空間記憶:新神経細胞が役割 マウス実験で確認

 脳内で新しく作られる神経細胞が、空間を記憶するのに重要な役割を果たしていることを、京都大ウイルス研究所などのチームがマウスを使った実験で突き止めた。人間でも同様の働きがあるとみられ、新しい神経細胞を増やす薬を開発すれば記憶力低下を防止できる可能性があるという。31日の米科学誌ネイチャー・ニューロサイエンス(電子版)に発表した。

 チームは、新しくできた神経細胞に色が付くようマウスの遺伝子を操作。観察の結果、餌がある場所など空間について記憶する「海馬」の一部で新しい神経細胞が作られ、1年間で総量が約15%増加したことが分かった。

 一方、円卓に12の穴を開け、1カ所だけ下に箱を置いて場所を記憶させる実験では、正常なマウスは1週間後に位置を覚えていたのに対し、新しい神経細胞ができないよう操作したマウスは区別が付かなくなっていた。

 人間でも、老化により新しい神経細胞ができにくくなることが知られている。メンバーの影山龍一郎・同研究所教授(分子生物学)は「新たな場所の記憶を保つ上で古い神経細胞は役に立たず、新たな神経細胞が必要なことを示せた」と話している。【朝日弘行】

毎日新聞 2008年9月1日 2時00分

文字サイズ変更
この記事を印刷
印刷

関連記事

9月1日空間記憶:新神経細胞が役割 マウス実験で確認

ニュースセレクト アーカイブ一覧

 

おすすめ情報