全公立小中学校の校庭を芝生化する。街路樹を百万本に倍増させる。緑のネットワークを形成し、海から街中へ風の道もつくる。都市公園は新たに三百ヘクタール開園する。
こんな大胆な取り組みを始めたのは、東京都です。「緑の東京十年プロジェクト」と銘打ち、本年度に事業がスタートしました。募金や植樹で市民参加も促し、新たに増やす緑の総面積は、サッカー場千五百面分の千ヘクタールにも及ぶ。街づくりへの強い決意が表れています。
他都市でも緑の施策の強化は相次いでいます。背景には、都市部の気温が高くなる「ヒートアイランド」や地球温暖化への対策で、これまで以上に緑が重視されてきたことがあります。
八月二十八日付朝刊に「地域の針路を問う」シリーズで掲載した高梁市出身の宮脇昭・地域環境戦略研究機関国際生態学センター長へのインタビューも、緑の施策の在り方を考えさせられる機会となりました。
土地に適した本来の樹種による本物の森づくりが、宮脇氏の持論です。岡山県などのほとんどの地域は常緑広葉樹が本来の木だが、スギやヒノキといった針葉樹などが植えられ、花粉をまき散らしたり、根が浅くて台風で倒れたりする不都合が起きたといいます。
そうした風倒木や、荒れる里山、手入れ不能になった森林など、地域が直面する課題への対策として、土地本来の木の植樹といった具体策を語られました。
今、きちんとした「緑の戦略」を地域が持たねばなりません。地域計画の主要テーマにも位置付けるべきでしょう。
(東京支社・岡山一郎)