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■ 秋田のニュース:社説

社説:自転車の復権 ブームで終わらせるな

 自転車への関心が県内でも大いに高まっている。ガソリン価格の高騰に伴い、車からの乗り換えという緊急避難的な対応を余儀なくされているのが最大の要因だろう。温室効果ガスの削減といった環境問題への理解の広がりや、メタボリック症候群の予防など健康志向も追い風となっているようだ。

 原油高は当面、収まりそうにないだけに、時代のニーズにマッチした交通手段として自転車をとらえ直す絶好の機会といえよう。

 環境への負荷がほとんどない自転車(バイク)と生態学を指すエコロジーを合わせた「バイコロジー」の思想は、欧米を中心に1990年代から世界的な潮流になっている。パリでは市内1400カ所に計2万台の自転車を配置した大規模なレンタル自転車システムが整備され、渋滞緩和や大気汚染の防止に役立っているほか、利用者にも好評だという。ニューヨークでも総延長約500キロの自転車専用レーンが設けられるなど、車依存のライフスタイルを見直す動きが各国で活発化している。

 日本でもバイコロジー運動は徐々に浸透しているが、中でも先駆的な取り組みとして評価されているのが能代市二ツ井地区が98年から実施している「環境にやさしい自転車のまちづくり」事業だ。現在は都内の放置自転車を再利用した290台を同地区12カ所のステーションに配置、誰でも自由に利用できる。近年、自転車利用システムの導入を検討する自治体が増えており、県外からの視察も後を絶たないという。

 環境対策やガソリン価格高騰の面から効用が強調されがちな自転車だが、街づくりの観点からもその役割を再認識すべきだろう。県内各地で中心市街地の空洞化が問題になっているが、その最大の原因は車社会を前提とした郊外への大型店進出である。自転車を利用する人が増え、近場で買い物をするようになれば中心市街地の再生にも弾みがつくのではないか。

 もちろん、都市交通として自転車利用システムを普及させるには課題も少なくない。歩行者との事故を防ぐ自転車専用レーンや駐輪場の整備をどう進めるのか。雪国の本県では、冬場に自転車利用が制限されるというネックもある。二ツ井地区の「自転車のまちづくり」でも、借りた自転車をステーションに返さず路上に放置するケースがあるといい、能代市の担当者は「車で毎日回収しなければならず、これ以上の事業対象地域の拡大は難しい」と指摘する。

 ハードやモラル面で課題はあるにしろ、自転車の利用推進は時代の流れといえる。にわかに注目される最近の動きを一時的なブームで終わらせてはならない。環境はもとより、本県の実情を踏まえた街づくりの面からも、自転車利用システムの在り方を真剣に模索すべき時を迎えている。

(2008/08/21 09:04 更新)

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