播磨の古刹(こさつ)・天台宗鶴林寺(加古川市)で、国宝太子堂の屋根修理工事が順調に進んでいる。中心作業で、26年ぶりという檜皮(ひわだ)屋根のふき替えも、匠(たくみ)の技が駆使され9月中には終わりそう。美しい姿を見るのが待ち遠しい。
盆に、総本山の比叡山延暦寺(大津市)に参った。喧噪(けんそう)を忘れ、幻想的な「比叡山ライトアップ根本中堂」を観たかったからだ。国宝の堂内に響いた、独特の節回しで経典を唱える天台声明(しょうみょう)に心洗われた。
国内外で、文化財への落書きが物議をかもした。「何を考えているのか」とあきれる半面「何も考えない輩」と腹立たしくもなる。若者の文化財保護に対する思いは希薄だ。厳しい指導が必要だ。【成島頼一】
〔播磨・姫路版〕
毎日新聞 2008年8月31日 地方版