パンクラス・オフィシャルルール

〜 2008年改訂版(2008年1月30日より実施) 〜


総則 ハイブリッド・レスリング

ハイブリッド・レスリングは、競技者がパンチ、キック、投げ、関節技、絞め技を有効に使い、技術、体力、精神力、知力、運を競い合うプロスポーツである。よって、競技者はルールを厳守し、試合はスポーツマン精神に則って行わなければならない。
第1章 試合場

第1条 試合場は、次の規定のリングを原則とする。
  • リングの広さは一辺が7m四方の正方形とし、4本のリングロープにより硬く仕切り、リングロープの外側のマットの幅は32cmとする。また、床の高さは95cmとする。
  • リングの床は水平で厚さ1.3cm〜1.9cmのフェルト、または同じ程度の柔軟なものを敷き、キャンバスで全床をたるまないように張る。
  • リングロープの最上段の高さを1.25mとし、あとの3本を均等にその空間へ配置する。また、リングロープの角にはパッドをあてがい、対立する2つのコーナーのメインを赤、もう一方を青とし、中立コーナーを白とする。
  • 4本のリングロープは四方とも2ケ所を均等に一本の紐で縦に結び、その紐もリングロープとみなす。
  • リングロープ内には試合に支障を来す硬いものなどを配置してはならない。
  • 上記以外のリングでもパンクラスが認可する場合は公式試合場とする。
第2章 競技用具

第2条  競技者は、服装と競技用具に関し、原則として次の事項を守らなければならない。
  • 競技者は、パンクラスが認可するタイツ、マウスピース、ファウルカップ、オープンフィンガーグローブを必ず着用しなければならない。
  • 競技者の競技用具は、ファウルカップ以外試合に支障を来す硬いものを使用してはならない。また、滑るもの、たるみのあるものなどは着用してはならない。
  • 競技用具のニーパッドは、表面を伸縮性のある布地とし、中身の素材はネオプレンまたは圧縮スポンジで、縦20cm以内、横25cm以内、厚さ1.5cm以内のものを用いる。
  • 競技用具のレガースは、表面を革とし、中身の素材はネオプレンまたは圧縮スポンジで、厚さ1.5cm以内とする。
  • 競技用具のシューズは、パンクラスが認可するレスリングシューズのみ着用を認める。プラスチックや硬質ゴムのチャック等を使用したシューズは認められないものとする。着用する際は試合に支障を来さないよう、結び目、マジックテープを処置しなくてはならない。
  • 競技者はバンテージを使用する場合、パンクラスが認定するものを使用しなければならない。使用に際して内部に芯、コヨリ等を巻き込んではならない。また装着した状態で拳骨の形が確認できない厚さに巻いてはならない。
  • 競技用具及びすべての部位へのテーピング、バンテージ、サポーター類に関しては、パンクラスが指定するレフェリーチェックの際に公認リングドクターまたは公認レフェリーのチェックが必要となる。
  • 指定競技用具(マウスピース、ファウルカップ、タイツ、オープンフィンガーグローブ、ニーパッド、アンクルサポーター、レガース、シューズ)以外の着用、または規格外の競技用具の使用は、パンクラスの許可と対戦相手の承認が必要となる。
  • 競技者は、体のいかなる部位にもワセリン、油脂類、整髪料、滑り止め等一切の薬品、塗布物等を使用してはならない。
  • 競技者の上半身は裸とする。

(破損等の場合の処置)
第3条 レフェリーは、競技者の服装に関して次のように処置する。
  • 競技者の競技用具や服装が常態でなくなった場合、レフェリーがなるべく手早く処理するために一時試合を中断する場合がある。
  • 競技用具が故意、偶然にかかわらず試合に支障を来すような破損をした場合、レフェリーは試合を止め、速やかに最善の処置を取る。ただし、自身の責任によりタイツ、マウスピース、ファウルカップが破損し、試合続行が不可能になった場合は反則負けとする場合もある。
  • 【注記】本条第2項の場合に備えて、タイツ、マウスピース、ファウルカップは予備を用意することが望ましい。
第3章 審判

