今日で最終回?
発達障害を疑う場合の受診の話です。
4.診断がついたあとの展望がみえない,という不安。
やはり当然のお気持ちだろうと思います。
診断が,ただのレッテル貼りになってしまっては,本当に意味がない。
診断した以上は,その診断をこどもさん本人にとって意味があるように,プラスになるように,活かしていかないといけないですよね。
昨日も書きましたが,発達障害の診断は,今の時点で発達のバラつきがある,ということなので,まずはどんなことが得意でどんなことは苦手なのかを検査して確かめます。
その上で,得意なことを活かして苦手なことを補っていくような,具体的な作戦を立てていくことになります。
大切なことは,将来おとなになったときに自立できること。
そのためには,どうしても基礎的な学力は身につけておきたいところ。
勉強大好き♪ になる必要はないけれど,押さえる部分は押さえたいし,「うまくできた」「わかった」という感覚も持っていてほしい。
学習面に関しては,精神科医よりも学校の先生方のほうが専門家だし,こどもさん本人と関わっていただく時間も長いので,こどもさんの特徴を先生方にもお伝えして,保護者-学校-病院で連携が取れる形にしていくのが理想だと思います。
もちろん,学校だけではどうしてもカバーしきれない部分は,個人的に補う必要も出てくるかもしれませんが…。
学校との連携でもうひとつ大切なことは,ほかの生徒さんたちとの対人関係について。
コミュニケーションはうまくいっているか,いじめられたりしていないか,がんばりすぎた自分を守るために必死になっていないか(教室から走り出たり,教室でパニックになったり,ほかの子へ手が出たり,学校に通えなくなっていたり…)。
もちろん,こどもさんと先生方との関係も大切。
そのあたりの環境調整も学校と一緒に考えさせていただいたりもします。
こどもさん本人に無理がかかって,身体の症状(腹痛,頭痛,立ちくらみ…)や心の症状(睡眠障害,抑うつ,不安…)が出ている場合には,薬物療法なども行いながら,学校生活や家庭生活をサポートさせていただくのも精神科医の仕事。
こどもさん本人だけでなく,こどもさんを支えてくたくたになったりしんどくなったりしている親御さんのお力にもなれたら嬉しいなぁ…。
もちろん,全部が全部すんなりお悩み解決! とはいかないかもしれない。
私たちにもうまくできない部分だってあると思います。
発達障害そのものについては,医療で対応できるわけではない(そもそも「治療」が必要なものではないので…)けれど,少なくとも発達障害に関連したしんどさには医療的に関わることができるし,学校や関連機関と本人・ご家族との橋渡しをしたりすることもある程度できるはず。
「診断がついたってどうしようもないじゃない?」という思いもあるかと思いますが,こどもさん本人や親御さんだけで悶々とするよりは私たち精神科医に声を掛けていただいたほうが少しは違った展開も見えやすくなるかもしれません。
どうか,「上手に」私たちを利用してくださいね。
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