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あかいあくまと正義の味方 学園生活編(旧版): あかいあくまと正義の味方 学園生活編 〜その 5〜  
執筆者: mission
発行日付: 2004/9/20
閲覧数: 8504
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「おはようございます」
  藤村邸の門をくぐると、安さんがいたので挨拶をする。
「あ、衛宮の坊ちゃん、おはようございます。すいませんが組長(おやじ)、別の客人と庭で話し込んでるのでちょっと待ってて貰えますか?」
  言いながらも玄関を開け、奥の方に「衛宮の坊ちゃんが来られました」と、声をかけている。
「爺さんに客? こんな朝早くからってのは珍しいな」
「はい、趣味の仲間でもあるそうなので」
  と、言葉を交わしつつ玄関をあがると、ちょうど藤ねぇが出てきた。
「あ、士郎、早いね、お祖父ちゃん呼んでくるから、お祖父ちゃんの部屋で待ってて」
「ん、判った」
  勝手知ったる他人の……というか後見人の家、いつものように爺さんの部屋に行き、暫く待つとしよう。














あかいあくまと正義の味方 学園生活編 〜その5〜
















  何故俺がこんな朝早くから藤村の爺さんを訪ねているかというと、それは藤村の爺さんが俺の後見人であり、同時に藤ねぇが俺の保護者であるからだ。
  つまり、二年の終業式の日、遠坂と一緒に倫敦に行くことを決めた俺は、学園卒業後の進路について、親代わりであるこの二人に報告しに来たのだ。
  もっとも、春休みの間、バイトやら何やらで既に八割方予定が埋まっていた俺は、すぐには報告に来れず、藤ねぇに「進路のことで話したいから」と伝え、爺さんの予定を確認し、お互い時間の空いてる日を選ばなければならなかったのだが。それでも割と早く、春休みに入って三日目に、こうして報告に来ることが出来たのは良かったと思う。
  そんなこんなを考えつつ、爺さんの部屋に入ると、そこには日本刀が一降り置いてあった。


「爺さん、また新しい刀買ったのか?」
  思いつつ、脇に積んである懐紙を二つにおり、口で挟むと刀を手に取る。鍔に親指を当て、鯉口を切るとそのまま刀を抜き、刀身を見る。
  「トレース・オン」……とつぶやくまでもなく、解析(み)ようと思っただけで、その刀の情報が流れ込んできた。
「制作年代は大体30年ほど前、習作として作ったのか? いや違う、素材の検討用か。でも、骨子に歪みがあるな。それなりにしっかりとした作りはしているけれど、これなら数合程度で刀身が曲がるぞ」
  懐紙を落とさないように気をつけつつ、もごもごとひとりごちる。
「ほう、坊主にそんなことが判るとはな、これは意外だった」
  背後からの声に振り向くと、そこには爺さんと、さっき話に出たお客さんらしい人がいた。
  とりあえず刀を鞘に収め、懐紙を取り、
「ごめん爺さん、ここに置いてあったんでつい……」
「いや、かまわんぞ、それにしても、坊主にそんな才能があったとはな」
「しかし、これじゃ何のためにもってきたのだか……」
「わっはっは、バイク談義に花を咲かせたのが運の尽きだったな。ちなみに、儂のバイクをチューンしたのもこの坊主だ」
「ほう、じゃぁ、今度私のバイクもやって貰えないかな?」
「それはかまいませんけど……?」
「ああ、失礼、私は永山光男、刀剣鑑定士をやっている。藤村さんとはバイク仲間でもあって、よく一緒に走りに行ってるんだけど、今日はちょっとした余興で、その刀をどう見るかと思って持ってきたんだ」
「あ、失礼しました。私は衛宮士郎といいます。このすぐ近所に住んでいる者で、こちらには父が死んだ後の後見人とか保護者とかをやってもらっています」
「ほう……ところで、刀に興味があるようだね?」
「はい」
「どうかね? ちょっと私の家に来ないか? さっきのバイクのチューンの話もあるし、それに家にはいろいろな刀があるよ」
「は、はぁ……でも今日はちょっとこれから……」
「長引くようならまたにするが、そうでないなら待たせてもらうよ。どうかな?」
俺はどうしたものかと爺さんのほうを見ると、爺さんは
「いいんじゃないか? それほど長い話でもあるまいし、時間があるんだったら行ってみろ」
  と、俺に勧めてきた。
  爺さんがそう言って勧めるなら、特に問題はないだろう。話も、そんな長くなるような話ではないし、おまけに今日は急用が出来たとかで遠坂もいない。ぶっちゃけ暇なわけだ。
「それではお邪魔させて頂きます」
「うむ、それでは待たせてもらうよ」
  そう言って永山さんが部屋を出るのと入れ替わりに藤ねぇがやってきた。


