信州大学医学部付属病院(松本市)は1日、胸の痛みを訴える患者を24時間態勢で受け入れる「胸痛センター」を、高度救命救急センター内に開設した。症状の程度を問わずに診察および治療を行い、迅速な対応を要する急性心筋梗塞など心疾患の救命率向上を図っていく。国立大学病院では全国初の取り組みという。
救急搬送から転院、個別来院まであらゆる種別の胸痛患者を受け入れ、循環器内科の医師が処置の優先度を判別。重症患者には早急に血流回復のためのカテーテル治療を施し、予備軍を含めた軽症の場合は外来へ振り分ける。専用ベッド3床を置き、心疾患の専門医3人が常駐対応する。
急性心筋梗塞は、一般に年間の患者数が人口10万人あたり50―60人で、発症後3―6時間での治療が望ましいとされる。ただ、神経痛や胃の疾患と区別がつかずに痛みを感じても受診しない人が多く「例えば、松本広域医療圏だと患者の約27%が病院到着前に死亡している」(2002年信大調べ)という。
胸痛センターでは、胸の痛みに絞り込んだ患者対応、夜間と合わせた医師の常駐システムによって、救急搬送先の検討時も時間短縮が可能になる―と有用性を説明。センター長の池田宇一循環器内科長は「特に急性心筋梗塞の治療は1分1秒を争う。地域を問わず気軽に受診してほしい」と呼び掛けている。問い合わせは同センター(電話0263・37・2222)へ。