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あかいあくまと正義の味方 学園生活編(旧版): あかいあくまと正義の味方 学園生活編 〜その4〜  
執筆者: mission
発行日付: 2004/8/23
閲覧数: 8507
サイズは 14.56 KB
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あかいあくまと正義の味方 学園生活編 〜その4 〜


「しろう〜、おはよう〜、ミルクちょうだ〜い」
  遠坂がいかにも眠たげに起きてきた。
  いつまで経っても、こういうところは変わらないみたいだな。
ま、俺だけに見せてくれるなら何も問題ないんだけれど……。
「ねぇ、ミルクちょうだ〜い、しろうの、温かいミルクをたくさんちょうだ〜い」
  ……だから、俺だけが居る時なら問題ないんだよな。
  そう思いながらも、冷蔵庫から牛乳を出すと、ちょっぴり蜂蜜を加えつつあたため、適温に暖まったところで、ミルクパンからマグカップに移し、遠坂に渡す。
「ほら、熱いからな、火傷するなよ」
「う〜、大丈夫、だってしろうのミルクだも〜ん」
  ん、いや、まぁいいんだけどさ、でももう少し周りをよく見て……あれ?
よく見てなかったのは俺かな?  遠坂がいつもと少し違うような気が……。
えっと……え?
  い、いつもと同じミニなのに……オーバーニーソックスを履かずにいる……。
  俺が思わずそんな遠坂に見入っていると、ぺたんと女の子座りをした遠坂がふぅー、ふぅーっと、可愛らしく牛乳を冷ましながら、こちらに視線を向け、不思議そうに聞いてきた。
「しろう〜、どうしたのぉ〜?」
「ん、あ、い、いや、なんでもない。えっと、今日も和食だけど、問題ないよな?」
「う〜、だってしろうが作ってくれるご飯だもの、何だっておいしいからいいよ〜」
言いながら、両手に持ったマグカップからちろりと牛乳を飲む。
「ん、おいし、しろうのミルク」
い、いや、だから、この状況で、その言い回し、そろそろ止めて欲しいんだけどな。
  なのに、
「うへへ〜」
なんて、嬉しそうな声を上げつつ飲んでいる姿を見せられると、文句等言えないわけで。
「先輩、ちょっといいですか?」
「士郎、ちょっと聞きたいんだけれど」
などと問い詰められて、間違いなく誤解してると思うんだけど、聞き入れて貰え無くって。
「えっと、今朝食の準備中なんだけど……」
「「そんなの後(です)」」
と、これまた聞き入れて貰えずに、道場に拉致られて、それでも何とか10分程で済んだのは幸運だったんだろう。


