諏訪赤十字病院は1日、日本赤十字社国際救護派遣職員としてインドネシア・ボゴール市の中核病院・同国赤十字社ボゴール病院で活動した、矢沢和虎救急部長(46)の派遣報告会を諏訪赤十字病院研修センターで開いた。熱帯地方特有の疾病の対処方法や限られた医療機材のなかで、患者への対応方法を学んだ矢沢部長は、ボゴール病院やインドネシアの医療問題点と背景を探り、改善策を提言した。
事業は同病院に対し医療要員を派遣、必要とする医療資機材の支援を行い、保健医療のサービスの拡充を行う内容。諏訪日赤からの国際派遣は13年ぶり。
矢沢部長は8月5日まで2週間現地に滞在。同病院の医療サービスの向上に寄与し、日本との違いを理解して開発途上国の医療技術を習得、将来国際救援活動要員としての資質の向上に努めた。
報告会では、地震、津波など自然災害が多発し、増え続ける感染者などインドネシアが抱える問題を指摘。▽多くの国民が保険に未加入▽富裕層だけしか高度の医療が受けられない貧富の差▽車社会に追いつかない道路整備―など、社会、医療面から同国が抱えている現状を語った。
ボゴール病院が抱える問題点として「貧困層にも対応しているため治療費の未払いがある」「供給された機材を十分活用できない面がある」と報告。こうした状況から「日本の医療をそのまま持ち込んでもだめ。非常に困難ではあるが、根本的には同国の保険制度、交通事情などを少しずつでも改善する必要を実感した」と結んだ。
報告会は、130人余が聴講。小口寿夫院長は「短い期間ではあった問題点をよく把握してきた。今後の活動にぜひ生かしてほしい」とねぎらった。