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新秋九月大歌舞伎:時蔵が15年ぶり尾上を演じ、海老蔵が実盛と義賢の2役

 東京・新橋演舞場の「新秋九月大歌舞伎」が1日に始まった。中村時蔵、市川海老蔵、市川亀治郎らの出演で、昼の部(午前11時)は「源平布引滝」と「枕獅子」、夜の部(午後4時半)は「加賀見山旧錦絵」と「かさね」。

 「加賀見山」は「女忠臣蔵」とも言われる作品。中老の尾上が局の岩藤に陥れられて命を落とし、尾上の召使のお初が敵を討つ。

 時蔵が尾上を演じるのは初演以来15年ぶり。初演では、あたり役とした中村歌右衛門の教えを受けた。

 「おじさんがけいこ場に通って下さり、舞台げいこにも来ていただいた。ご意見を求めたら『芝居がつまらないよ』。教わったことをやっているだけではおもしろくないという意味でした。次のけいこでは自分なりに工夫をしたら『大丈夫だよ』。決してほめない方でしたから、それがうれしかった。そのときの教えを思い出しながらつとめます」

 海老蔵の岩藤、亀治郎のお初。時蔵は「枕獅子」の傾城弥生後に獅子の精を踊る。

 「布引滝」は、源平の争いが題材の義太夫物で、「義賢最期」「竹生島遊覧」「実盛物語」の3場を上演。海老蔵は、壮絶な死を遂げる木曽義賢と情理をわきまえた斎藤実盛の2役だ。「実盛は海老蔵襲名の巡業では100回ぐらいつとめ、助六などと並んでよくやっている役です。実盛や義賢がいなければ、源氏再興は考えられなかった」と話す。

 義賢は源氏方、実盛は平家方。だが、元は源氏の武士である実盛は、義賢の遺児の命を救い、源氏の白旗を守る。「実盛だけだと鮮明なビジョンが見えてこなかった。白旗と赤旗が源氏と平家にとって、どれだけ大事なものなのかを伝えたい。ここでチャレンジして、ゆくゆくは自分のものになれば」

 海老蔵は「かさね」の与右衛門を、亀治郎のかさねと踊る。

 25日まで。問い合わせは03・5565・6000へ。【小玉祥子、油井雅和】

毎日新聞 2008年9月1日 東京夕刊

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