「倫敦に行くの!?」
  あれ? いつもの藤ねぇなら、ここで間違いなく暴れるのに、腕を組んでふむと考え込んでいる。
「ああ、前に藤ねぇいってたろ、俺が絵を描くと無駄に精密な絵になるって。ならばいっそ、それを生かして工業デザインをやってみようと思ってな」
「ふーん、そっか。工業デザインねぇー?」
  ん? なんか目がキラーンと輝いたぞ、何を思いついたのか知らないけど、凄く嫌な予感がする……
「そうか、坊主は倫敦に行くのか。ならちょっと渡さなきゃならん物があるな。そうだな、二・三日したらまたこい。それまでに用意しておく」
「ん、ああ、判った」
  と、爺さんがなにやら感慨深げな顔でうなずきながら言うのに応える。
「ところで士郎」
「な、なんだ?」
  う、この顔、絶対何かいたずらを思いついた顔だぞ!
「遠坂さんも倫敦の大学の美術科に留学するんだよねぇー?」
「それがどうした?」
「工業デザインってやっぱり美術科よねぇー?」
「あ、ああ。だからなんだって……」
  なんだよ、そのトラが獲物をいたぶるような目は……
「要するに、恋人と別れたくないから同じところに行くのね」
  だ、断定するな! って言うか、なんで藤ねぇがそう言う話題を振ってくるんだよ!
「遠坂って言うと、向こう側の丘の上の、あの遠坂か?」
「そうなのよぉーおじぃちゃん! 士郎ったら、いつの間にか遠坂さんとラブラブになって、こないだ私と桜ちゃんの前で恋人宣言までしちゃったのよぉー!」
「ほぉー、坊主がなぁー」
  う、や、やめてくれ、今更ながら恥ずかしくって、顔が赤くなって来るじゃないか。
「で、坊主、どのぐらいまで付き合うつもりだ?」
  爺さんが急にまじめになって問いただしてくる。
「え? どのぐらいって?」
「そんなこと決まってるだろう、普通の恋人か、ステディな仲か、それとも?」
「え、えっと、指輪買うような金まだ無いから……その、口約束だけだけど、その……、結婚しようって……」
「士郎、やるじゃない!」
「ほう、そこまで行っているのか。大したもんだ。だが坊主」
  言いつつずいっとこちらの目に視線を合わせると、
「まさか、財産狙いなんてケチなことは考えちゃおらんだろうな」
  鉄をもうがつような圧力を込めつつ聞いてきた。
「財産? 確かに遠坂の家は古いから何か価値のある物があるかもしれないけれど、どっちかって言うと金に困ってる方らしいぞ? 留学だって、特待生として招待されるから、学費やら何やらが免除になるって喜んでたくらいだ」
  おまけに聖杯戦争では、ため込んでた宝石を惜しみなく使ったから、今の財政は相当に酷いはずだ。
「だから、少ないとはいえ、切嗣(おやじ)の遺産も多少は取り崩さなきゃいけないかと思ってたんだ。遠坂にはまだ言ってないけどな」
  そう、俺たちはパートナーなんだ、だから、遠坂だけが何もかも背負うんじゃなく、俺に背負える分は俺も背負わなくっちゃいけない。ま、切嗣の遺産を全部取り崩したって、あいつが使った宝石のどれだけを補填できるか判らないけど。
「ふむ、本気でそう思ってるようだな。なら良い。ところで、結婚するなら矢張り坊主が婿養子か?」
「え?」
  ……確かに、結婚するならどっちかがどっちかの家に入るんだよな。でも、そんなとこまで考えてなかった。
「考えておらんかったという顔だな。まあ良い。儂は衛宮の家についてはわからんが、遠坂家については戦国の世からこのあたりを治める領主であったという程度のことは知っている。ならば、それだけの旧家をそうそうなくすわけにもいくまい。故に、坊主が婿養子として入るものであろうと考えたわけだ。むろん、衛宮の家を断絶させたくないと言うのであれば、生まれてくる子供の一人に衛宮の家を継がせればよい。その程度の処理はさほど手間でもないのでな」
「と、遠坂と話し合ってみます」
「うむ、そうせい。それからもう一つ」
「はい?」
「結婚を前提に付き合うというのならば、後見人である儂や保護者の大河が知らんぷりしているわけにもいくまい。挨拶に行くのに都合の良い日を聞いておけ。」
  儂はいつでも都合をつける。と、話をまとめた爺さんに、藤ねぇが言うべき事を全部言われちゃったとむくれて見せている。爺さんは爺さんで、こういうのは年長者の仕事だと軽くいなすと、
「さて、今日の話というのはこれで全部かな?」
「はい、全部です」
  と、言うか、改めてべつに話すつもりだったことまで終わったし。
「そうか、じゃ、また今度つきあえ」
「はい」
「それとな」
「?」
「ある調査によると、最近の婚約指輪の相場は60万程だそうだ」
  ……社会人ならともかく、学生のアルバイトでその額はきついな。バイトを増やすしかないか。
「それと、刀を見に行くんだったな。これを使え」
「はい、じゃ、借りてきます」
  受け取りつつ答え、そして爺さんの部屋を出た。