第4条 審判員

  • 試合における審判員は、3名制(メインレフェリー1名、サブレフェリー2名)または4名制(メインレフェリー1名、サブレフェリー2名、ジャッジ1名)とする。メインレフェリーはリング内で試合を管理する。
  • サブレフェリー及びジャッジは、それぞれリング外、本部席でメインレフェリーを補佐しラウンド毎に競技者の採点を行う。
  • 試合を担当しない審判員は、試合を担当する審判員の求めに応じて、助言することができる。
  • 審判部長は、コミッショナー並びにキング・オブ・パンクラス実行委員会から権限を委任された者として、ルールの運用・適用・解釈や試合結果等について、裁定・指揮・助言等をすることができる。
  • 審判員は、2年以上の実際的経験を持つか、またはこれと同等以上とパンクラスに認められた者で、パンクラスオフィシャルルールとその適用に精通し、あらゆる関係方面から中立公正な立場でなければならない。そして、パンクラス公認審判員としてライセンスを取得し、常時携帯しなければならない。
  • 審判員が、ルールの適用を誤り、もしくは審判上に重大な過失を犯した場合、ライセンスの剥奪、停止もしくは相応の処罰を受ける。
  • 審判員は、毎月1回以上パンクラスの立ち会いのもと会合し、審判技術の向上、審判ルール並びにルールに規定されていない審判上の諸問題の解釈、及びそれらの処置などを調査、研究しなければならない。また、その結果ルール改正を行う場合、パンクラスと選手会の認可を得て速やかに改正新ルールを公布する。
  • 審判員は試合中、または試合後に自己の関与した審判の結果で不明な事態が発生した場合、パンクラスの許可を得てから新聞、雑誌、放送関係者の質問に答え、意見を発表することができる。

第5条 レフェリー

  • レフェリーは、ルールに基づき試合を管理、指揮、命令する全権を持つ。本ルールに規定されていない事項についても試合に関する限り、すべてレフェリーの裁断による。
  • レフェリーは、リングドクターの健康診断を受けなければならない。リングに上がる場合、パンクラスが認可した服装で、メガネ、指輪、バックルその他一切の金属類を身に帯びてはならない。ただしコンタクトレンズの使用は差し支えない。
  • レフェリーは、試合中ルールが厳格に守られるように監視し、必要となる注意や指示をなし、試合が円滑、真剣かつ最高に行われるよう努力しなければならない。
  • メインレフェリーが事故に遭遇した場合、試合を中断し、別の審判員がリングに上がってから試合を続行する。
  • サブレフェリー及びジャッジが事故に遭遇した場合、試合を中断しその後の試合進行支障を来さないよう審判員を配置してから試合を続行する。
  • 事故等により試合における審判員がやむを得ず2名以下になった場合の処置は別途これを定める。

第6条 レフェリーは、試合遂行に関して迅速に次の処置を取らなければならない。

  • メインレフェリーは、リング、照明等が正しく整備され、すべての試合役員が正しく配置され、競技者の服装、競技用具等に違反がないことを確認する。
  • メインレフェリーは、試合開始時に競技者をリングの中央に招き、試合がパンクラスルールで行われることを通告し、特に注意すべき反則事項を簡潔明瞭に警告したのち、タイムキーパーに試合開始の合図をする。
  • レフェリーは、アクシデントにより競技者がリング外へ落ちた場合、状況に応じて次のような処置をとる。(1)即座に競技者をリング上へ上げ試合を続行させる。(2)時間を止め、落下した競技者の回復を待つ。(3)ノーコンテストとする。

