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高層ビルの揺れ、震度の目安に 気象庁「解説表」見直し(1/2ページ)

2008年9月1日15時1分

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表拡大気象庁の震度階級解説表

 気象庁は、震度ごとの被害の目安を示した「震度階級解説表」に、高層ビルをゆっくり揺らす長周期地震動の影響など最新の地震学の研究成果を加える方針を固めた。建物の耐震化が進み、震度と実際の被害のずれが特に都市部で目立ってきたためだ。96年に解説表ができて以来、見直しは初めて。年度内に改正に着手する。

 現在の震度は阪神大震災翌年の96年、5と6に「弱」「強」を加え、0〜7の8段階から10段階に細分化。それぞれの震度で、どんな現象や被害がでるかを説明するために解説表はできた。

 例えば「6強」で、解説表は「耐震性が低い木造住宅では倒壊するものが多い」と記す。しかし、今年に入って6強が観測された岩手・宮城内陸地震で全壊は28棟。やはり6強を観測し、「はって歩くこともできなかった」「歩くのは厳しかったのでベッドにしゃがみこんだ」などと住民が証言した岩手県洋野町でも住宅被害は壁にひびが入った程度だった。

 解説表は、全国各地に震度計を整備して「計測震度」を速報する体制とセットで作られたが、当時は、計測震度と実際の被害との対応関係はあまり分かっていなかった。このため、建築や土木の専門家から「住宅は震度と被害にずれがある」との指摘が相次いでいた。気象庁も00年の鳥取県西部地震や04年の新潟県中越地震などで、震度と被害の関係を調べてきた。

 その結果、計測震度が同じでも、「キラーパルス」と呼ばれる周期1〜2秒の揺れだと木造住宅に大きな被害を与え、7〜10秒の長い周期だと高層ビルを揺らしやすいといったデータが集まった。

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