  出たところでちょうど行き会った健さんに永山さんの居場所を教えてもらい、一緒に藤村邸を出る。
  なんと、あの話の間中、ずっと爺さんのバイクをいじって遊んでいたそうだ。
  そうして道を案内してもらって、小一時間後、永山さんの家に着いた。
  バイク談義に花を咲かせながら、永山さんのバイクを一通り見せてもらい、更に、永山さんの希望を聞きながら"解析"(み)る。国産バイクなので、まずはオーソドックスに吸気系の抵抗を外し、排気系はこれも抵抗の少ない軽量タイプと交換か。後はエンジン内部のカーボン等を洗い、バランスを取り直して様子を見ればいいな。ホィールも軽量タイプと交換できればなお良いんだけど、排気系交換だけで20万近く跳ぶしなぁ。やっぱり交換しないで、こっちも抵抗を外すだけにした方が良いよな。一体予算はどのくらいなんだ?
  そんなこんなを話し合い、予算的な問題はないようだけれども、とりあえずは部品交換せずに済む範囲だけチューンして、後は様子を見つつ追い込んでいくことになった。
「バネ下の軽量化が効くのは判っているんだけどね、いきなりどかっと変えちゃうとどこを変えたのがどう効いてるか判らないだろ?」
  と、言うことなのだがもっともだ。
  実際俺が爺さんのバイクをいじってた時も、そうやって順々にやってたからな。
  そんなこんなで話が一段落し、家の中にはいると、まず油の付いた手を洗うために洗面台を借りる。
「ここ来るまでに汗かいたり埃被ったりしたから顔も洗いたいだろ? タオル出すからまってなさい」
  そう言って永山さんは洗面所から離れ、
「おーい、明美ぃー、ちょっと来てくれ」
  と、家の人を呼びに行った。
  確かに顔ぐらい洗っときたい気分なので、素直に勧めに従うこととして、待ってる間に手にこびりついたオイルを洗い落とした。
「タオル、ここに置きますね」
  人の気配がしたかと思うと、すぐ隣にやってきて、タオルを置いてくれた。 「あ、すいません、俺」
「士郎さんですね。さっき父から聞きました。私は明美ともうします。どうぞよろしく」
  そう言って、柔らかく微笑むと、その人は軽く会釈をして部屋へと戻っていった。
  明美さんかぁ、俺より年上の感じだけど、桜が髪を短くして、少し大人びておっとりするとあんな感じになるかな? などと思いつつ、顔を洗い終えて出ると、
「父の部屋にご案内します」
  計ったように出てきて、案内してくれる。
  案内されて入ってみた部屋では、部屋着に着替えた永山さんがいろいろな刀を部屋中に並べていた。
「お父様」
  軽く避難するような口調で注意しようとする明美さんに、
「いや、士郎君にはこっちも見てもらうつもりで連れてきたんだよ。お前も一緒に座って、士郎君がどのように見るのか見てみると良い」
「……でしたら、お茶の用意をしてきます」
「ああ、頼む」
  一時間ほどの間、永山さんの出してくれた刀を"み"て、その結果に対する永山さんの解説を聞いていくことで、刀剣類の鑑定がどのように行われているのかも大体判ってきた。
  そして、明美さんが作ったお昼をごちそうしてもらってから、残りの刀も見ていき、一通り見終わったのは午後三時過ぎ。
「今日用意できた刀はこのくらいだけど、収蔵室に行けばまだまだたくさんある、良かったら、また遊びに来ると良い。他の刀も用意して待ってるよ。」
「はい、ぜひ」
  そうか、まだいろんな刀が見れるんだ。鑑定士やっているだけあって、今日見た中にも名剣と言っていいレベルの刀が何本かある。中には近代の作りだけど、これだけの刀を打てる人ならば、美術刀ではなく実戦用の刀も凄いものを打てるんじゃないだろうか? と、思えるような刀もあった。何でも、その刀を打ったのは知り合いの方らしいし……
「それから、士郎君の見方だと、製作工程も知っていた方が、より刀のことがよく判るだろう? 今度、知り合いの刀剣鍛冶のところに連れて行ってあげるよ。ほら、さっきやたらと気にしていたあの刀を打った人のところだ」
「ホントですか? ぜひお願いします」
  楽しみにしていていいよと言うと、
「さて、私はこの刀を仕舞わなくちゃいけないから、ここで失礼するよ。明美、士郎さんを送ってあげなさい」
「はい、お父様」
「それでは失礼します」
  明美さんが送ってくれるそうなので、永山さんに挨拶をして部屋を辞した。
「では、こちらにどうぞ」
「はい、すいません」
  でも、この人、ずっと俺の隣に座って、にこにこしながら話を聞いていたけれど、退屈しなかったのだろうか?
そう思って聞いてみたら、
「いいえ、私も父に学んで鑑定士になるつもりですので、士郎さんのような違う見方をする人と一緒にいられて、大変勉強になりました。よろしければ、これからもご一緒させてください」
  人を包み込むような柔らかい微笑みを浮かべながらそう言ってくれた。
  それなら良いんだけど、まぁ断る理由もないので、
「そうですか、それじゃぁ俺に判らないところとか教えてください」
  と、答えた。
  そして門のところで、
「それでは失礼します」
「はい、ぜひまたいらしてくださいね。お待ちしております」
  と、挨拶を交わし、別れ、途中、深山の商店街で晩の買い物を済ませ、爺さんのところによって鍵を返し、そうして家に帰った。


