※このようなテーマはブログ趣旨とはそぐわないので深入りしたくなかったのですが、先のエントリーに書いたような、危険な心酔者体質との関連も感じますので、もう一度だけ取り上げます。
喫煙率と肺がん死亡率のデータは、エントリーの一番最後にあります。
このエントリーは、子供のような純粋さが陰惨な圧政を産む というエントリーに対するコメントの中で始まった、iza070707
ただし、議論の混乱は避けたいので、以下に提示した論点に絞ったものに限らせて頂きます。
「煙草に関する私の論点はただ一つ、他者に健康被害を与えるのか、もしそうなら、それは自然界に存在する他の健康被害に比べ、明らかに加害と呼べるほどのものなのか、です」
他人が他人の喫煙を批判するには、日常生活での受動喫煙に対する健康被害の根拠が必要だからです。
上記の論点にはiza070707
※私は受動喫煙による健康被害のリスクがゼロだと主張しているのではありません。問題は日常生活の中にある、多数の容認されている健康被害因子(排ガスからカフェインまで)と比較して、受動喫煙で他人に与える健康被害が明らかに加害と呼べるほどのものなのか、あるいは比較するまでもなく致命的な被害を与えているのかということです。
たとえどんなレベルであれ、健康被害を与えるリスクがあるなら許せないというような暴論には、まったく付いていけません。なぜなら、その理屈であれば他の健康被害因子もすべて追放する必要があり、それではあらゆるものが対象になってしまうからです。
さて、提示した論点に絞った場合、他人が他人の喫煙を批判するには、以下のデータが必要だと思います。
「一般社会で、他人からの受動喫煙の可能性が一日に何時間くらいあり、一年に何時間あり、その状態での健康被害に関するリスクデータ 」
このデータに関しては、iza070707
※ここで言う他者とは、生活を共にする人間ではなく、一般社会で出会う人たちのことです。なぜなら、嫌煙を主張される方は他人の喫煙に対して批判しているのですし、家族の健康被害の可能性まで、彼らから批難されたり議論する必要性は無いからです。
当然、特殊な状況、例えばタクシーの車内で働くドライバーのように、分煙が不可能で長時間の受動喫煙があり、客だから強く制止できないというようなものは、一般的な議論の対象にならないでしょう。
こうした健康被害という批判の根拠を尋ねると、多くの方が出されるデータは、私の知る限り、長時間かつ長期間、生活を共にする家族の受動喫煙に関する健康被害リスクデータか、マウスによる同様環境の実験だけです。
しかしそうしたデータでは、他人が他人の喫煙を、健康被害を受けるという理由で批判する根拠にはなりません(参考にはなるでしょうが)。
そうした批判をするには、上記に提示したように、一般社会生活での他人からの受動喫煙を受ける時間や環境をベースにした健康被害リスクというデータが必要です。
そうしたデータを示して批判する人を知りませんし、iza070707
※私は、他人から受ける受動喫煙の健康被害リスクがゼロだとはおもっていませんので、公平な分煙やマナーの徹底に関しては大賛成です。受動喫煙による他人への健康被害以外の理由での批判は、分煙やマナーで充分対処できると思っています。
そうしたデータが出て、明らかに加害と呼べるほどの健康被害を他人に与えていると明白になるまで、他人から喫煙を批判されるのは納得出来ません。
※もちろん、明らかなマナー違反や公平な分煙を破る行為に対しての批判は、当然だと思います。
最後に興味深いデータを示して終わりにします。
喫煙率の推移と肺がんによる死亡率の推移を比較してみました。
まず、喫煙率の推移グラフです。
これは厚生労働省のデータで、以下のサイトで詳細を見られます。
http://www.health-net.or.jp/tobacco/product/pd090000.html
たばこ産業の「平成19年全国たばこ喫煙者率調査」によると、成人男性の平均喫煙率は40.2%でした。これは、昭和40年以降のピーク時(昭和41年)の 83.7%と比較すると、41年間で43.5ポイント減少したことになります。
次に、肺がんによる死亡率の推移を見ます。
このデータも厚生労働省のもので、以下のサイトで詳細が見られます。
http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jinkou/geppo/nengai05/kekka3.html
ちょっと図が小さくて見づらいですが、「悪性新生物の主な部位別死亡率(人口10万対)の年次推移」
