収穫を間近に控え、本来は用水路の水をせき止めて田の地面を乾かす時期を迎えている富山市石田の水田で、せき止め用の板を抜き取る悪質ないたずらが相次いでいる。イネを強めるために乾燥させる7月の「中干し」の際も同様の被害が起きており、田の所有者は「田を乾かす時期に限って起きており、稲作の段取りを知る大人の可能性がある」と憤っている。
同地区の兼業農家、長澤憲彦さん(48)によると、被害は今年7月中旬から8月27日にかけて十数回に上る。いずれも田を乾燥させようと水をせき止めた時期で、用水路からそれぞれの田への水の引き込み口をふさぐ板が同じ日に抜かれ、乾燥途中の約30アールの田7、8カ所が水浸しになった。抜かれた板は田の中央などに投げ捨ててあったという。
これまでに具体的な損害は生じていないが、イネの成育や収穫に影響が出かねない行為。とりわけ刈り取り時期の9月上旬は、農業機械を安全に走行させるために必ず田を乾燥させる必要がある。乾燥が不十分だと機械の故障や転倒事故につながりかねない。
被害を受けた農家が自主的にパトロールなどを試みているが、効果は未知数だ。長澤さんは「いたずらの範囲を超えている。警察にも巡回を依頼した。絶対にやめてほしい」と怒りを募らせている。【江田将宏】
毎日新聞 2008年9月1日 地方版