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2008年9月1日

◎ジュニアかなざわ検定 参加者もっと増やしたい

 三回目となる「ジュニアかなざわ検定」で、参加者が前回を約二百五十人上回る千四百 七十五人に達したのは、金沢検定ブームが子どもたちの間にも確実に浸透してきた証しといえる。

 金沢検定では小中学生の受検が増え、昨年はジュニア検定で高得点を挙げた六年生が初 級に最年少合格している。ジュニアで知識を試し、さらにレベルアップを目指す場として金沢検定が定着すれば、子どもたちの学ぶ意欲が高まり、大人の刺激にもなるだろう。ジュニア検定の参加者をもっと増やし、そうした好循環をつくっていきたい。

 ジュニアかなざわ検定は小学四年生から中学三年生が対象で、百点満点は「ジュニアか なざわ博士」に認定され、七十点以上は点数に応じてカードが発行される。初回は十一月、二回目以降は八月下旬に行われている。

 小学校では夏休み期間中に学習日を設定し、過去の問題を参考に練習問題を作成して学 習を重ねているが、せっかくの夏休みを生かすなら、金沢城や兼六園、寺院群などに足を運び、実地学習してもよいだろう。単なる試験対策にとどまらず、金沢を知ることの楽しさを子どもたちに伝えることが大事である。その点でいえば、問題作成者側にも学習意欲を引き出す一層の工夫が求められる。

 参加者が初回の八百五人から大幅に増えたことは歓迎できるとしても、学校単位でみれ ば、学年ごとに団体受検する学校もあれば、参加者が一部にとどまっている学校もある。そうした温度差は先生の熱意とも無関係ではないようだ。ジュニア検定はふるさと教育の成果を試す場であり、受検によって金沢への関心が確実に高まることを考えれば、それを生かさない手はない。

 ジュニア検定では金沢検定と同様、上級、中級、初級を設ける案も出ているようだが、 子どもたちの意欲や関心を高める視点から見直しを進めてほしい。

 ふるさとの知識を試すご当地検定は県内各地で広がりをみせている。金沢のようにジュ ニア部門を設けることは、検定の裾野を広げるとともに、ふるさと教育の熱気を高める有効な方法である。

◎グルジア紛争 冷戦の愚を繰り返すな

 ロシアが南オセチア自治州とアブハジア自治共和国のグルジアからの独立を承認したの に対し、先進七カ国(G7)外相が、「グルジアの主権侵害」と厳しく非難したのは当然である。ロシア側は聞く耳を持たぬふうであるが、対立をエスカレートさせない冷静さと賢明さを失わないでもらいたい。一方的な独立承認は、グルジアの領土保全を明記した過去の国連安保理決議にも反し、国際的な支持は得られない。

 東西冷戦が終結した後は、自由・民主主義と市場主義経済の広がりによって国際秩序が 形成されるようにみえた。しかし、世界各地で民族紛争が多発する一方、米軍中心の北大西洋条約機構(NATO)の東方拡大に、復活したロシアが再び対峙し、新たな冷戦が心配される状況にあるのは残念である。米ロは、冷戦という歴史の愚を繰り返さないことが大国の責任と自覚してもらいたい。

 グルジア紛争は、冷戦後の民族主義の高まりに対応して国際秩序をどう維持するかとい う大きな問題を、あらためて国際社会に突きつけているのだが、現在のロシアは、チェチェン共和国など足元の民族主義を抑圧する一方、米欧側に傾くグルジアなど周辺国内の民族主義を利用して勢力拡大を図っているように見える。

 ロシアが独立を承認した南オセチアの人口はわずか七万人余、アブハジア自治共和国も 二十万人前後に過ぎない。たとえ独立しても国家の体をなさない「国」はいずれロシアに併合されるほかあるまい。周辺国がロシアの覇権主義に脅威を覚えるのも無理はない。

 グローバルな市場経済化で各国との相互依存関係が深まっている現実もある。グルジア 紛争でロシア国内から相当の外国資本が流出している。上海協力機構の会合で中国が独立承認を支持せず「対話による解決」を求めたのは、国内の民族問題のためだけでなく、経済で切り離せぬ関係の米欧との対立を避けたいからであろう。市場経済の発展形態は違っても、欧米との対立の激化と孤立化が大きなマイナスであることはロシアも分かっていよう。


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