Print this Post Article Lists Back

米海軍最新鋭イージス艦の艦長、チェ・ヒドン中佐

米国の最新鋭イージス艦「チャフィー」の艦長、韓国系のチェ・ヒドン中佐(写真右から二人目)。今年4月の艦長離任・就任式で敬礼をしている。/写真提供=米国海軍

 「貴下らはなぜ迷ったか分かるか」

 「…」

 「貴下らが教育時間に習った海流の動きは、昼と夜とでは反対になる。なのに貴下らは、それをあべこべに理解していた」

 8月1日夕刻、米国ハワイ・ホノルルから南東におよそ60キロの海上。米国太平洋艦隊に所属する排水量9000トン級の最新鋭イージス艦「チャフィー」の艦長を務める韓国系のチェ・ヒドン中佐(41)は、部下の将校らを集め、落ち着いた声で訓示を行った。チャフィーは建造費1兆2000億ウォン(約1232億円)をかけた最先端の艦で、実戦配備されてから5年も経っていない。

 7月30日から8月1日まで、2泊3日の短い訓練期間中、チェ艦長は10回余りの訓練を行い、300人を超える乗組員を休む間もなく追い立てた。だが部下たちは、艦長の言葉にどうすることもできなかった。対潜水艦戦将校のアンドルー・ゲラ大尉は、「チェ艦長はイージス艦について知らないことはない」と話す。

 チェ中佐は今年4月にチャフィーの艦長になった。米国の市民権を持つ韓国系として初めて、米国最新鋭の主力戦闘艦の艦長になったわけだ。仁川出身のチェ中佐は、忠武公・李舜臣(イ・スンシン)将軍とイギリスのネルソン提督を尊敬している。中学3年のときに両親と共に米イリノイ州へ移住し、イリノイ大アーバナ・シャンペーン校で歴史学を専攻した。大学で彼は海軍ROTC(予備役将校訓練課程)に志願した。

 「父が牧師で経済的に余裕がなく、学費の負担を減らして、全世界を旅しながら世界平和にも寄与する海軍の道を歩むため志願した」

 1990年に海軍少尉に任官した彼は、イージス巡洋艦「チャンセラーズヴィル」「シャイロー」など主にイージス艦で武器・戦闘システムを担当する将校として勤務し、イージス艦の専門家に成長した。韓半島(朝鮮半島)有事の際には真っ先に出動することになる、横須賀配備の米国第7艦隊でも勤務した。

 今年3月、チャフィーは訓練のため江原道東海市に寄港したが、これをはじめとしてしばしば韓国を訪れている。今でも『愛国歌』(韓国の国歌)を4番まで覚えているというチェ中佐は、「『愛国歌』を聞くと、目頭が熱くなる。韓国人であることを誇りに思い、韓国を愛している」と語った。

 これまで18年間の海軍生活における人種差別などの経験について尋ねると、「(人種差別は)なかった。わたしがこうした最新鋭艦の艦長になったということが、その証拠になるのではないか」と答えた。

ユ・ヨンウォン記者

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
このページのトップに戻る