2007年5月頃、サービスの存在がアメックスの公式サイトから削除され、その後の存続が危ぶまれていましたが、去る2007年12月31日を持ってサービスが終了となりました。
高い人気を誇る有名なサービスだったので、サービス終了は残念極まりないのですが、いずれ無くなったものは仕方ありません。「アメックス定食」とは、どんなレストランで、どんなメニューが提供されていたのかの参考までにこのエントリーをご覧下さい。
■サービスの概要
無料メニュー提供の対象となるのは「アメリカン・エキスプレスが発行する全アメックスカード」でした。つまり緑アメックス〜センチュリオン、提携系ではオークラアメックスなどが対象になり、セゾン・アメックスは対象外。これに加えて当日の搭乗券が必要でした。
サービスを提供してくれていたレストランは羽田空港第1ターミナル内のカフェ「ル・シエール」と、蕎麦と丼ものが中心の和食レストラン「新大和」の2軒です。
この2軒は第1ターミナルショッピングモール内、出発ロビーフロア(2階)内に隣接していて、店の前でどちらに入ろうか決めることができます。ご覧の通り外観にも共通するところがあるので、経営母体は同じなのかもしれません。
「金銭換算可能なサービスをどの程度受けられるか」を尺度にカードの年会費の妥当性を考える場合、アメリカン・エキスプレス・ゴールド・カードだけではなく、アメリカン・エキスプレス・カード(いわゆる緑アメックス)も含めたすべてのプロパーカードにこのサービスを提供しているアメリカン・エキスプレスは大変オトクなカードだったと言えるでしょう。
年間利用回数の制限もないので、羽田空港を頻繁に利用する人ならば、飲食を「ル・シエール」と「新大和」に集中させれば、年会費をペイして余りあるサービスを受けることができます。
羽田空港ベースで修行搭乗をしている方なら、アメリカン・エキスプレスに入会することで修行中の食費支出を0円にすることさえも現実的でした。
さりながらこの種の「無料飲食メニュー」特典は羽田空港のみでの提供だったため、住んでいる地域によって利用できる人とできない人が生じてしまうため、サービスとして不十分な部分があったのかもしれません。
より多くの人が利用できる「平等な」サービス、T&Eカードたるアメックスらしさを表現するサービスとするためには、現在の羽田以外に、最低でも成田、伊丹、関空辺りでも同等のサービスを提供して欲しいようにも思ったものでしたが、結局サービスそのものがまるっとなくなってしまいました。
■ル・シエール
AMEXのサイトによると、入店時にカードと搭乗券の提示が必要との事でしたが、アメックス会員であることを告げるだけでOKで、カードは退店時まで提示を求められませんでした。搭乗券は殆どの場合提示を求められませんでしたが、アメックスのサイトからサービスの委細が削除された頃から搭乗券の提示を求める店員さんが現れ始めました。通常時間帯はAmex会員特別メニューが用意されていたらしいのですが、俺がよく利用していたモーニングメニューの時間帯には専用メニューはなく、通常のメニューの中から任意の一品を選ぶというシステムになっていました。
また、非常に印象的だったのは会計の際のカードの取り扱い。
目視するだけか、またはCATで確認するのかと思いきや、やおらインプリンタを通してカード番号の控えを取られました。5年以上前にブラジルの奥にでかけた時にも見かけることが無かったインプリンタが、まさか日本国内、しかも第一種空港内の店舗で出てくるとは思いませんでした。
ところでこのル・シエール。2007年現在の情報ですが、とても広大な喫煙席が用意されていました。日を追うごとに愛煙家の方への圧力が高まっている昨今ですが、もし今もあの規模の喫煙席が残っているとしたら、これは愛煙家の方にとっては見逃せない特徴かも知れません。
■新大和
ル・シエール同様、新大和も入店時にカードと搭乗券を求められることはなく、決済時の提示でOKでした。モーニングメニューでは一般メニューを頂けるというのもル・シエール同様です。ル・シエールほど広くありませんが喫煙席も用意されています。Amex会員特別メニューの会計処理がインプリンタで行われるのもル・シエールと同様でした。
■ル・シエールのAmex会員特別メニュー
スクランブルエッグセット(通常1,000円(税込))
パンx2、スクランブルエッグ、ウィンナー、ベーコン、フライドポテト、フルーツヨーグルト、ブロッコリーにコーヒーが付いてきます。早朝に頂く朝食としては、俺にとっては必要十分という感じでしょうか。完食しても腹がくちくなることもなく、ほどよい満腹感が得られました。なお、ル・シエール朝食メニューのホットコーヒーはおかわり自由でした。メニューには明記されていませんが、紅茶などに変更をお願いすることもできるようでした。
フライドエッグセット(通常1,000円(税込))
