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ねじれの重圧 孤立の首相、力尽きた(2/3ページ)

2008年9月2日6時10分

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 野党側の攻勢に加えて、だめ押しのように強まる公明党はじめ与党内の圧力も、首相から政権運営に向けた自信を奪っていった。

 つまずきは、臨時国会の召集日をめぐる政府・与党の調整から始まっていた。

 首相は、重要法案の審議日程を十分に確保するため、8月下旬を希望。しかし、9月下旬召集を求めた公明党に配慮し、9月中旬召集と譲歩せざるを得なかった。同党は、首相が強い意欲を示した補給支援特措法の延長法案にも強い難色を示した。

 さらに追い打ちをかけたのが、総合経済対策に「08年度内に実施」と盛り込まれた定額減税をめぐる政府・与党の攻防だった。

 首相自身、「バラマキ政策ととられかねない」(周辺)と考え、実施に否定的だったが、総選挙向けの「目玉」を求める公明党に押し切られた。当の公明党の太田代表は、首相の会見の30分前に連絡を受けたといい、「突然のことで正直言って驚いている。首相として熟慮した結果の判断だと思っている」とかみしめるように語った。

 「自分の希望通り国会を召集することができなかったし、おまけに公明党に押し切られて定額減税をやらなければならなくなった。それがこたえたのだろう」(自民党四役の一人)。野党の攻勢に与党内の圧力が加わり、臨時国会運営の見通しが立たない状況を前に、首相はついに力尽きた。首相は1日、側近にこう語ったという。

 「総理に就くときは周りに相談するけど、辞めるときは自分で判断する」

 「生活感もなく、対応力に欠けている自公政権は一日も早く終わらせなければならない」。民主党の小沢代表は1日、代表選出馬会見で福田政権をこきおろした。「首相退陣」のニュースは、その夜に飛び込んできた。

■総選挙へ、勢いづく野党

 臨時国会へ手ぐすねを引いていた野党は、突然の「政権放棄」に勢いづいた。

 「安倍前首相に続いて2代続いての政権の放り出しだ。自公政権そのものが、国民に責任を持てないことを自ら証明したことになる」。菅直人代表代行は東京都内で記者団にこう語り、自民党の政権担当能力に疑問を呈した。

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