毎日新聞社刊「国会は死んだのか?再生への大胆な提言」という本の中に「廊下トンビ」の話が出てくる。(以下引用抜粋)
「廊下トンビ」って何?
これは、永田町の業界用語で、文字通り国会の長い廊下を行ったり来たり、トンビのように獲物を見つけるとさっと降りて、油揚げならぬ国会情報をかっさらっていく。その一群の人の総称として使っている。
廊下トンビといっても2種類ある。記者トンビ族と、政府委員室の役人トンビ族である。
仕事は似ている。国会の中で活動する政治家について回り、各党の国会運営に対する考え方、方針を取材し、ある程度の見通しがついた段階で情報として本国(記者の場合は上司のキャップ、役人の場合は所属する省庁の政府委員室または本省文書課)にそのエッセンスを報告することだ。
しかし、やってみてわかるのは役所によってトンビたちの熱意が全く違うことである。量、質ともに最もレベルの高い優れたトンビ族を擁しているのが大蔵省(現在の財務省)。情報の精度が全く違う。
なぜ大蔵だけがこんなに強いのか?
それは予算委員会を抱えているからだ。予算委員会は数ある常任委員会の中でもグレードが違う。総括質疑では全閣僚が出席が慣例で、テレビ中継もはいり、先生方もはりきっている。予算審議が進まないと国政が停滞するという政治的要請もある。
国会対策の根回しで、55年体制下における与野党の情報をきっちり持っていたのは、大蔵省政府委員室だけだった。情報の宝庫と言われた自民党国対を上回っていた。
いろいろ聞いていくと、トンビたちの間で語り継がれる超大物トンビがいた。大蔵省政府委員室に詰めること34年、室長を務めた後は、東北財務局長に就任、民間銀行に天下った二宮学氏がその人だ。国会内で「おじさん」という愛称で親しまれ、「政治家と貸し借りができる人物」と呼ばれた。
二宮氏の情報ネットで大蔵省は国会対策上いくつかの障害を乗り越えてきた。それだけに二宮氏を大事にし、最後は地方機関であるが、財務局長というノンキャリアにすれば最高度の処遇をし、その労に報いてきた。
若手トンビたちの一つの目標はこの二宮氏らしい。
(以上引用抜粋)
大蔵省の情報の質の高さは、手嶋さんの「ウルトラ・ダラー」という本の中にでてくる「インテリジェンス」(=知性で彫琢された情報)と「インフォメーション」(=単なる情報)との違いの話に通じるのだろう。
さて、ここに出てくる二宮氏が、本日をもって、佐賀共栄銀行を退任される二宮学特別顧問のことだ。失われた10年という金融機関にとってはいちばん厳しい時代に、共栄銀行の頭取として難しい舵取りをなされてきた。
この本を読んだとき、佐賀にもこんなに凄い人がいるのだと思った。大変気さくな方で、何回かお食事にも連れて行ってくださった。「大きくなりなさい」と言って頂いた。
佐賀では単身赴任をされていたが、これを機に、東京に、奥さまのもとに戻られるという。二宮さんがその秘訣を教えてくれた。
1、黒子に徹する
2、誠心誠意
3、嘘はつかない
4、飛んでくる玉には数多くあたれ
5、先輩を立てろ
特に、飛んでくる玉には数多く当たれが面白かった。飛んでくる玉に当たることによって、痛いか、痛くないか、どれだけ痛いか体が覚える。それによってノウハウが身につくと。飛んでくる玉からどうやって逃げようかとどうしても考えがちだが、進んで当たってやろうと思えば、気も楽になる。
「廊下トンビ」って何?
これは、永田町の業界用語で、文字通り国会の長い廊下を行ったり来たり、トンビのように獲物を見つけるとさっと降りて、油揚げならぬ国会情報をかっさらっていく。その一群の人の総称として使っている。
廊下トンビといっても2種類ある。記者トンビ族と、政府委員室の役人トンビ族である。
仕事は似ている。国会の中で活動する政治家について回り、各党の国会運営に対する考え方、方針を取材し、ある程度の見通しがついた段階で情報として本国(記者の場合は上司のキャップ、役人の場合は所属する省庁の政府委員室または本省文書課)にそのエッセンスを報告することだ。
しかし、やってみてわかるのは役所によってトンビたちの熱意が全く違うことである。量、質ともに最もレベルの高い優れたトンビ族を擁しているのが大蔵省(現在の財務省)。情報の精度が全く違う。
なぜ大蔵だけがこんなに強いのか?
それは予算委員会を抱えているからだ。予算委員会は数ある常任委員会の中でもグレードが違う。総括質疑では全閣僚が出席が慣例で、テレビ中継もはいり、先生方もはりきっている。予算審議が進まないと国政が停滞するという政治的要請もある。
国会対策の根回しで、55年体制下における与野党の情報をきっちり持っていたのは、大蔵省政府委員室だけだった。情報の宝庫と言われた自民党国対を上回っていた。
いろいろ聞いていくと、トンビたちの間で語り継がれる超大物トンビがいた。大蔵省政府委員室に詰めること34年、室長を務めた後は、東北財務局長に就任、民間銀行に天下った二宮学氏がその人だ。国会内で「おじさん」という愛称で親しまれ、「政治家と貸し借りができる人物」と呼ばれた。
二宮氏の情報ネットで大蔵省は国会対策上いくつかの障害を乗り越えてきた。それだけに二宮氏を大事にし、最後は地方機関であるが、財務局長というノンキャリアにすれば最高度の処遇をし、その労に報いてきた。
若手トンビたちの一つの目標はこの二宮氏らしい。
(以上引用抜粋)
大蔵省の情報の質の高さは、手嶋さんの「ウルトラ・ダラー」という本の中にでてくる「インテリジェンス」(=知性で彫琢された情報)と「インフォメーション」(=単なる情報)との違いの話に通じるのだろう。
さて、ここに出てくる二宮氏が、本日をもって、佐賀共栄銀行を退任される二宮学特別顧問のことだ。失われた10年という金融機関にとってはいちばん厳しい時代に、共栄銀行の頭取として難しい舵取りをなされてきた。
この本を読んだとき、佐賀にもこんなに凄い人がいるのだと思った。大変気さくな方で、何回かお食事にも連れて行ってくださった。「大きくなりなさい」と言って頂いた。
佐賀では単身赴任をされていたが、これを機に、東京に、奥さまのもとに戻られるという。二宮さんがその秘訣を教えてくれた。
1、黒子に徹する
2、誠心誠意
3、嘘はつかない
4、飛んでくる玉には数多くあたれ
5、先輩を立てろ
特に、飛んでくる玉には数多く当たれが面白かった。飛んでくる玉に当たることによって、痛いか、痛くないか、どれだけ痛いか体が覚える。それによってノウハウが身につくと。飛んでくる玉からどうやって逃げようかとどうしても考えがちだが、進んで当たってやろうと思えば、気も楽になる。