第7条 レフェリーは、試合中次の5つの命令語、及び指示を用いる。

  • 『ファイト』 試合の開始、または続行を告げる場合。
  • 『ストップ』 試合の終了、または一時中断を告げる場合。
  • 『アクション』試合の攻防の積極性を促す場合。
  • 『ブレイク』 次の(1)〜(4)の場合で試合の攻防を解きスタートポジションに戻す場合。
    • 『アクション』を2回コールしたにもかかわらず膠着した場合。
    • 競技用具が試合に支障を来す状態の場合。
    • メインレフェリーが、故意、偶然にかかわらずこれから反則が行われる危険性があると判断した場合。
    • 競技者がリング外に落ちた、または落ちるとメインレフェリーが判断した場合。
  • 『ストップ・ドント・ムーブ』
    次の(1)・(2)の場合で試合を一時中断し、両方の競技者を同じ体勢から試合再開させる場合。
    • 試合中、両方の競技者がリング外へ落ちそうになった場合、またはロープやコーナーポストが試合進行の妨げになるとレフェリーが判断した場合、メインレフェリーが『ストップ・ドント・ムーブ』のコールとともに両方の競技者の体を叩き、そのままのポジションでリング内へ戻す。競技者はその際レフェリーの指示に逆らわず従わなければならない。ただし、技がかかっている場合またはかかりかけているとメインレフェリーが判断した場合、『ストップ・ドント・ムーブ』とコールせず、リング外へ落ちないようにサブレフェリーに指示する。その後、技がきまった場合は試合終了とし、技が解けた場合、『ストップ・ドント・ムーブ』とコールしリング内へ戻す。リング外へ落ちた場合、『ブレイク』とコールしスタートポジションから試合再開となる。
    • 競技用具が試合に支障を来す状態の場合。
    • 『ストップ・ドント・ムーブ』のコール後、両方の競技者を移動している間は公式試合時間をストップする。
  • メインレフェリーは、勝敗が決定したのち勝者の片手を上げて表示する。引き分けの場合、両方の競技者の手を上げる。
第8条 レフェリーは、次の権限を持つ。

  • レフェリーは、競技者が試合続行不可能な状態、あるいはそれ以上続けると危険な状態である場合、自己の判断で試合の裁定を下す。
  • レフェリーは、試合中に競技者が負傷した場合、リングドクターに負傷の程度を聞き、その意見を参考に試合続行か否かを決定する。
  • レフェリーは、競技者が故意にリング外へエスケープした場合、その競技者を試合放棄とみなし反則負けとする。
  • レフェリーは、目に余る反則を犯した競技者を自己の判断で反則負けとする。
  • レフェリーは、偶然に起きた軽度の反則行為、及び軽度の負傷等に対しては、自己の判断により試合を中断せず続行させることができる。

第9条 レフェリーは、反則に対して次のように処置する。

  • メインレフェリーは、競技者が無意識で犯した反則行為に対し、その内容により(1)口頭による注意(2)注意(3)警告(4)反則負けの処置をとることができる。その場合、反則を犯した競技者とその処置を適切な合図や身振りで明瞭に示さなければならない。
  • メインレフェリーは、所持している2種類のカードにより反則の裁定を明示する。
    • カードの色は反則への処置を示し、黄色(イエローカード)は注意、赤(レッドカード)は警告となる。
    • 各ラウンド中、イエローカードを提示された競技者は1点減点される。
    • 各ラウンド中、レッドカードを提示された競技者は2点減点される。
    • 反則によってはカードを提示せず、反則負けになる場合もある。
    • 反則を犯した競技者の形勢が優勢または互角であったとメインレフェリーが判断した場合、「ストップ」をコールし反則への処置をとり、スタートポジションから試合再開となる。反則を犯した競技者の形勢が劣勢であったとメインレフェリーが判断した場合、「ストップ・ドント・ムーブ」をコールし反則への処置をとりそのままの体勢から試合を再開するかメインレフェリーの判断により再開時のポジションを決めることができる。重度の反則の場合は反則負けとなる場合もある。
    • 反則の裁定はすべてレフェリーの判断によるものとする。
第4章 リングドクター

第10条 リングドクターは、スポーツ医学に精通した医師であって、競技者並びに試合役員の健康を管理する。パンクラス公認リングドクターとしてライセンスを取得し、常時携帯しなければならない。リングドクター以外の医師の判断は公式のものとは認められない。

