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教員採用取り消し 子供への影響不安、2学期目前…担任来ない?
不正採用教員21人の採用取り消しが決まった大分県。2学期が始まるが、担任がいなくなる可能性もあり、子供や保護者への説明はどうするのかを含め、不安視する声が出ている。
県庁の教育委員室で記者会見した小矢文則教育長は苦渋の表情を浮かべた。
採用取り消し者はいったん、職を失うことになるが、不正に関与した県教委職員については最も重い処分で停職にとどまった。「甘いのではないか」との質問も出たが、小矢教育長は小さな声で「過去の処分と比較してもかなり厳しいと思っている。採用取り消し者には十分丁寧に説明したい」と繰り返した。
2学期からの教員の扱いについて、県教委は明確にしていない。
大分市内の小学生の父親は、教員のこれまでの実績や子供への影響を考えて、取り消しを年度末まで待つなど配慮してほしいという。
埼玉県教育委員会委員長の高橋史朗・明星大教授は「処分対象が21人とは、絶句するほど多いが、不正が明らかになった限りは、やむをえない措置だ」と指摘。「一番心配なのは、教師がいなくなってしまう子供たちへの影響だ。どうやって信頼を回復するかを最優先で考える必要がある。大人の不正を中途半端にごまかせば、子供はかえって不信感を持つ。率直に話した上で、後の先生たちが必死になって子供たちにかかわり、時間がかかっても努めるしかない」と話す。
また23年間小学教員だった教育評論家の親野智可等(おやのちから)氏は「教委は今後の対応を通知1枚で学校に任せるのではなく、子供のショックを和らげるためのカウンセリングなど心のケアにも取り組むべきだ」と話す。
10年以上前からあったとされる不正採用。大分では秋の国体開催を控えており、「国体を前に、これで幕引きするかもしれない」(県関係者)との見方もある。信頼回復へ採用責任者として県教委の対応が問われる。