  道場からようよう戻ってみると、遠坂は牛乳を飲み終わった姿勢で、まどろんでいた。
「ほら、もう少しで朝食出来るから、しゃきっとしろよ」
いいながら両手で抱え込んだマグカップをそっと取り上げる。
  もう少しというのは語弊ではない、途中で中断した分味は落ちているだろうけれど、みそ汁は具を入れて暖めればいいし、卵焼きもこの人数ならば、みそ汁が出来るまでの間に焼き上がる。
鮭の切り身も俺が卵焼きを作ってる間に桜が炙ってくれれば出来るだろう。うん。多少手順が狂ったが、充分リカバリー出来る。
  なのにこいつったら、
「ねぇ〜、しろう〜、おはようのキスをしてぇ〜」
「な」
なんて事を言ってくれるんだよ、そんなの今まで一度もしたこと無いってのに、そんなこと言うからまた桜と藤ねぇが……。
「せんぱーい、今のことについて聞きたいことがあるんですけれど?」
「士郎、今のことについておねぇちゃんに話して貰えないかなぁ?」
朝から二連続は辛いので逃げたいのだけれども、
「しろう〜」
と、遠坂が腕をつかんで話してくれない。
  とにもかくにも、このままではどうにもならないので、遠坂の頬にキスをしたら、
「ん」
幸せそうな顔で手を離して……
「あ……」
俺の頬にキスを返してくれた。
  ……俺、ちょっととんでたみたいだ
「先輩、ずいぶん嬉しそうですね」
「士郎、ずいぶん嬉しそうね」
な、何だ、この背筋に氷の刃を押しつけられたような感覚は……。
聖杯戦争の最中にもちょっと無かった感覚だぞ。
「い、いいじゃないか……そ、その、こ、恋人……恋人同士なんだから!」
  思いきって言ってみたら、桜はがっくりとうなだれて、よろよろと台所へ行き、一方の藤ねぇは奇妙な顔でこちらを見る。
「どうしたんだ? 藤ねぇ」
「う、うーん、なんでもない」
「?」
  首をひねりつつ、台所に向かおうとすると、
「しろう」
遠坂が俺を呼ぶ。
振り返ってみると、
「ありがと」
と、柔らかく微笑んでいた。
「何が?」
よく判らないんで問い返してみると、
「うふふ、あ・と・で」
と、嬉しそうに応えてくれた。
  改めて首をひねりつつ、台所に向かうその背中に、
「あ、今度は冷たい牛乳ちょうだーい」
なんて言われたので、冷蔵庫から牛乳を取り出し、そのままマグカップに入れて渡す。
「ありがと」
そう言って受け取ると、ゴクゴクと飲み干す遠坂。
「ん、目が覚めたぁ!」
言って、マグカップを俺に渡すと、聞いてくる。
「ね、ご飯、後どれくらい?」
「ん、あと鮭焼いて、卵焼き作って、みそ汁ができあがれば終わりだ」
「手伝おっか?」
「いや、桜がやってくれてるから、もうじき終わるよ」
「……そう」
  なんだか元気がなくなったみたいだ、とりあえず気合い入れてもらおうかと、
「じゃ、食器並べといてくれるか?」
なんて言ってみても、
「う、うん」
なんて言いつつ、やっぱり今ひとつ身が入っていない。
  どうしたんだ?
  よく判らないけれど、とりあえず、そのままにして朝食の残りを作りに行く。


  台所では、桜が真剣な顔をして卵焼きを焼いていた。
「桜、鮭の方はどうだ?」
「え、あ、はい、もうちょっとだと思います」
  いいながら専用のフライパンを置いてコンロを覗き込むので、
「おっと」
と、フライパンを取り、トントンと柄を叩いてかえしていく。
  そうして、
「じゃ、卵焼きはこっちで作るから鮭を頼む」
言いつつ、焼き上がった卵焼きを皿に移し、次の分をフライパンに拡げながら、みそ汁の鍋をみ、火加減を調整する。
どうやら全部焼き上がる頃にちょうどみそ汁もできあがりそうだ。
「……鮭の切り身に卵焼きと、キャベツの千切り? トマトもあるんだ。じゃぁお皿はこっちにするね」
  気力を取り戻したらしい遠坂がそう言って食器棚から皿を持っていく。
そして、キャベツとトマトを取り分けると、できあがった分の卵焼きも載せ、卵焼きが冷めず、野菜が暖まらないような置き方で、台所に皿を並べる。
そこに二つ目の卵焼きを移し、三つ目を焼き始める。
「先輩、鮭焼けました」
「よし、じゃ、それも皿に移してくれ」
いいながら手早く焼き上がった三つ目を皿に移すと、四つ目を作りながら合間を見てみそ汁の出来具合を見る。
「よし、みそ汁はもう運んじゃってくれ」
「はい」
「こっちも、もう焼き上がるから、皿も運んじゃって」
遠坂に言うと
「うん」
やっぱり今ひとつ元気が足りない。なんでだろ?
その間に四つ目も出来たので、皿に移し、……持とうとする前に遠坂が持っていった。
「「「「いただきます」」」」
  とにもかくにも朝食が始まり、今日は藤ねぇの周りにお新香や梅干し、高菜漬けなどを適度にちりばめたおかげか、こちらのおかずへの被害が出ないまま、無事に食べ終えることが出来た。
明日はらっきょも出してみるかな?