ひと目で分かる通り、喫煙率は下がり続けているのに、肺がんによる死亡率は逆に上がり続けています。
もちろん、ある原因から肺がんが発生し死亡するまでにはタイムラグがあります。
しかし、たとえば原因から肺がん発生と死亡までのタイムラグを20年と仮定しても、昭和40年(1965年)からの20年間の喫煙率下降と、その20年後の1985年以降の肺がんによる死亡率の上昇をみれば、やはり喫煙が肺がん死亡の主要な原因とは、とても考えられません。
繰り返しますが、喫煙がまったく影響していないと言っているのではありません。
喫煙よりも他の複数の因子が、肺がんの発生と死亡に、より大きな原因となっていると言っているのです。
こうした、喫煙よりも大きな健康被害の主因(複数因子の関わり)が容易に推測出来るのに、それを無視した議論にはとうてい納得出来ません。
もしも、喫煙率の低下に比例して、明らかに発生率が低下した疾病のデータがあるようでしたら、ぜひ教えて下さい。
病気の発生する要因は多数の因子が複雑に関係したもので、簡単に一つの原因を批難できるようなものではありません。
そうした明白な原因になっているものは、禁止されるか何らかの処置が取られています。
喫煙者の肺がんリスクとか、受動喫煙の健康被害リスクというった、一つの原因だけを取り上げるデータは、結局、全体を正しく予見することが出来ないと、先の肺がんデータが示しています。
※冷静に考えれば誰でも分かるようなこんな当たり前の事を忘れ、強弁に喫煙を批難する人たちは、煙草の煙嫌いをベースにした心酔者の一種だろうと想像します。
★追記
iza070707
http://www.health-net.or.jp/tobacco/product/pd070000.html
※このグラフと、先の肺がん死亡率のグラフとを見比べての感想はコメント欄に少し書きました。
また、iza070707
それを元に、一人当たりの喫煙本数も肺がん死亡率も、よく似た右肩上がりであり相関関係があるのではないか、そして喫煙量の蓄積がその原因ではないかと推測されています。
累積数が右肩上がりなのは当然であり、それだけで肺がん死亡率のグラフと相関関係があるかどうか、コメントのしようがありません。
また、蓄積という推測は直感だそうですから、これもコメントしようがありません。
ちなみに、日本禁煙学会の理事長、杏林大第一内科客員教授の作田学氏によれば、「3日ほどたばこをやめれば、体内からニコチンは簡単になくなる」と言っています。
http://www.mainichi.co.jp/syuppan/sunday/tokusyuu/news/20070327-165326.html
iza070707
私はそれよりも、年度別の喫煙本数の方が気になりました。
1975年あたりから減少しているのですが、その20年後の1995年以降も肺がん死亡率は変わらぬペースで上昇し続けています。
喫煙本数が減少して20年以上が経過した後も、肺がん死亡率に影響を与えないという事実から、どうしても煙草を主因とする相関関係があるとは考えにくいと思います。
★さらに追記
打ち止めにしたかったのですが、このデータだけでは納得できない方もおられるようなので、もう一つの統計を示します。
右肩上がりの肺がん死亡率と喫煙の相関関係を推定される方は、逆に右肩下がりの減少傾向を示す喉頭がんの統計をどう説明されるのでしょう。
喉頭がんは肺がんと並んで、喫煙の害としてよく出される癌です。
グラフは、国立がんセンターのサイトで詳しく見られます。
http://ganjoho.ncc.go.jp/professional/statistics/digest/digest10.html
図1.男女別喉頭がん年齢調整死亡率(昭和60年モデル人口で補正、人口10万対)
※ちょっと見にくいですが、2000年時点で一番下にきている線が、日本です。
肺がんも喉頭がんも、煙草の害として有名ですが、その死亡率推移はまったく相関しません。
一方は急激な上昇、一方は緩やかな減少を、この50年近くで示しています。
煙草が大きな要因だとすれば、この矛盾するデータをどう解釈すればよいのでしょう。
嫌煙家のみなさん、もう健康被害を過大に言い立てる議論は止めにしませんか。
感情的な問題で嫌だと素直に言って頂ければ、相互に妥協の余地が有り、そして一部のマナーを無視した喫煙者への批判や、分煙の推進で協力しあえるのではないでしょうか。
by やせ我慢A
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