  • リングドクターは、試合中リングサイドの最前列に着席し、レフェリーの要請があれば負傷した競技者の診断結果を報告し、必要に応じて応急処置を取る。
  • リングドクターは、競技者の負傷状態を診て自己の判断でレフェリーに試合の中断もしくは中止を要請することができる。
  • リングドクターは、試合前の競技者の診断結果において試合をするに堪えない理由を認めた場合、即座にパンクラスにその旨を報告し、一定期間の出場停止を勧告することができる。
第5章 タイムキーパー

第11条 タイムキーパーは、リングサイドの最前列に着席し、正確なストップウォッチによりすべての計時を厳正に行わなければならない。
  • タイムキーパーは、試合の開始と終了、及びラウンドの開始と終了をゴングにより知らせる。
  • タイムキーパーは、試合中レフェリーの事故その他の理由で試合中断のやむを得ない事態が発生した場合、レフェリーの指示がなくとも即座に中断のゴングを鳴らし、試合時間を延長する。
  • ゴングは、直径25cm以上のものをリングと水平になるようにリングの横の本部席に固定させる。
第6章 リングアナウンサー

第12条 リングアナウンサーは、試合を司会し、リングアナウンサーによってアナウンスされたものはすべてパンクラス公式のものとする。

第13条 リングアナウンサーは、試合開始に先立って、両方の競技者の氏名、身長、体重、所属、コーナーの色、ランキング、タイトル、パンクラス戦績、試合役員の氏名を通告し、試合終了後は裁定、決め技、及び試合時間を通告する。

第14条 リングアナウンサーは、パンクラスから許されたもの以外のアナウンスをしてはならない。
第7章 提訴

第15条 競技者及びセコンドは、試合判定等に対する異議及びその他の諸問題についてパンクラスに提訴することができる。提訴は、すべて文書をもって試合後2週間以内に行うこととし、口頭によるものは無効とする。その提訴に対してパンクラスは、文書によって裁定の結果を通告する。試合における裁定等に対する異議の申し立ては、当該レフェリーやジャッジ及び試合役員ではなく、パンクラス宛としなければならない。
第8章 試合

(試合時間)
第16条 公式戦の試合時間は、5分2ラウンドと5分3ラウンドの2種類とし、インターバルは1分とする。タイトルマッチは常に5分3ラウンドで行われ、それ以外の試合は5分2ラウンドまたは5分3ラウンドで行われる。ただし、特別試合は上記規定に準じない。

(試合場)
第17条 試合はリング内においてのみ行われる。

(レフェリー)
第18条 試合を管理するレフェリーは、絶対的な権限を持ち、競技者及びセコンドはいかなる場合においてもレフェリーに抗議することは許されない。
【注記】レフェリーの権限、試合における具体的な処置等については、第5〜9条参照。

第19条 攻防ポジション
  • スタートポジション
    試合開始時やレフェリーが『ブレイク』をコールした後などのポジション。
    両方の競技者は約1.5m以上離れてスタンディングによるファイティングポーズをとり、メインレフェリーの声と合図で試合を再開させる。
  • スタンドポジション
    投げ技、組み技、打撃技などルール上許されるすべての攻撃が行えるポジション。
  • グラウンドポジション
    • 一方の競技者の両膝と両手のうち3点以上がマットに着いた状態。
    • 一方の競技者の腹部、背中、臀部のうちいずれかがマットに着いた状態。
    • スタンドポジションの競技者が、上記(1)(2)のグラウンドポジションにある対戦相手に自分の体幹部を密着させた場合は、両方の競技者がグラウンドポジションにある状態とみなす。
第20条 セコンド
  • セコンドは、各コーナー2名以内とし、試合中、自軍のコーナーポストから左右のエプロンサイドの1.5mより外に出てはならず、観客の邪魔にならないよう配慮しなければならない。
  • セコンドは、試合中、競技者に言葉による助言を与えることができるが、競技者に直接接触する、マットを叩く、ロープを掴むなどの動作をしてはならない。
  • セコンドは、インターバル中、競技者に水のみ与えることができる。ただし、リングを過度に濡らすなど試合進行を妨げてはならない。
  • セコンドは、インターバル中、競技者の競技用具の細工や身体へのオイル塗布などの行為を行うと退場となり、競技者が反則負けとなる場合がある。
  • セコンドによる各コーナーの反則は1回目は注意、2回目で退場となる。また、競技者に反則を提示する場合もある。
  • セコンドは、試合中リングやリングエプロン等、試合場にいかなるものも置いてはならない。
  • セコンドは相手選手及びレフェリーへの罵倒、侮辱、暴力行為を行なってはならない。
第9章 反則