  藤村の家を出て、坂を下りていくと、タイミング良く家の前で遠坂と出会う。
「あら、今帰り?」
「おう、買い物も済ませてきたぞ」
「でも、上から降りてこなかった?」
「うん、爺さんに返す物があったんだ」
「へー、あ、荷物もとうか?」
「この距離だしいいよ、それより門開けてくれないか?」
「ん」
  遠坂は先日渡した鍵で脇戸を開けると中に入って門の閂を外し、俺が門を開けている間に玄関も開けていた。
「「ただいま〜」」
  二人で言いながら家に入ると、手早く靴を脱いだ遠坂は俺が靴を脱いでいる内に、さっさと生ものや牛乳のパックの入った袋を取って、台所に持っていった。
  残りの荷物を持って台所に行った俺は、手早く冷蔵庫に食材を仕舞っている遠坂の脇で、荷物を仕舞おうとしたのだが、
「士郎、ずいぶん汗くさいわね。それに埃と油……排気ガスも? 何やってたのか知らないけれど、お風呂入ってきた方が良いわよ」
「あ、そっか、ごめん、ちょっと流してくる」
「なんなら、背中流しに行って上げようか?」
  なんて、いたずらっぽく聞いてくる。
  ……それは、ちょっとやばい。魅力的な提案だけど、魅力的すぎてやばい。
「い、いや、い、いい、やらなくて、いい」
「あらぁー? 私なんかじゃ、いや?」
  うわぁー、そんな笑顔浮かべながら言ってくるな、判っててやってんだろお前!
「い、いやなわけない……、いやじゃないけど、いい、やらなくていい」
「ホント、士郎の反応って極上よねぇー」
  と、遠坂はくすくすと笑って嬉しそうに言う。
  くそ、こんな嬉しそうな顔されると文句が言えなくなるじゃないか。
「だぁー、もう行ってくる」
「はいはい、それじゃお茶の用意しとくね」
「おう」


