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社会

架空請求と勘違い?還付の申請低調 旧五菱会ヤミ金事件 

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検察庁からヤミ金被害者に届いた通知書

 全国で被害者が数万人に上ったとされる指定暴力団山口組系旧五菱会のヤミ金融事件で、検察庁が七月から、被害回復給付金支給法に基づき、没収した犯罪収益を被害者に分配する手続きを始めたところ、通知書を受け取った被害者が新手の架空請求と勘違いするケースが相次いでいる。周知不足や、「外国譲与財産支給手続開始決定通知書」という難解な名称が誤解を招いているらしい。手続きを担当する東京地検は被害者への再通知などを検討している。(飯田 憲)

 今回の被害救済は、二〇〇六年十二月に施行された被害回復給付金支給法の適用第一号。一九八八-二〇〇三年八月、旧五菱会系ヤミ金グループの被害に遭った人を対象に、スイス当局が没収し日本へ返還した犯罪収益約二十九億円を分配する。給付金を受けるには被害者の申請が必要で、期限は来年一月二十六日。

 同地検は、把握できた約三万五千人に個別に通知し申請を促す一方、ホームページなどで約三百九十の業者名や振込口座の情報を公開。申請を呼び掛けている。ところが、通知書を不審に思って捨てたり警察に届けたりするケースもあり、申請は低調という。

 神戸市内の六十代の女性は二〇〇二年、五菱会系のヤミ金融約二十社から二百万円以上を借りたが、高金利で完済できず、脅迫的な取り立てに苦しめられた。一年後に債務整理を終えてから五年もたった先月末、給付金申請のための通知書が届いた。

 女性は突然の書類に新手の振り込め詐欺と思い込み、兵庫県弁護士会の辰巳裕規弁護士に相談。説明を受け通知や制度の趣旨を理解したという。

 辰巳弁護士は「一見しただけでは、被害救済の書類と読みにくく、もっと丁寧な説明が必要」と、地検に対応を改善するよう求めている。また、申請に際しては「どの業者にいくら借りたかを書いたメモ、銀行通帳、業者からのダイレクトメールなど被害当時の記録があれば突き合わせるとよい」とアドバイスしている。

 被害回復給付金の手続きに関する問い合わせは、五菱会事件被害回復センターTEL03・3595・1201

 五菱会ヤミ金融事件 指定暴力団山口組系旧五菱会の元幹部らが法外な高金利によるヤミ金融を展開し、海外銀行を通じて巨額の不正利益をマネーロンダリング(資金洗浄)したとされる事件。元幹部は2003年に逮捕され、東京高裁で有罪確定。犯行グループが海外に隠した計約94億円の追徴が認められた。被害回復給付金支給法は06年6月に成立。

(8/29 14:55)

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