"ムベンバ効果"をめぐるNHKと大槻義彦(物理学者)の分析視点の比較検討-両者とも説明不足だが-
テーマ:ブログNHKは、バラエティ番組「ためしてガッテン !! 」の中で、"ムベンバ効果"(温水と水を同時に冷却すると、条件によっては、温水の方が早く氷になる場合がある)を採り挙げ、やや、説明不足でしたが、限られた時間内に、視覚に訴えるための極端な映像を放映し、もちろん、番組制作に当たり、北大低温研究センターの研究者が監修しているため、内容は、明らかに誤りということはありませんでしたが、やや、説明不足であったことは否めず、すなわち、物理学の現象からすれば、温水と水を完全に同じ条件で冷却すれば、水の方が早く氷になることは当たり前ですが、容器の幾何形状や冷却環境・冷却速度の相違によっては、温水の方が早く氷になる場合もありえることを系統的に分かりやすく説明していないため、視聴者の中には、いかなる場合にも、そのような現象が起こり、一般的な現象のように錯覚してしまったかもしれず、それに対し、物理学者の大槻義彦は、物理学の理論から、つぎに、実際に、60℃の温水と常温の水を利用して実験してみて、NHKの放映内容の不自然さを批判したものの、大槻の実験では、温水をまな板のように平べったい幾何形状で冷却した場合に限り、水よりも早く氷になったとしており、それもごく普通の物理現象として説明できるとしていますが、北大低温研究センターの研究者は、そのことが"ムベンバ効果"を示唆していると反論しておりましたが("ムベンバ効果"というのは、物理学の新現象ではなく、条件によっては、常識に反するようなことも起こり得ることを示した)、NHKと大槻の両者とも、現象は良く分かっているものの、説明の仕方がやや不十分であったため、溝ができましたが、それも一時的なものであり、大槻もそのことに気付き、徐々に、反論をトーンダウンしています(「朝日新聞」の記事やNHKの放映内容を、その分野の研究者が厳密に検討したならば、不自然、あるいは、間違っていると判断するかもしれませんが、それらの媒体があまり専門的な表現できないことを考慮すれば、分かりやすさを優先し、いくぶん正確さを欠いても、許容できないことではなく、特に、映像で表現することに対しては、小説と映画の比較のように、映像で表現することの難しさを考慮すれば、あまり厳しいことも言えないでしょう)。