医療界が関心を寄せた訴訟があった。帝王切開を受けた女性が出産後に死亡、医師が逮捕された福島県立大野病院事件。薬剤の誤投与などのミスでなく、最善を尽くした医療行為の結果に刑事責任を問えるか−。判決は無罪、一審で確定した。
ある産科医に言われ、言葉に詰まった。「健康な赤ちゃんを授かるのが当たり前と思ってるでしょ」。世界一安全とされる日本でさえ、年間約五千人の赤ちゃんが亡くなり、約五十人の母親が命を落としている。
県内では昨春、乳児を殺害した母親が逮捕される事件が相次いだ。今夏、白山市では出生直後の男児が置き去りにされた。分かってほしい。非難する前に伝えたい。生命の誕生は奇跡だということを。 (前口憲幸)
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