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ウォン相場1100ウォン突破、「9月危機説」浮上(上)

 ソウル江南地区の証券会社ロビー。1日午後にウォン相場が1ドル=1100ウォンを突破すると、個人の投げ売りまで加わり、ロビーにいた顧客はただぼうぜんと電光ボードを見つめていた。買い注文を出す人がいないばかりか、売り注文を出す人も見当たらなかった。顧客ロビー担当職員は「ブラックマンデーという言葉以外に見つからない」と頭を抱えた。「9月危機説」が韓国金融市場でますます広がっている。

 政府と金融専門家らは実際に通貨危機が発生する可能性はほとんどないとみている。しかし、市場ではさまざまな状況を全て「9月危機」に結びつけて考え、自ら危機をつくり出す最悪のシナリオが現実となりつつある。

 HMC投資証券のイ・ジョンウ常務は「きょうは別に特別な状況ではなかったのに、株価があす続落するとみてあらかじめ手仕舞いする動きだった。心理的不安感から一度に株式を処分する投げ売りが出た」と指摘した。

◆心理的抵抗線の突破相次ぐ

 1日の韓国金融市場は文字通りパニック状態に陥った。株価が4%以上暴落し、ウォン相場が対ドルで27ウォンも下落した。物価上昇懸念が高まり、金利も急上昇。株価、為替、債券が同時に値下がりする「トリプル安」の様相を呈した。

 問題は、市場には特に悪材料がなかった点だ。米国でハリケーン被害が拡大すれば原油価格が反発する可能性があった点と、先週末に米国株が下落した点がマイナス材料といえばそうだが、これらは既に織り込み済みとみられていた。

 パニックの主因は、政府の反論にもかかわらず消えない「9月危機説」だった。9月に満期を迎える外国人の債券投資8兆ウォンが一度に金融市場から流出し、ウォン安と金利上昇が急激に進み、金融会社や企業の破綻(はたん)が相次ぐのではないかという悲観的なシナリオが市場の不安感に火を付けた。

 前場の寄り付き直後には特に動きがなかった金融市場は時間がたつにつれて、揺らぎ始めた。前日比3ウォン安程度だったウォン相場の下落幅が10ウォン、20ウォンと拡大し、取引終了にかけてはついに30ウォンを超えるウォン安の1ドル=1123ウォンまで急落した。株式市場でも韓国総合株価指数(KOSPI)の下げ幅が60ポイントに迫った。

 サムスン証券リサーチセンター長のキム・ハクチュ氏は「金融市場全体に資金が回らない信用不安が起きる懸念が生じている」と指摘した。同日には斗山グループの株価が先週末に続き暴落し、資金不足がささやかれた一部中堅グループ系列企業も大きく売られた。

崔洽(チェ・フプ)記者

李敬恩(イ・ギョンウン)記者

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
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