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2008.7.15(火)更新
【合同インタビュー】
スタジオジブリ最新作「崖の上のポニョ」がついに完成!
原点に立ち戻った宮崎駿監督が本作で挑戦したこととは?
【合同インタビュー】スタジオジブリ最新作「崖の上のポニョ」がついに完成!原点に立ち戻った宮崎駿監督が本作で挑戦したこととは?
写真左から、宮崎駿監督の集大成「崖の上のポニョ」をPRするプロデューサーの鈴木敏夫、宮崎駿監督、主題歌を歌う大橋のぞみ、藤岡藤巻のふたり
【合同インタビュー】スタジオジブリ最新作「崖の上のポニョ」がついに完成!原点に立ち戻った宮崎駿監督が本作で挑戦したこととは?
親交の深いジョン・ラセターとのやりとりをユーモアたっぷりに語った宮崎駿監督は「今回のエンディングは革命的で、420名分のカット(イラスト)を描きました。そしたら後ろの絵が見にくいって(苦笑)。スタジオのネコもちゃんと入ってますよ」と教えてくれた
【合同インタビュー】スタジオジブリ最新作「崖の上のポニョ」がついに完成!原点に立ち戻った宮崎駿監督が本作で挑戦したこととは?
地元・名古屋で和やかに“崖”Tシャツを着てアピールする鈴木敏男プロデューサーは「今年はいろんな意味で“崖”の年。ぜひ流行語大賞を受賞したいです」と意気込みたっぷり
【合同インタビュー】スタジオジブリ最新作「崖の上のポニョ」がついに完成!原点に立ち戻った宮崎駿監督が本作で挑戦したこととは?
主題歌を歌う大橋のぞみちゃんも「ポニョはかわいいから好き」と笑顔。宮崎駿監督もこのスマイルに目じりを下げっぱなし。「身長がね、この間あった時より5pも大きくなっているんです。子どもの成長ってすごいよね。子どもたちの1日と、大人の1日と、年寄りの1日では全然違うからね」とは監督談
【合同インタビュー】スタジオジブリ最新作「崖の上のポニョ」がついに完成!原点に立ち戻った宮崎駿監督が本作で挑戦したこととは?
大橋のぞみちゃんとともに主題歌を歌うのは藤岡藤巻のふたり。インタビューでは、おやじ……もとい、お父さん代表として「もう僕たちは娘とお風呂に入れませんから、入れる方は今のうちに」と世のお父さん方にアドバイス。ちなみに主題歌「崖の上のポニョ」は父子がお風呂で一緒に歌っているイメージなのだそう
【合同インタビュー】スタジオジブリ最新作「崖の上のポニョ」がついに完成!原点に立ち戻った宮崎駿監督が本作で挑戦したこととは?
長年のコンビだけに、会見中も息ピッタリ!
【合同インタビュー】スタジオジブリ最新作「崖の上のポニョ」がついに完成!原点に立ち戻った宮崎駿監督が本作で挑戦したこととは?
海辺の穏やかで小さな町の、崖の上に建つ一軒家で暮らす5歳の男の子・宗介。ある日彼は、海に棲むさかなの子ポニョと出会う。交流を深めていく彼らだが、やがてポニョは、宗介と一緒に生きたいと願うようになる
【合同インタビュー】スタジオジブリ最新作「崖の上のポニョ」がついに完成!原点に立ち戻った宮崎駿監督が本作で挑戦したこととは?
ひそかに筆者も疑問に思っていた「なぜポニョはハムが好きなの?」という素朴な疑問にも宮崎監督は答えてくれた。「食べたら美味しかったんでしょうね。パンよりおいしそうに見えた。不思議なもので、食べなくてもなんかわかっちゃうんです。だからフジモト(ポニョの父親)も苦労しているんですよね。いかにも栄養のありそうな緑色の海藻で作ったものを食べろといってもポニョはプィってしちゃう。ここにいる藤岡藤巻さんも同じような目にあってるみたいですからね」
【合同インタビュー】スタジオジブリ最新作「崖の上のポニョ」がついに完成!原点に立ち戻った宮崎駿監督が本作で挑戦したこととは?
生命の水がまき散らされたことで海の世界は混とんとする
(C)2008 二馬力・GNDHDDT