  汗を洗い流し、さっぱりしたところで、今朝のことを遠坂に話す。
「……と、言うことで、今度爺さん達と一緒に、神父さんのところに挨拶に行くことになったから」
「そ、そうなの」
  驚いたのか、きょとんとした顔のまま答える遠坂。そんな様子が、なんだか可愛い。思わず見とれていると、不意に我に返り、あたふたとし始めた。
「え、えと、じゃぁ早く空いてる日を確認して、あ、でも士郎のバイトのない日でないとダメよね、あ、場所はどこにしよう? 教会で? 先生の家? あっちの家? それともこの家? えっと、それから……」
  あー、また自分の世界に入ったな。このまま見ていたい気もするけれど、とりあえず指摘するとこは指摘しておかないと。
「遠坂」
  こっちに戻ってこれるように力を込めて名前を呼ぶ。
「え? あ、何? 今ちょっと手が離せな……」
「まず会う場所だけどな」
  と、また考えに沈まない様に言葉を遮る。
「え? うん、何?」
「爺さん達は"挨拶"に"行く"って言ってたから、場所は教会で良いと思う。で、"挨拶"なんだから、それほど堅苦しくしなくても良いんじゃないのか」
「あ、そうか」
「どのみち、俺たちはまだ学生だから、制服を着ていけば済むだろうし」
「そうね、じゃぁ都合の良い日を聞いておくけれど、士郎のバイトの方はどうなってたっけ?」
「いや、こっちの方が大事だ、日時さえ決まれば、バイトの方を調整するよ」
「え……」
  遠坂はちょっとびっくりしたような顔をしたかと思うと、次の瞬間、顔一杯に嬉しそうな笑みをたたえて、
「ありがとう、士郎」
  と、言ってくれた。


  ああ、このときはまさか、あんな横やりが入るなんて思っても見なかったんだよな。しかも、既に俺がその引き金を引いていて、気が付かないまま、次々と新たな引き金を引く羽目になるなんて、予想だにしていなかったよ。






  後書き

  はい、順風満帆な二人の門出……と、思いきや、気が付かないままにトラブルの引き金を引いている士郎君でした。
  しかも、本人がそのことを知るのはずっと後、天然って恐ろしいですね。きっと占い専門の魔術師が彼を見れば、驚き呆れること請け合いです。
  この後春休み中の話が後二話……三話になったかな、三年になってからの
ドタバタが最低一話、そして夏休みにはトラブルが顕在化し……と展開していく予定です。
  しばらくはそんなラブコメ展開になりますので、このような展開が好みでない方はどうかご容赦を。

  ご意見・ご感想をここのBBSにて頂けたら幸いです。
  特に、私が気が付いてないであろう未熟なポイントの情け容赦のない指摘を頂けると少しでも文章をマシにできるはずなので、そのあたりよろしくお願いします。

MISSION QUEST

2004/09/20 初稿up
2005/01/23 一部修正

 
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