【茨城】仕事辞めた後 殺人願望 『死刑になりたかった』2008年9月2日
休日の駅で八人殺傷という凶行に及んだ金川真大(まさひろ)被告(24)が一日、殺人罪などで起訴された。「無口でおとなしい子だった」(小中学校の同級生)という金川被告はなぜ、無差別殺人を起こすまでに至ったのか。被告の“心の闇”を探った。 ◇ 転機は今年一月だった。アルバイト先のコンビニエンスストアを「(貯金の)目標に達した」という理由で前触れなく辞める。凶器の包丁、ナイフをインターネットを通して購入し、逃走用のスーツも購入した。県警幹部は「このころから内面で殺人願望が芽生えたのでは」と話す。 「おれは神だ。すべてはおれが掌握している」。八人殺傷事件の四日前、三浦芳一さん(72)を殺害後に残されたメールの一部。妄想は肥大化し、逃走中も県警に対し「早く捕まえてごらん」と挑発する。ただ最後はつきものが落ちたかのように「怖くなった」と交番へ出頭。別人格が心の中に共存しているようにも見える。 逮捕後の県警の調べに対し、金川被告は「死刑になりたかった」と供述する一方で「自殺は痛いから嫌だ」とも話したという。自分勝手で不可解な供述の数々に戸惑う捜査員の姿もあったという。 将来に対する希望を失い、死を強く希望する金川被告。その端緒はいつごろから芽生えたのだろうか。 金川被告は小学校高学年のころ、父親の仕事の都合で横浜市から土浦市へ引っ越してきた。中学校までは地元で過ごし、高校は県内の私立校へ進学。高校では弓道部に所属し、全国大会に出場するなど意欲的だったのが、高校三年生の時に暗転した。 家族との会話が途切れた。優秀だった成績も下降線をたどり、進学を断念。就職志望に切り替えるが失敗し卒業後は家に引きこもりがちとなる。社会とのかかわりはアルバイト程度。疎外感に悩まされながらも好きなゲームにのめり込んだ。 挫折を経験し、内向的となった金川被告。高校卒業から六年目の春、ため込んだ負のエネルギーは事件となって爆発した。一連の犯行は、現実と妄想のはざまで起きたのだろうか。
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