大盛況のうちに幕を下ろした北京オリンピック。競泳の北島康介選手や女子ソフトボール陣が見せてくれた日本代表の活躍は、見る人に歓喜を与えた。そのオリンピックの開幕からさかのぼること約1週間前、米ハワイ島にて、世界中から集まった学生と競い合うもう1人の日本代表がいた。ビジネスパーソンなら誰もが一度は操作したことのあるWordを使って――。
「え、わたしが日本代表? 何かの間違いじゃないの」
Office製品などのスキルを学べる専門学校「お茶の水スクール・オブ・ビジネス」に通う井原侑子さんは思わず声を上げた。Microsoft Office製品の利用スキルを競う世界大会「Microsoft Office 世界学生大会 2008」において、Word部門の日本代表に選出されたからだ。
井原さんは今年の4月に同専門学校に入学した。初めてPCに触ったのは小学5年生のころ。両親からの勧めやPC好きがこうじて進路を決めた。ただ、入学するまではPCでインターネットを少し利用していたくらいで、Wordなどのオフィスソフトを使うことはほとんどなかった。
そんな彼女がいかにしてWordユーザーの日本代表に上り詰めたのか。きっかけは同専門学校で必修となっていた認定資格「Microsoft Office Specialist」を受けたことだ。この資格試験では、文書の作成や書式設定、図の挿入などを基礎的な問題が40問程度出題され、実際にオフィスソフトを操作してそれらを解いていく。
入学して2週間以内に同資格を取得するためのカリキュラムが組まれていた。1日6時間の勉強を10日続け、試験に挑んだ。受験者の多くが50分という制限時間を使う中、井原さんはわずか15分ほどで問題を解いた。結果は満点。井原さんを受け持つ講師が感嘆するほどの解答の早さと正確さだったという。
実際に問題を解いている姿を見せてもらった。出題から数秒でキーボードをたたき始め、10分ほどの時間で6、7問の問題を次々に解いていく。マイクロソフトのソリューションビジネス統括本部に務める篠木隆一郎シニアマーケティングスペシャリストは「“この場面でこの機能を使う”といった判断が神がかり的に早い。マイクロソフトの社員でもこれだけの早さで回答できる人はいない」とその才覚に舌を巻く。
日本代表の通達を受けたのは5月末。井原さんは、Wordを本格的に学習し始めてからわずか2カ月弱で「日本一Wordが使える学生」の称号を得てしまった。
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