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家庭を襲うローン返済危機、企業は資金枯渇

 景気の急激な悪化で対外債務が膨らむ中、家庭のローン返済能力が落ち、金融機関では延滞債権が増えている。企業の現金収益も落ち込むなど、経済のさまざまな部分で「不良化現象」が目立っている。これを受け、民間のシンクタンクは、韓国経済に対し相次いで警鐘を鳴らしている。

 韓国銀行は31日、今年1‐3月期の家計負債が前年同期比9.2%増の640兆4724億ウォン(約64兆円)に達したと発表した。

 所得が増加しない状況で債務だけが増大し、所得全体に債務の元利償還額が占める比率は2005年末の15.3%から昨年末には20.2%へと高まった。韓銀は「家計の債務償還能力が低下する一方だ」と分析した。

 また、不動産景気も低迷し、売れ残り住宅物件が大量に発生し、金融機関の建設部門に対する延滞債権も急増している。貯蓄銀行(信用金庫に相当)の建設融資延滞率は6月末現在で14.3%(1兆7000億ウォン=約1700億円)を記録し、前年同月を2.9ポイント上回った。市中銀行でも建設業と中小企業向けの融資で不良債権が増えている。

 これに関連し、現代経済研究院は31日、「金融危機の可能性に関する点検と対策」と題する報告書で、住宅価格上昇率、貸出金融機関の延滞債権率、個人向け融資の返済能力などを基準に独自に算定した「金融安定度指数」が今年1-3月期に44.9ポイントを記録し、昨年末の69.2ポイントを大きく下回ったと指摘した。

 金融安定度が50ポイント以下に落ち込めば、金融機関の不良債権が増え、市中資金が十分に流通せず、金融市場に不安が生じていることを意味する。

 不景気で企業の資金事情も悪化している。商品の販売不振に加え、売掛金も回収できず、現金が不足しているためだ。

 LG経済研究院が有価証券市場(メーンボードに相当)に上場する601社(金融機関を含まず)を分析した結果、昨年売り上げた商品とサービスで稼ぎ出した営業キャッシュフローは売上高の4.5%にとどまった。アジア通貨危機当時の1997年(3.7%)以来の低水準だ。

 今年上期の営業キャッシュフローはさらに1.1%に悪化し、前年同期(4.0%)を大きく下回った。また、営業活動で現金収益を全く計上できなかった企業が昨年は29.6%に達し、97年(30.7%)以降で最も高かった。

 同研究院は「企業が現金収入を得られず、原材料の調達、賃金支払いなどで困難に直面しており、深刻な場合には破綻(はたん)もあり得る」と警告した。

金起勲(キム・ギフン)記者

クム・ウォンソプ記者

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
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