スクランブルエッグセットのスクランブルエッグが目玉焼きx2に置き換えられたメニューです。その他の違いは一切ないみたいなので、単純に好みの玉子の調理法で選べばよいと思います。(一般論として)同じ量の玉子で目玉焼きとスクランブルエッグを作ると、なぜか目玉焼きの方がボリュームが多く感じられますが、このメニューにも同じ事が言えます。スクランブルエッグセットより腹持ちが良く感じられました。
朝ごはんセット(通常1,000円(税込))
ゆかりがまぶされたご飯、目玉焼きx2、ウィンナーx2、フライドポテト、サラダのプレートにコーヒーが付いてきます。お味はビジネスホテルの一般的な朝食レベル。普段米を食べない俺にとってはボリュームは満点以上。おかげでこの後のフライトではすっかり熟睡してしまいました。強いて文句を付けるなら、玉子に火が通り過ぎていたことと、ソースが多すぎということくらいでしょうか。甘いソースがご飯に染みてしまうのもどうかと思いますので、ソースは別添えの方が良いように思います。
ヘルシーブレックファースト(通常1,000円(税込))
パンx2、野菜サラダ、ミネストローネ、コーヒーのセットです。野菜サラダのドレッシングはフレンチドレッシングと和風ドレッシングからどちらか好みの味を選べるそうです。俺的には一番のヒット。朝イチに頂くにはこれくらいがピッタリのように思います。ただし内容が内容なので、寒い時期にはちょっと辛そうですね……。サラダの中身にもう少し緑黄色野菜が増えればさらに可といったところでしょうか。ミックスサンドイッチセット(通常980円(税込))
ハム&チーズ、ポテトサラダ、ツナサラダ、玉子サラダ、ビーフハムのサンドイッチにピクルスとパセリが添えられています。↑だけ読むと結構な量を期待するかもしれませんが、一つ一つが上品な大きさなので、ボリュームとしては控えめです。隣に座ったカップルさんは「この後機内食を食べなくてはならないから……」と、このセットにドリンク単品を加えてオーダーし、サンドイッチを二人でシェアしていました。これ単体で朝食にするよりは、このカップルさんのようにちょっと小腹を満たしたいときに良さそうです。トーストセット(通常580円(税込))
トーストx2、バター、ブルーベリージャム、ストロベリージャム、はちみつ、コーヒー、以上! とてもシンプルなトーストのセットです。見え面はちょっと殺風景に思えてしまうくらいですよね。トーストのパンはきわめて和風な座布団系のふかふかなものではなく、しっかりとした食感の、ホテルの朝食で見かけるタイプのパンです。なので見た目はちょっと小さめでも、しっかりお腹に溜まります。俺的に嬉しかったのははちみつが添えられていたこと。他にもバター、ジャム……。2枚のトーストでは使い切れないくらい付いてきます。
欧風ビーフカレー(通常950円(税込))
名前のとおり、もうそのまんまビーフカレーです。回しかけられた生クリームが高級感を演出しています。お味はいわゆる「レストランのビーフカレー」。誰もがイメージするであろう欧風カレーそのままの、非常に安心感のあるお品です。肉も大きく、見た目もお腹も満足度が高いと思います。唯一残念なのはここまで紹介したメニュー中、唯一ドリンクがセットされていないことでしょう。やはり食後の一杯はゆったりと頂きたいものですから……。あと言い忘れていました。福神漬が添えられています。
■新大和のAmex会員特別メニュー
和朝食(通常1,000円(税込))
ご飯、おみそ汁、白身魚の西京漬、がんも、ひじき、温泉玉子、お漬け物、梅干し、たらこ、海苔の定食です。がんもやひじき、たらこ辺りは日によって違う食材が添えられるかも知れません。魚は予め焼かれているらしく、冷えているのが残念かもしれませんが、あっという間に出てくるので、朝急いでいる時には重宝するかもしれません。あと、俺は試しませんでしたがどうやらご飯はおかわり自由だったらしく、大食漢の人にとってはこれは見逃せないポイントでしょうか。
お粥(通常950円(税込))
お粥、おみそ汁、塩鮭(鱒?)、がんも、ひじき、温泉玉子、お漬け物、梅干し、たらこ、海苔の佃煮の定食です。白米と押麦のお粥は味付けされておらず、鰹だしのあんがかけられています。これと海苔の佃煮で味を調えながらいただくのですが、俺にはちょっと薄味過ぎました。朝食としてのボリュームは俺にとって最適。程よく満腹になり、しかも腹がくちくなる程でもなく、まさに必要十分を突いてくれる感じです。ということは普通の男性には少し物足りないかも知れません。
山掛けセット(通常850円(税込))
きつねそば(またはうどん)、ごはん、とろろ、お漬け物のセットです。麺類のおつゆは関東系と関西系の中間という感じでしょうか。少し甘めです。新大和の モーニングメニューの中で、このメニューだけは開店直後は頂くことができず。7:00以降からの提供開始となるようです。炭水化物meets炭水化物。とても腹持ちが良い組み合わせと言えるでしょう。これでも足りない腹ぺこさんは是非ご飯をお代わりしてください。
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