不動産不況直撃…中堅「ダイア建設」株価10円の不安
2008/8/30 17:00ダイア建設は1976年に設立され、77年から「ダイアパレス」のブランド名で分譲マンションを開発・販売している。80年代には内山田洋とクール・ファイブのヒット曲「東京砂漠」のメロディーにのせ、「コンクリート・アイランドに夢がある」と都市生活の魅力を訴えるテレビCMを流して知名度を上げた。
しかし、折からのマンション不況のあおりを受け、業績は低迷。8月8日に発表した2008年4−6月期決算(単体)は、売上高こそ前年同期の56億円から74億円に増えたものの、営業損益は前年同期と同じ5億円の赤字だった。
マンション業者は建材や土地取得にかかる費用が上昇した分をそのまま販売価格に上乗せして売り出してきた。が、それが消費者に受け入れられず、ダイア建設も「完成在庫の早期販売のための販売促進費用がかかったことが赤字の要因」となっている。マンションが売れないわけだ。経営環境の悪化を受け、金融機関もマンション業者に対する融資を絞り込み始めている。ある金融関係者は「外資系ファンドや国内外の銀行などは米サブプライム住宅ローン問題の影響で、なるべく融資を絞り込み、貸し倒れリスクを減らそうとしている。少しでも経営に弱みがある不動産業者は、資金を引き揚げられてしまう」と指摘する。
ダイア建設の場合、今年3月末に264億円あった有利子負債が、6月末には212億円に減少。借金が減ったといえば聞こえはいいが、赤字経営なのに借金が減っているのは「銀行からの融資を受けられない状況になっていることも考えられる」(金融関係者)という。
また、3月末に41億円あった同社の現預金が、6月末には27億円まで激減していることも「今後の資金繰りに不安が出てくる要因」(同)とみられている。
こうした不安を株式市場も敏感に感じ取っており、06年1月に500円台だった株価は、今では10円台前半で推移している。
バブル崩壊後の同社は、マンション不況が訪れるたびに経営悪化に見舞われてきた。これまでに旧日本債券信用銀行(現・あおぞら銀行)や米投資ファンドのサーベラスなどから支援を受けて再建を目指したが、03年3月期に債務超過に転落した。
同年8月には、りそな銀行などから債務の株式化など1327億円の金融支援を受け、産業再生機構(07年に解散)送りとなった。再生機構は国が音頭を取って設置した企業の再生機関で、カネボウやダイエーなども送られた。メーンバンク以外の金融機関から経営が悪化した企業向けの不良債権を買い取り、メーンバンクやスポンサー企業とともに再建を進める仕組みだった。
ダイア建設は、賃貸マンションのレオパレス21をスポンサーに迎え、05年8月に再生計画を完了させたものの、経営は上向かず、08年3月期(連結)は16億円の営業赤字になった。
8月13日に民事再生法の適用を東京地裁に申請したアーバンコーポレイション(広島市)は、直近の08年3月期決算で696億円の営業黒字だったにもかかわらず、金融機関の貸し渋りなどで資金繰りが悪化し経営破綻に追い込まれた。
そのため、「財務体質に劣る中堅マンション業者はどこも苦しい。黒字だったアーバンコーポレイションが破綻したことで、業界の健全性に対する見方がますます厳しくなってしまう」(業界関係者)との不安が業界に広がっている。
赤字経営のダイア建設が極めて厳しい状況に置かれていることは間違いない。そのことは、企業の経営状態を先取りする株価が如実に表している。
出口の見えないマンション不況のなかで、ダイア建設は再び“試練のとき”を迎えている。
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