将 棋 の 話
放談室
まじめな私
スケジュール

バックナンバー

名人就位式

 さすが羽生名人の就位式ですね。椿山荘にて700名余の人々が集まりました。凄い熱気です。
 共催になっての初めての就位式。毎日は朝比奈豊社長、朝日は秋山耿太郎社長とトップが出席です。
 私はお二人のあと三番目に挨拶。
「この2年間はいろいろありました。本日、このような形で私が就位式に会長としてご挨拶できるとは思ってもいませんでした。全ては朝日新聞社の熱意と毎日新聞社の大きさ、懐の広さのおかげです。あらためて両新聞社に厚く御礼申し上げます。
それもこれも全国の将棋ファンあってこそです。これからもご支援下さいますようお願い申し上げます。あ、それから将棋に理解ある新聞のご購読を是非お願い。云々」

 私はサイン攻め、撮影等々一時間半の間、多くのファン、知人と接することが出来ましたが、なにしろ人が多い。せいぜい200名くらいの人としか話が出来なかったと思います。九州から来た人、東北から来た人もいます。
「米長先生のHPを読んで来ました。このパーティに出席出来て本当に良かった。運をもらって帰れそうです」
 大変楽しいパーティでした。

メールあり。
「楽しいパーティでした。プロ棋士の先生方も、もっと多く参加して、ファンとの交流の場としたら良いのでは。
棋士だけが数人で固まっているのはやめて、ファンサービスをするようにしたら将棋界はもっともっと良くなると思います」
 おっしゃる通りです。ご意見等、掲示板の方へお寄せ下さればと思います。
小中学生と将棋

 おかげさまで小子化の中、将棋人口は増えているようです。夏休みには公式な大会、準公式、プライベートな催しが目白押しです。
 全ての大会に、参加者の増加を第一と考えています。その次に棋力のレベルアップです。どうしても弱い者、負けた者は翌年の大会には引っ込み思案になりがちです。
 私は徳川家康の遺訓にこそ現代教育で最も失われているものと、将棋こそがそれをカバー出来るものが含まれていると思っています。

徳川家康遺訓
「人の一生は重き荷を背負いて遠き道を歩むが如し。決して急くべからず。」
 この有名な家訓は徳川三百年の礎になったものです。数々の戒め、教訓が一言毎に分かり易く書かれています。特に次の項はハッとします。
「勝つことのみを知りて負けを知らざれば、害その身に至る」
 人間が成長するには勝つばかりではなく、負けることによって得るものが多々ある。負けたからもう将棋は嫌い、次の大会には出ないなどはもってのほかである。負けた口惜しさをバネにして新たに大きなものに立ち向かう。これが人生で一番大切なことと説いています。将棋を習いたての小中学生には、負けてこそ得るものが多いことを、その年齢に応じて説くことが求められます。
 将棋大会やイベントでは、早々に敗退した者や、弱い人、一局も勝てないような人やその母親に「今日は参加して良かった。又来年も来たい」と思ってもらうような工夫、努力が必要です。この運営者のノウハウについて近々「普及会議」を立ち上げるつもりでおります。

 対局型掲示板は普及に関する建設的なご意見は行数に関係なく歓迎です。是非、妙案、工夫等、宜しくご投稿を。
 小学生名人戦、中学選抜は個人戦です。文部科学大臣杯の小中学校団体戦は3人1チームの団体戦。この団体戦は2年目ですが、参加チームが増えた都道府県と、残念ながら減少した所がある。来年は全都道府県で増加が最低限の目標です。
 関係者の皆さま、頑張って下さい。


女流の人氣

 夏は各地で将棋まつりが目白押しです。詳しくは「スケジュール」の項をどうぞ。
 インターネット棋戦の大和証券杯、達人戦も8月に決勝戦があります。ライブで観戦出来ますので、事前申し込みをどうぞ。

 男子プロの対局は多くのファンを感動させますが、やっぱり女流棋士は人氣があります。
 女流棋士は大別すると3グループです。27才以上の約40名が2つに分かれました。一方は新団体を作り、もう一方は残った。20名ずつくらいで、それぞれに主張があるのでしょう。
 25才以下は結束が堅い。将棋のプロである以上はある程度の実力は不可欠。という訳で、男子プロを多数投入して実力アップを図っています。同時に「サービス」「普及」等の指導もしています。