  食休みが済み、後片付けも済ませ、洗濯も手洗いのものを済ませた上で洗濯機を回すと、遠坂の部屋を訪ねた
「さっき、どうしたんだ?」
「さっきって?」
「ほら、朝食の前に嬉しそうにしたり、かと思えば元気がなくなったり……」
「あ、あれ……あれは、ほら、士郎、私との間を……その……恋人同士って言ってくれたでしょ。それが嬉しくって」
頬を赤くしながら言う。
「あ……」
言われて、俺も顔に血が集まってきた。今更ながら、恥ずかしいこと言ったことに気が付いた。
「え、えっと、じゃ、じゃぁ、そのあと元気がなかったのはなんでだ?」
「だって……一緒にご飯作ろうかと思ったのに……桜が一緒に作ってたでしょ……、だから……その……一緒に作れないから……」
「え……あ〜、その、と、遠坂は朝が弱いんだから仕方ないと思うぞ」
「でも、桜は……」
「だって、桜は妹みたいなもんだし、ずっと一緒に飯作ってたし、第一、桜に料理教えたのは俺だから……」
「一緒に作りたかった……」
「そ、それにほら、遠坂が得意のは中華だろ、だから和食は……」
「じゃ、和食の作り方教えて、士郎においしい和食作ってあげるから、そしたらお礼においしい紅茶の入れ方教えてあげるから……その……私に」
「あぁ……、判った、その、俺も遠坂においしい紅茶入れてやりたいし……」
「あ、ありがとう。士郎。……ところで」
不意に遠坂がにこやかな笑みを浮かべる。
  こ、この笑い方は……俺の本能が危険信号を鳴らすが、時既に遅し。
「さっきからどこを見てるのかなぁー?  衛宮君は」
や、やばい、いつも見れなかったから、ついつい視線がそっちにばかり行ってたのが気付かれていたんだ。
「ねぇー、どこ見ているの?」
いいながらわざとらしく目の前で足を組んでみせる……このあくまめ!
「う”〜」
だからといって、口に出せるわけもなく、追いつめられた俺の口から漏れるのは意味もなく漏れるうなり声だけ。
「教えて欲しいなぁー」
あ、足を組み替えるなぁー!
余計なところまで気になるじゃないか!
「だ、だってさ……」
「ん〜?」
わざとらしく耳に手を当てて、こちらの声をよく聞き取ろうとするいじめっこ。
「あ、あのときも脱がなかった……その……ニーソックスを脱いで……その、足見せてるから……」
頭が沸騰しそうな気分になりながらも、何とか声を絞り出す。
「あのとき……?」
言ってて思い当たったのか、急に真っ赤になる遠坂。
でも、そんな遠坂はものすごく可愛い。思わず抱きしめたくなるけれど、今そうすると自分がどうなるか判らないので必死でこらえる。
「だ、だって、そんな……何もかも初めから見せたりしたら……、そんな安っぽい女なんて……士郎、やでしょ?」
な、なんて事言ってくれるんだ、我慢できなくなりそうじゃないか。
「そ、そんなこと無いぞ、だって、好きなこのことは全部知りたいと思うし……、そんな風に隠したりされたら……なおさら……」
何を言ってるんだ?  おれは
「……しり……たい……の?」
問いかけに思わずごくりとつばを飲み込む。
「あ、ああ、だって、遠坂のことだから……」
だんだん、頭の中が白くなっていく、こ、こんな会話続けていたら、俺は……、
「わ、私も……士郎には……私のこと……もっと……知って欲しい……けど……でも」
  でも?  でもって何だ? 頭が真っ白になる寸前で、ブレーキがかかった。
「わ、私たち……まだ学生だし……、当然結婚してないし……、せめて婚約ぐらいしたあとでないと……やっぱりまずいと思うし……したいからって……その……、何も考えないでやるのって……良くないと思うから……」
……それって、遠坂もしたいのか?
そう思って遠坂を見ると、自分が言った内容にもうすっかり赤くなっている。
そうか、そうだよな、男は極端な話、やるだけやって出しちゃえば終わりだけど、女の子はそれを受けて、場合によっては子供が出来ちゃうわけだから……。
やっぱり将来の約束もなしにやるのは無責任だよな。
……って待てよ? せめて婚約ぐらいってことは、遠坂はその気で居てくれるってことで。
大好きな子にそう思って貰えて居るんだったら、それに応えなくっちゃダメなわけで……。
「じゃ、じゃぁ遠坂……」
  確認しようと思って、遠坂に向き直る。
そこに何を感じたのかびくっと反応する遠坂。
「な……何? 士郎?」
あ、声が上ずってる、ちゃんと落ち着かせてやらなくっちゃ。
「遠坂は、俺と結婚してくれるのか?  こんな、半人前の俺だけど……、正義の味方目指して、どんどん突っ走ってっちゃうかもしれない俺だけど……、そんな俺と、一緒になってくれると思っていいのか?」
「あ、当たり前でしょう! わたしは、ちゃんと士郎を一人前にして、思いっきりハッピーにして、正義の味方を目指して突っ走ってったら、ちゃんと一緒にくっついてって、間違った方に走ろうとしたら、ぶん殴ってても、けっ飛ばしてでも正しい方に向きを直してやるんだから!  だから、そんな風に勝手に突っ走ったりさせない!  士郎がイヤだって言っても、絶対一緒に走ってく!」
ああ、却って興奮させちゃった、でも、おかげでこんな嬉しいことを行って貰えた。
だから、ちゃんと言っておかなくっちゃ。
「遠坂、今はまだ指輪とか用意できないから、用意できた時に、改めて正式に言わせて貰うけれど、けれど、俺と結婚してくれないか?  俺、遠坂が居てくれないとだめだし、遠坂が居ない人生なんて、考えられないから」
「わ、私だって、士郎が居ないとだめなんだから、この一月の間、士郎と一緒にいられ無くってものすごく辛くって……寂しかったんだから。もう、こんなの耐えられないんだから。だから、だから今すぐにだって結婚して、ずっと一緒にいたいんだから……。でも、うん、士郎がそう言ってくれるなら、ちゃんと言ってくれるって言ってくれたから、だからそれまで我慢する。待ってるから、早く私と一緒になって」
「遠坂」
  俺は遠坂を抱きしめると、キスをして、更にその綺麗な瞳から流れている涙を唇でぬぐった。
「……また、男の子に泣かされちゃった」
「ごめん、ちゃんと責任取るよ」
「うん、判ってる、だから許してあげる」
  そう言って、今度は遠坂からキスしてきた。






