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姫井参院議員:新党「ドタキャン」 切り崩し「水際阻止」 民主党に安堵感

 民主党の渡辺秀央参院議員らによる新党「改革クラブ」は、参加を予定していた姫井由美子氏が執行部の説得に応じて不参加を表明したことで、一夜にして政党要件を失った。自民党側の「切り崩し工作」を背景とする新党の動きに対し、民主党側が応戦に転じた形。渡辺氏らは欠けた1人分の穴埋めを急ぐ構えだが、小沢一郎代表の求心力低下を未然に防いだ鳩山由紀夫幹事長ら党執行部には安堵(あんど)感が漂った。【野口武則、山田夢留】

 29日午後6時半から党本部で急きょ開かれた姫井氏の会見には、菅直人代表代行、鳩山幹事長、輿石東参院議員会長ら執行部がずらりと顔をそろえ、姫井氏の離党撤回表明に拍手を送った。

 「新党は自民党による民主党切り崩しの受け皿だと分かった」。姫井氏はこわばった表情で語り「軽率な行動だった」と反省の弁を述べた。

 民主党執行部はこの日、姫井氏への説得工作に動いた。まず菅氏が姫井氏と電話協議。菅氏が輿石、鳩山両氏に声をかけ、3人で姫井氏に翻意を促した。

 とりわけ、菅氏は言葉を尽くして姫井氏の説得にあたった。「姫井さんは民主党にプラスになると見たようだが、普通は『自民が民主から引き抜く』と見える」と指摘。「これから民主党の中で大いに活躍してもらいたいと思っています」と激励までした。

 この間、姫井氏は渡辺氏らと一切音信不通のまま会見も欠席。会見に備えてホテルに呼ばれていた美容師は待ちぼうけを食わされた。

  ◇   ◇

 渡辺氏らは携帯電話を鳴らしても反応しない姫井氏の捜索願を警察に出したが、新党参加撤回が分かって肩を落とした。

 大江康弘参院議員は東京都内で記者団に対し「民主党は怖い政党だ。そういう体質が嫌だ」と述べ、党執行部からの「巻き返し」が功を奏したことに悔しさをにじませた。

 渡辺氏らの新党結成の動きの背景にあったのは、参院での過半数を奪い返したい自民党側の働き掛けだった。中心となったのは、大江氏と同じ和歌山県議出身の二階俊博経済産業相とされる。参院側では、矢野哲朗前参院国対委員長が「参院に第3極を作る」と公言し、「中の島新党構想」を掲げていた。

 二階、矢野氏らは当初、今春の道路特定財源問題を巡る政局で「一本釣り」を画策。この時点では頓挫したが、「次のタイミングは臨時国会開会時」(周辺)と手ぐすねを引いていた。矢野氏は今月上旬、就任間もない麻生太郎幹事長に対し「バックアップしてほしい」と依頼。麻生氏も快諾したという。

 ◇「参院本来のあり方追求」--改革ク結成会見

 渡辺秀央元郵政相ら参院議員4人は29日、東京都内の憲政記念館で新党「改革クラブ」結成の記者会見を開いた。代表に就任した渡辺氏は「参院の本来のあり方を追求したい」と決意を述べた。党の方針として「党議拘束を外す」などを掲げたが、具体的な政策は示さなかった。会見には、渡辺氏のほか大江康弘、荒井広幸、松下新平の参院議員3人も出席した。【小山由宇】

 ◇政党交付金もらえず

 公職選挙法上、(1)国会議員5人以上(2)前回の衆院選・参院選の選挙区または比例代表の全国得票率が2%以上--のいずれかを満たすことが政党の要件。「改革クラブ」から姫井由美子参院議員が離脱するとメンバーは4人となり、どちらの要件も満たさず、政党助成法上、政党交付金も受けられない。一方、参院で会派を作るには先例で「2人以上」となっている。【高山祐】

毎日新聞 2008年8月30日 東京朝刊

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