防災の日「それどころじゃ…」 愛知県各地で訓練中止

 ■大雨の被害大きく…
 「防災の日」の1日、政府は東南海・南海地震を想定し総合防災訓練を行った。しかし愛知県では28日から県内各地を襲った記録的な大雨による被害のため、訓練の一部が中止。被災地ではボランティアがフル回転、復旧作業が続いた。
 最大被災地の岡崎市は1日に実施予定だった乙川河川緑地での1700人規模の総合防災訓練を中止。市防災課は「被災地の復旧作業でてんやわんや。それどころではない」。
 東海・東南海地震を想定した県と碧南市など計2400人が参加する予定だった31日の県総合防災訓練も中止。県防災局災害対策課は「災害の対応に追われているため」と説明。
 県内では「県民総ぐるみ防災訓練」として自治体、学校や病院、民間企業などで8月31日から9月5日までの防災週間を中心に約99万3000人が各種訓練を予定して、たが、規模は大幅に縮小される見通し。
 集中豪雨に襲われた岡崎市や名古屋市などでは1日もボランティアなどによ復旧作業が続いた。
 岡崎市では福祉総務課内に防災ボランティア支援センターを設置。29―31日に市内外のボランティア約500人が登録。
 1日午前9時から被害の大きかった同市伊賀町とその周辺地区で粗大ごみの処理や浸水家屋内の泥の撤去、掃除などを行った。一方この日も同8時半からボランティアの登録を受け付けた。
 同市の防災ボランティア支援センターはTEL0564(26)2670。
 名古屋市でも市社会福祉協議会が災害ボランティアセンターを設置。民間の災害ボランティア連絡会メンバーらが中川、北、西、中村、港区に投入された。
 豪雨直後の30、31日には延べ63人のボランティアが現地入り。45棟の浸水家屋の復旧作業を行った。1日は平日とあってボランティアの動員が心配されたが同連絡会に所属していないボランティア団体の20人が名乗り。
 同連絡会メンバーと合わせて計70人が各区の社会福祉協議会事務所に集まった後、現地に入った。同市の災害ボランティアセンターはTEL052(911)3180。

 ■ボランティアら撤去作業に汗
 居ても立ってもいられなかった―。豪雨から4日たった岡崎市伊賀町。水に浸って粗大ごみとなった家具、畳などの山が町内のあちこちに高々と積まれた。気温30度を超える残暑の中、ボランティアや市職員らが撤去作業などに汗を流した。
 豊橋市から来た22歳と21歳の男子大学生は「地元で水害が起き何か役に立てないかと来た。まだ来たばかりなので何ができるかは分からないけど」とごみの収集を手伝っていた。
 ほとんどの家が床上浸水で1階は泥まみれになったため家具などは使い物にならなくなった。伊賀川沿いに住む老夫婦は駐車場に盛られた泥の山を前に休憩していた。主婦(62)は「1階にいて床がぬれてきたので雨漏りかなと思ったら、床から水が噴き出して一気に胸まで水に漬かった。水が引いた後は室内が泥だらけ。昨日、関ケ原(岐阜県)からボランティアが来てきれいにしてくれた。早くちゃんとした生活がしたい」と話した。
 家屋が半壊した女性(79)は「96歳の母と2人暮らし。40年以上暮らしているがもう住めない。今は知り合いの好意でアパートの一室を借りているが2日たったら出ていかなくてはならない。不安を通り越してしまった。人間、こうなるとそんな気持ちになるんじゃないの」とあきらめ切った表情だった。
【写真説明】粗大ゴミを片付ける市職員やボランティアら=1日午前、愛知県岡崎市伊賀町

(2008年9月1日更新)


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