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これからの災害対策は、常に「想定外」を視野に入れないといけないのではないか。予想しない場所でいきなりバケツをひっくり返したように降るのが最近のゲリラ豪雨だ。あすの「防災の日」を前に、身の守り方を考えたい。
愛知県を襲った豪雨は岡崎市で時間雨量一四六ミリ。想定をはるかに超え、街はあっという間に水に漬かった。福山市でも九一ミリを記録し一部地域で浸水した。
神戸市での急な増水による子ども水死事故や、金沢市の伝統的な街並みを直撃した水禍も記憶に新しい。これまでと違う降り方に人間社会は虚を突かれ「想定外」とぼうぜんとしているように見える。
気象の荒れは地球温暖化が一因とされ、今後も頻発しよう。今や「ここがいつ、どんな豪雨に襲われるかもしれない」との心構えを固める時が来ているのではないか。
必要なのは「最悪のときにはこうなる」「そのときにはこう行動する」というイメージを一人一人が持ち、行政も「まさかの事態」を組み込んだ対策を練っておくことだろう。
基本になるのは災害時をシミュレーションした「ハザードマップ」。自治体が作製し、時間雨量に応じ、浸水する地域や水位を示している。「これだけ降ればこうなる」と一目で分かる。ただ多くは過去のデータをもとにした想定。さらに見直しが必要になろう。
次いで「どう行動するか」。緊急時、自分が避難するのはもちろんだが、独り暮らし老人など近くの「災害弱者」に目配りできれば犠牲を抑えられる。プライバシーの見地から他人の家の中が見えにくくなっているが、地域で知恵を絞りたい。
一一九番を受ける側も、想定外の事態では混乱が避けられない。しかし思い違いから救急隊が現場に行かず車内の女性が水死した栃木県のようなケースを二度と起こしてはならない。情報が錯綜(さくそう)する中でも「ダブルチェック」「到着確認」などがきちんとできる備えが欠かせまい。
不意打ちから身を守る最大の武器は雨雲の情報だ。しかし気象庁のシステムは二十キロ四方の網の目で、ゲリラ豪雨をもたらす数キロ単位の情報はつかめないという。精度を上げて予兆をつかみ、局地予報をどう実現するか。さらにそれを住民にどう素早く伝えるか。もうひとつの大きな課題であることは言うまでもない。
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