【STAFF&CAST】
監督・原作・脚本:宮崎駿 プロデューサー:鈴木敏夫 音楽:久石譲 主題歌:藤岡藤巻と大橋のぞみ 声の出演:山口智子 長嶋一茂 天海祐希 所ジョージ 奈良柚莉愛 土井洋輝 矢野顕子 吉行和子 奈良岡朋子(2008東宝)101分
■7月19日より全国東宝系にて全国ロードショー
>> 公式サイト
完成披露記者会見(3分29秒) [崖の上のポニョ]
>> 「崖の上のポニョ」動画・完成報告会見
>> 「崖の上のポニョ」上映スケジュール
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「初めはポニョはさかなの子じゃなくて
カエルだったんです(笑)」(宮崎駿)


 ポーニョ、ポーニョ、ポニョ、さかなのこぉ〜♪ 一度を耳にしたら思わず口ずさみたくなるこの曲は、「ハウルの動く城」(2004)以来4年ぶりとなる宮崎駿監督の最新作「崖の上のポニョ」の主題歌(タイトル同じ)。歌っているのは、世のお父さんにエールを送る男性デュオ藤岡藤巻のおふたりと、キュートな存在感たっぷりの大橋のぞみちゃん(9歳)。そして、主題歌にピッタリの映画もついに完成! という訳で、名古屋を訪れた宮崎駿監督、鈴木敏男プロデューサー、藤岡藤巻、大橋のぞみにインタビュー。ポニョ誕生話から、親交を深めるジョン・ラセター裏話、そして素朴な質問への回答まで、宮崎駿監督が語ってくれたぞ!

「最初は、ブリキのカエルが崖の上の草むらに落っこちているという設定で、中川李枝子さん原作の『かえるのエルタ』みたいな話にしようと思っていたのだけれど、どうにも上手くいかなくてね。お風呂場にある金魚のおもちゃを見て金魚のほうが自然かなあと。それで思い切ってさかなの子の話にしたんです」

 そうポニョ誕生話を語ってくれた宮崎駿監督。社員旅行で訪れた、瀬戸内海が広がる崖の上の建物が気に入った監督は、さかなの子ポニョに出会う少年、宗介の家を崖の上の一軒家に設定。物語の舞台となる海もひとりの登場人物として描き出した。
「イギリスの北海を目にした時に、水平線のかなたまで荒れ狂う海が見えたのが印象に残っていて、まるで怪獣がのたうちまわっているかのように見えたんですよ。これが本作のヒントになりました。海を描く時って、多少、靄をかけたほうが雰囲気は出るんですね。でも、今回はあえて靄をかけずに、遠方も線で波を描いちゃえと。そういう風に作っていきましたね」
「動かすことがアニメーションの生命
だからとことん動かしました」(宮崎駿)


 今回、アニメーションの原点に立ち返りすべての作画を手描きしたという監督にその魅力を聞いた。
「45年間、少しずつ精度を上げながら内容を濃くする努力をしてきたんですね。すると、どんどんとがってくるというか、範囲がだんだん狭くなってしまうんですよね。一度、素朴なところで、楽な気持ちで見られるアニメーションに立ち返ろうと。もちろん一枚、一枚の絵は随分神経を使っているんですけれども、少ない線でとにかく動かしていく。動かすことがアニメーションの生命だ! とばかりに、突然方針を変更したりもしましたけど、結果的にね。枚数は多くなりましたけど、スタッフも明るくやってたんじゃないかな。楽しくできましたね」

 楽しみながらも、挑戦し続けた監督に、いちばんの挑戦は何だったのかを聞いた。
「非常識な限りを尽くしました。つまり、こんな小さなポニョが、妹たちの力を借りながら、船より大きな波、僕らはそれを水魚って呼んでましたけど、そういう形に変身して耕一(宗介の父親)が乗っている船の上に、どぼんと落っこちたりするわけです。アニメーションとはいえ、いくらなんでも、これは唐突すぎやしないか、そういう非常識をドキドキしながら描いたのが、いちばん挑戦した部分です。半年ぐらい悩みましたし、ここを突破するのには時間がかかりました。苦労したのは、ポニョのお母さんであるグランマンマーレが登場するところ。どうやって登場させようかと随分悩みました。向こうからゴジラがやってくるように描くわけにもいきませんからね(笑)」
「ジョン・ラセターも困っていました(苦笑)」
(鈴木敏男プロデューサー)