  後日談
「ところで、なんで急にニーソックス止めたんだ?」
「だって、これだけ暖かくなってきたのに、あんなのはいてたら汗書いて大変じゃない」
じゃ、じゃぁ俺、早く慣れないと……でも、意識するななんて……無理だ。
「し〜ろ〜う、どこ見てんの?」
「うっ……、このいじめっ子」
「えー? 誰がぁ?」
落ち着け、落ち着け俺、ちゃんと約束したんだ、だから今は自分を押さえろ。
  ……ところで、婚約指輪って、どのぐらいのもの贈ればいいんだろう?
給料の三ヶ月分って言われたって、俺学生だぞ?






  後書き

  うわーい、何書いてんだ俺!
  今日はホントは倫敦編の2を書くつもりだったのに、バイク屋に届いたGIVIのバニアケース取り付けるのに手間取って、雨に降られたりなんだかんだとさんざんな目にあって、むしゃくしゃしてたらこんなん書いてしまった。
ストレス発散にバカップルもの書くんじゃねぇっての!>俺
  なお、この話は、時系列的に、その0とその1の間の話になります。

  え〜、こんなたわけが書いてるバカップルSSですが、ご意見・ご感想をここのBBSにて頂けたら幸いです。
特に、私が気が付いてないであろう未熟なポイント(今回は勢いのままに書いた分、
山ほどありそうな気がして怖いけど……)の情け容赦のない指摘を頂けると
少しでも文章をマシにできるはずなので、そのあたりよろしくお願いします。

MISSION QUEST

2004/08/23 初稿up

 
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