566に達した。
奈良県で06年8月、出産中だった女性が転送先の病院で死亡した事例もあり、和歌山市は同医大に委託し、妊婦健診や分娩ができる3市町の全病院・診療所などでつくる協議会を設立。今年3月に同センターを設置した。分娩施設の予約状況を週2回更新しており、妊婦やその家族から毎月10~20件の問い合わせがあるという。
和歌山市の大橋建一市長は「健診は近くの診療所で、お産は総合病院で」と呼びかけている。【山下貴史】
毎日新聞 2008年9月2日 11時44分