「あんた!将棋が弱いくせに仕事が多いわね」
 もうこのようなイジメなどは無くなるものと信じたい。若い女流への応援、アドバイスを宜しく。勿論、全ての女流を宜しく。

これからの将棋界

 まずは普及ですね。各地のデパートの将棋まつりでも全国至る所で子ども達の参加が目立ちます。
 女の子の頑張りも凄い。小学生名人戦では3県の代表(即ち県小学生名人)は女子でした。全体の15%が女子です。男女比が85対15になったということです。
 このように頑張っている女の子、あるいは現在の女流プロが、男子とどのように互角に戦えるようにするか。その秘策はまだ発表段階ではありません。

 女流棋界の騒動は、結局は銭ゲバです。不満な人と、「現状のままから努力」という人とに分かれた。何も分からない、あるいはどちらでも良いという人が約半分でしょうか。
 米長流の新しい女流棋界の在り方の方策発表は来年以降でしょう。それまではとにかく各人が将棋の実力アップに努めることです。必ず報われる時が来る筈です。将棋が弱くちゃ話にならない。

 公益法人改革については谷川浩司を委員長とする委員会の答申を待つのみです。しっかりやってくれ給え。棋士の理解を得る為の努力を一生懸命やってくれという意味です。
 改革案を無事通せるかどうかは現理事会に任せるか、それとも「俺がやる」という代案を明示して登場する棋士が居るかです。代わりが居なければ私がやるよりありませんが、苦労は多いです。

 活字離れとネット事業。災いなのか、転じて福となるのか。難しい面白い局面ではあります。

東海本部

 東海本部が6月1日から新しい事務所に移転しました。今まで事務所らしきものが無かっただけに移転というのも変でしょうか。
 名古屋市を中心にして東海三県のみならず、東は浜松市、北東は長野県松本市、そして北陸三県までに影響を及ぼす本部です。縁のある棋士13名が署名しての嘆願書が提出されました。
 事務所は中日新聞社の一角にあります。格安とはいえ一応家賃は払います。月々の経費のうち、ある程度の予算は計上してバックアップします。
 これから先は普及活動如何に依ります。ますます発展するよう私の立場でも協力しますし、東海本部の人たちにも頑張ってもらいたい。一人でも多くの支部会員を増やし、一校でも多く、学校へ将棋を導入して欲しいものです。
 女流も室田(かわいい)、井道(ステキ)、長澤(歌姫)と揃っていますから、皆さん応援宜しく。

全員将棋

 日本将棋連盟という社団法人にとっては真に正念場です。全棋士、所属の女流棋士、指導棋士、アマチュア界の人々が力を合わせて一丸となって進むよりありません。
 いくつかの難所があるんですね。先ずは公益法人改革です。これはプロ棋士の理解が一番の急所ですが、このような局面では米長会長の失点狙いという人達も居ます。
 そこで私はそうならないように指してゆくんです。ゆっくりと着実に。多くのプロ棋士の意見を集約して決めてゆく。妙案があれば良い智恵を出してもらう。明るく先が読めています。

活字離れ
 これは深刻です。将棋は文字が駒の形をして動くものですから活字のゲーム、文化というべきでしょう。新聞社に頼り切っていただけに、新聞社の経営そのものがモロに将棋界に響いてきます。
 これからの日本将棋連盟は渉外部の実力如何ですね。頑張れよ。

女流棋士
 みんな仲良くしたいのですが、銭ゲバだけは仕方がありません。それでも優しくと願いたいのですが、組織というものを良く知っている人にはそれは通用しません。というよりも「軒先を貸して母屋を取られる」の名言になってしまいます。
 安心して将棋の勉強をして、とにかくある程度以上の実力を身につけることが第一。次には普及活動やファンサービスの講習会でしょうか。日本将棋連盟を愛している人には必ず幸せが待っている筈です。一人一人が幸せになるように祈るや切。