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記者のひとりごと:「ナショナリズム」の魔力 /東京

 軽い虚脱感で9月を迎えた。理由は分かっている。五輪が終わったからだ。

 特段スポーツが好きなわけではない。学生時代にラグビーをかじったがそれっきり。周囲がサッカーのW杯で騒ごうと、野球のペナントレースがどうなろうと、どこ吹く風だった。

 しかし五輪だけは例外だ。時間が許せばテレビにかじりつき、結果に一喜一憂してしまう。何が違うのかと問われれば、それは一体感。言い換えれば「ナショナリズム」の魔力に取り付かれてしまうのだ。

 普段はなるべく、ナショナルなものから距離を置こうと努めている。ジャーナリズムという職業上の要請でもあるし、戦争体験者への取材を通じて培った信条でもある。ただ五輪期間中は抗しきれなくなる。心の奥底に沈めていた何かが首をもたげ、「がんばれニッポン」を叫んでしまう。

 熱狂と一体感に身を委ねるのは心地いい。それを4年に1度の「ガス抜き」と考えるか。もっと警戒すべきなのか。難問だ。【川崎桂吾】

毎日新聞 2008年9月2日 地方版

 
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