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「ミャンマーの診療所復興を」―日本の医療NGO

 日本国内外で災害時医療支援を行うNGO、災害人道医療支援会・HuMA(本部・東京都世田谷区)は、ミャンマーで診療所の修復などの復興支援を9月2日から開始する。サイクロン「ナルギス」がミャンマーを直撃してから約4か月。日本医科大多摩永山病院救命救急センターの医師で、HuMAの理事兼事務局長を務める島田靖氏は、現地の医療状況について、「災害初期の緊急医療支援から、建物の復旧などが必要な復興期に移行している」と話す。中でも医療機能回復のための支援が急がれるという。

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 今回、HuMAが支援活動を行うのは、ミャンマー南西部エーヤワディー管区のボーガレー市。島田氏によると、市内に約30ある診療所の多くがサイクロンで半壊・全壊などの被害を受けた。十分な医療資・機材もなく、「今も屋根のない診療所で、乳幼児健診をしているような状況」だという。

 HuMAが計画しているのは、こうした診療所の復興事業。診療所の修復や医療資・機材の提供を行う。島田氏は現地の状況について、「既に多くの医療チームが国内外から被災地に入っている。サイクロン直撃から約4か月がたった今、緊急医療支援ではなく、既存の医療施設の復旧が急務だ」と話す。2日にスタッフが現地入りした後、支援する診療所を選定し、必要な資・機材を検討する。

 診療所修復や資機材の提供といったハード面からの支援だけでなく、現地の医療スタッフへの教育・指導なども行う予定だ。「住民に最も近い末端の診療所で働いているのは、『保健施設のおばちゃん』という感じの女性たち。医療行為についての知識が少ない人もいる。この機会に、必要に応じて医療教育も行っていく。特に、災害発生時に多い外傷の処置などについて伝えようと考えている」と島田氏は話している。

■「困難だが、できることを」

 診療所の修復と医療のノウハウ提供を通じてミャンマーの復興支援を行うHuMAだが、活動に当たってはさまざまな困難が伴うという。

 たとえば人繰りの問題。HuMAの医療スタッフの多くは日本の病院に勤務しており、長期間のミャンマー滞在は難しいと島田氏は話す。「だいたい1週間。最長でも2週間だ」。
 ミャンマー政府による制約もある。ビザの取得やミャンマー国内での移動に対する制約はその典型だ。実は、HuMAはサイクロンの発生から約2週間後に医師2人、看護師1人を既に派遣し、同地での支援の可能性を模索していた。だが、ミャンマー政府による外国人へのビザ発給がスムーズに進まないなどの問題があったため、「この状況で災害初期の急性期医療を行うのは難しい」と判断したという。

 しかし、島田氏は前向きだ。「1人の医療スタッフを継続的に派遣することは困難だが、人を入れ替えてでもなるべく医療スタッフを送りたい」と話す。また、「首都のヤンゴンから事業地のボーガレー市に移動するには、外国人は許可を取得しなければならない。大変だが、うまく事業を軌道に乗せたい」とも。
 さまざまな制約が付きまとう中でも、「あの手この手で、できることをやっていく」と、島田氏は意気込みを見せた。

HuMAのホームページはこちら。ミャンマー支援の募金も受け付けている。


更新:2008/09/01 21:33   キャリアブレイン


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