2008年08月22日
■10冊で日本の文字を學ばうとするときに
軽く 10冊 - Google 検索を御覽になっていただくとお察しいただけますとほり、かういふのが一部ではやってゐるのに乘じて、私もこっそりとリストを編んでみます。そもそものことのはじまりは■アニオタが非オタの彼女にアニメ世界を軽く紹介するための10本といふ匿名による日記でしたが、まあ、著想だけいただきませう。——つまり、彼女に、といふのではなくて、まあ、人文系好き非オタクへ向けた、日本の文字を知るためのブックガイド。amazon.co.jpで紹介できて、入手もできさうなものに限定いたしませうかね。
この本を讀んではまる、といふのがないもので、あまり人を唸らせるやうなリストは作れませんが、ひとまづ、一般うけと網羅性を鑑みて總花的に以下のやうなリストを作ってみました。
文字をまづそとがはから眺めてみませうか。筆、紙(・木)、墨。日本の文字は、ここから始まったのです。
萬葉假名のこまかいはなしもありますが、文字がどんなふうに使はれてきたかといふのも考へてみませう。いまがさうであるやうに、それはひととほりではありませんでした。
平假名・片假名が10世紀ごろそのやくわりを定めてきます。佛教學僧はこれらの成立に大きな影響を及しました。そのさまをすこしかひま見ませう*1。
より「文字について」。文字は知識層のものといふわけでもありませんでした。いろはは誰でも讀めた。しかし、いろはが讀めるのは文字が讀めたうちには入らない。この階級性などを網野は早くも指摘してゐました。
さて本書は、先日亡くなった大野晉が組織した、中央公論社の『日本語の世界』シリーズの一冊で、國語學から漢字の問題を整理してゐます。漢字假名交りについての指摘は正鵠を得てゐると思ひます。
早稻田大學の先生が編んだ本で、わりあひにはばひろい年代の文字を500圓で眺めることができます。假名の勉強にもなっておかひ得。
日本にはたてがきしかなかった。では、いま私がかうして書いてもゐる、このよこがきといふのは歴史的にどのやうにして出てきたのか。その紆餘曲折をていねいにたどる一冊です。
訓讀み、訓讀み、訓讀み。問題點からありがたい點から國際比較まで。
文字と印刷にはぬきさしならぬ關係があります。すこしふるいですが、ただしさとまとまりとわかりやすさにおいてこの本がてっとり早い。高校生の時分、これを圖書館で讀み、著者らの屬する研究同人印刷史研究會による『本と活字の歴史事典』(柏書房)を買ってしまったのがその後の運のつき、だったやうな。後悔はしないんですけどね。
これがよい、といふのではないのですが、いろんな文字がいろんなかたちをしてゐるといふことを知るのには、この手の本(書道字典でもよいですが……)はありがたいものです。毎日見てよい字とわるい字の識別眼を養ひませう。
じつはまったく讀んだことのない本やあんまりまぢめに讀んだことのない本がちらほらあって、突っこまれると弱かったりしますが、ひとまづ、こんなもので。
*1:
で補ったはうがよいのではないかとのご意見をいただいてもゐます。沖森著は上代、『日本語の歴史』卷2は中古といふ認識でゐるので、補ふ關係にあるのか、ちょっとわかりません
goriesan 2008/09/03 03:50 岡田一祐を「装った」松葉裕子の書き込み、おつかれでありまーす。岡田君の面子、丸つぶれだろ?