 先日東京で行われた会見で、強力な布陣がアメリカ公開を後押ししてくれていると発表した鈴木敏男プロデューサーに、その詳細を語ってもらった。
「今回はスティーブン・スピルバーグ監督の作品を数多く手掛けるフランク・マーシャルとキャサリン・ケネディ夫妻に全米でのプロデュースをお願いしました。とくにキャシー(キャサリン)とは10年来のつきあいなのですが、娘のリリーさんも宮崎作品の大ファンなんですよ。今回は、親子の描き方がアメリカでもいろいろ論議をよびそうなのですが、リリーさんもいろいろ助言してくれますし、親子でがんばってくれているので頼もしいかぎりです。それに僕らの長年の友人であるピクサーのジョン・ラセターも手伝ってくれますので心強いですね」(鈴木)
「宗介が、自分の母親をリサ、父親を耕一と呼ぶ親子関係については、ジョン・ラセターのいちばん抵抗するところだろうと思うんですよね。それをありありと思い浮かべながら絵コンテを描いてました(笑)」(宮崎監督)
「実はですねえ、宮さん。ジョン・ラセターがいちばん困っているらしいんですよ。今までの作品の中でいちばんわからないって」(鈴木)
「友人としては、とてもいい友人なんですけれども。彼にとって今回の作品はある一線を越えているみたいなんですよね。『妹たちはなんなんだ!』『あの色っぽいお母さんはなんだ』と。ことごとく彼らの信条を覆していますから理解に苦しんでいる。僕はそれを意図的にやっているんですけど、僕らを支持する彼自身が途方にくれているという。まあ、途方にくれたほうがいいと思います(笑)」(宮崎監督)
「途方にくれながらも、絶対に俺はがんばる! と言ってくれてるんですけどね」(鈴木)
「あれだけ言っておきながら、最後に言う言葉が違うのが非常に面白いですよね。要は、東洋と西洋のカルチャー・ディファレンスですよね。人魚姫にしても、最後泡になってかわいそうと言うけれど、泡になってなぜ悪い? 泡になったっていいじゃないかと。まあ、9歳でこの話を読んで以来ずっとわだかまっていたんです。いやぁ、長い戦いでした(笑)」(宮崎監督)
 なんだか嬉しそうに語る宮崎駿監督。賛否両論を呼ぶだろう、親子の描き方。まずはとくとご覧あれ。
「作るに値する作品を作りたい!
ただそれだけなんです」(宮崎駿)


 インタビュー会場を和やかぁな雰囲気に包んでいたのが、主題歌「崖の上のポニョ」を歌った大橋のぞみちゃん。主題歌の歌い出しの部分が気に入っているという彼女は、「ポニョが波の上を走るシーン」が大好きなんだとか。

 そして、彼女と一緒に歌ったおやじデュオ藤岡藤巻の、藤岡孝章は
「ジブリ作品は、今までずっと自腹で観てきたのですが、今回初めて試写会で観ました(笑)。一度観ただけでは掴みとれないメッセージを感じたので、やっぱりもう一度映画館で自腹で観たいと思います」とコメント。

 一方、藤巻直哉は、「僕は2度観たんですけど、観るたびに感動するポイントが変わって面白いなと。観るたびに発見のある作品なので、映画館で何度も観たいです。ぜひ、みなさんも映画館の大きなスクリーンで楽しんで下さい」とPR!

 ちなみに、なかなか歌詞を覚えないという藤巻に、のぞみちゃんから「もう1年も経つんだからちゃんと覚えて下さい」という可愛らしいつっこみが入りポニョっとさせられる一幕も。

 最後に宮崎駿監督が「観た人が、ちょっとだけ元気になったり、穏やかな気持ちになったり、優しい気持ちになれば嬉しいし、その時初めて、作るに値したなあって思うんです。きっかけは作るに値する作品かどうか、ただそれだけなんです」と語った「崖の上のポニョ」。壮大な世界観と散りばめられた駿節を楽しむなら、断然スクリーンがオススメだ!

(取材・文/ライター 大西愛)
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