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大本営発表という権力

今度の騒動では、日経新聞以外のすべての全国紙・夕刊紙・週刊誌・在京キー局が(直接あるいは電話で)取材に来た。その取材と報道を比較すると、おもしろいサンプル調査になった。

全国紙は、私の話を「裏を取る」材料に使っただけで、談話として使ったのは夕刊紙とJ-CASTだけだった。ただ、これがヤフーニュースのヘッドラインになったため、27日には当ブログへのアクセスが激増し、1日30万PVを記録した。テレビ局は、5社ぐらい撮影に来たが、放送で使ったのは日テレとTBSとテレ朝ぐらい。

おもしろいのはフジで、「サキヨミ」からスタジオ出演の依頼があったので、「私はかまわないけど、私はテレビ業界の天敵なので、前に出演スケジュールを決めてから『上からNGが出て・・・』とドタキャンされたことがあります。上司に確認してください」と答えたら、同じ結果になった。

新聞社はよく「戦時中は大本営の検閲や紙の配給のために本当のことが書けなかった」と言い訳するが、そんなのは真っ赤な嘘であることが本書(新書の再刊)を読めばわかる。新聞社は「大日本言論報国会」(徳富蘇峰会長)を結成し、大本営発表をさらに誇張した戦意高揚報道を競って行なったのだ。それは景気のいい戦果を載せたほうが売れるからであり、つまり国民が戦争を求めていたからだ。日中戦争以降の軍部の暴走の最大の要因は、新聞=世論の圧力だった。

だから大江健三郎氏のような「悪いのはすべて軍で、国民は軍に自殺を命令された無辜の被害者だ」という思い込みは、大本営発表の裏返しだ。大江氏を支援する先頭に立っている金城重明牧師(元沖縄キリスト教短大学長)は、渡嘉敷島でゴボウ剣で数十人を刺殺したことを法廷で認めた。本人は米軍に投降したのだから、これは「集団自決」ではなく殺人であり、金城氏こそ屠殺者である。軍=悪、国民=被害者という図式は、GHQが戦争責任を軍に限定することによって占領コストを削減するための情報操作だったのだ。

結果的には、この占領政策が最大の「戦犯」だった新聞を温存してしまった(ドイツの新聞社は解体された)。そして彼らは、いまだに「地デジは大成功する」という大本営発表を垂れ流し、都合の悪い情報を「自主検閲」している。私の友人のN氏は、通信と放送の融合をめざす情報通信法を評価したらワイドショーのレギュラーを下ろされ、「竹中懇談会」のメンバーだったM氏は討論番組のレギュラーを下ろされた。メディアの「翼賛体質」は、大本営のころから何も変わっていないわけだ。
コメント ( 9 ) | Trackback ( 1 )
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コメント
 
 
 
官僚・マスコミにやさしい福田政権 (tanakac)
2008-08-30 21:17:55
今回の太田農水相の件でマスコミがおとなしいのは福田政権が官僚やマスコミに優しい政権だからでしょう。そのうちブログやネットがうるさくなってくるとネットそのものを規制してくるかもしれません。太田氏など今回のことを契機に例の「人権擁護法案のネット版」など言い出してくるかもしれません。成熟したメディアである新聞やテレビは除外する。したがって言論の自由は保証されるとか理屈をつけて。
 
 
 
こんばんは (秦智紀)
2008-08-30 21:33:25
このブログを読めばテレビの天敵になるのは当然ですよね。
ただ、天敵だからと言って出演をNGにしてる時点で日本のマスメディアには、言論の自由なんてものは存在しないんだと言っているのと同じですね。
だから、翼賛体質は変わらないでしょうね。
民主主義や自由主義を理解してないから腐るんでしょうね。

僕の個人的意見ですが、軍部が暴走する前から
国政選挙があったし、1942年にも選挙が
あったわけですし、新聞が国民を煽ったというのもおかしいですよね。
新聞の内容が嫌なら国民は買わないわけですからね。
 
 
 
出演期待 (ファン)
2008-08-30 21:55:00
次回出演依頼があったら、上司へ確認させることなく、是非とも出演していただきたいです。

池田先生を出演させたことによって、「サキヨミ」のスタッフが罰せられるということはあるのでしょうかね?

最強の論客である池田先生をテレビで観てみたい。望むらくば討論番組がいいな。
 
 
 
その瞬間に出会いたい (waka)
2008-08-30 23:03:01
メディアを牛耳っている読売の社長が星野しかWBCの監督はいないだろうといったのは、単に自分の生きてきた世の中の発想では何にも新しい発想はありませんと告白していることと同じですね。

池田氏とともに新しい時代に出会える瞬間を楽しみにしています。
 
 
 
小泉政権の時がひどかった! (Unknown)
2008-08-30 23:14:55
小泉滅茶苦茶郵政選挙のとき
物の見事に小泉批判の学者、評論家はテレビから姿を消した。

それに取って代わったのは言わずと知れた小泉礼賛学者、評論家であったのは記憶に新しい。
 
 
 
かつてローカル民放マンの感想 (Sott)
2008-08-30 23:27:40
> テレビ局は、5社ぐらい撮影に来たが、放送で使ったのは日テレとTBSとテレ朝ぐらい。

在京TV局の「現場の力率」は6割ですか・・・たぶん地方なら限りなくゼロに近いでしょう。
ほとんどTVを見る機会がないため気にはしていましたが、それなりに感心?しています。
 
 
 
小泉政権の時 (安野)
2008-08-31 06:52:28
>物の見事に小泉批判の学者、評論家はテレビから姿を消した。

これは嘘ですね。当時、この選挙は自民党を負けさせなければいけないとマスコミがこぞって派ん小泉キャンペーンをしたのは上杉隆氏なども認めている所です。
 
 
 
国民が戦争を求めていた (名乗るほどの)
2008-08-31 08:05:46
「つまり国民が戦争を求めていたからだ。」
戦争でも起こってくれないとこの不景気(昭和恐慌)はどうしようもないと,戦前,多数派は思っていた。そう推測するのが合理的だ。今日これを指摘するのがタブーなのかどうか知らないが。
 
 
 
過去に学べない日本 (Unknown)
2008-08-31 09:34:22
現在も『エコロジー』で似たようなスキームが進行中に思えます。
70年前に較べると(ネット等で)批判的な意見も多いですが、
結局は理論に乏しく誤った『国民の求めているエコ対策』が
まかり通っていますし。
 
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