第21条 下記の行為は反則とする。
  • 肘による打撃攻撃。
  • 後頭部、脊椎への打撃攻撃。
  • 頭突きによる打撃攻撃。
  • 金的への攻撃(ローブロー)。
  • 両方の競技者がグラウンドポジションでの顔面、頭部への膝打撃攻撃。
  • 3本以下の指を掴む攻撃。
  • 競技者が身につけている競技用具を掴む行為。
  • 故意にリング外へ出る。または対戦相手をリング外へ出す行為。
  • 試合中にロープ、コーナーポスト等を掴む、または利用する行為。
  • メインレフェリーが『ブレイク』、『ストップ』、『ストップ・ドント・ムーブ』をコールしたにもかかわらず攻撃をやめない。
  • サミング、指による突き、噛みつき、髪を掴む、五指により頚部を鷲掴みにする、対戦相手への誹謗や中傷的な発言等、道徳上許されない行為。
  • ネガティブ・ファイト(消極的試合)
    一方または両方の競技者が、積極的な攻撃姿勢を見せない場合。
  • レフェリーが『ストップ・ドント・ムーブ』をコールしたにもかかわらず、自分の意思で体勢を変える行為。
  • 目、口、鼻、耳、肛門等の粘膜部への直接的な攻撃及び利用する行為。
  • 試合前にレフェリーによるチェックを受けていないテーピングや競技用具の着用。
  • 第2条(9)にあるワセリン等、薬品や塗布物の一切の使用。
  • レフェリーに対する抗議、罵倒、暴力行為。
  • レフェリーに対する虚偽のアピール、言動。
  • タイツ、マウスピース、ファウルカップ等の競技用具を破損し、試合続行を不可能ならしめる行為。

第22条 試合前・後に行われた反則の処置
  • 試合開始前に反則行為が行われた場合、反則に対する処置により減点された状態で試合開始される場合や反則負けとなる場合がある。
  • 試合終了後に反則が行われた場合、また試合前・中に行なわれた反則が試合後に判明した場合、反則の内容により試合結果が変更される場合がある。

第23条 塗布物等の処置
  • 競技者が試合前にレフェリーによるチェックを受けていないテーピングや競技用具を着用して試合場に入場した場合、または第2条(9)にあるワセリン等の禁止されている薬品や塗布物等を使用した場合は、その競技者に反則のカードが提示され減点された状態で試合開始となる。
  • レフェリーは塗布物を確認した場合、洗い流す、拭き取るなど、塗布物を除去する処置を施さなければならない。塗布物を使用していると断定できない場合もレフェリーの判断によって同様の処置をとることができる。

第24条 確信犯的に反則を行った場合、出場停止及び罰金を科す。出場停止期間及び罰金の額はその度合いによりキング・オブ・パンクラス実行委員会が協議の上決定する。
第10章 勝敗

第25条 ノックアウト(KO)
競技者が対戦相手の攻撃により戦闘不能、または意識を失っているとレフェリーが判断した場合。

第26条 ギブアップ
  • 競技者が、声でギブアップの意思表示をレフェリーに示した場合。
  • 競技者が、手で相手かマットを2回以上叩き、ギブアップの意思表示をした場合。
  • 競技者がレフェリーにギブアップの意思表示と判断される行動をとった場合。

第27条 テクニカル・ノックアウト(TKO)
  • メインレフェリーが試合続行不可能と判断した場合。
  • ドクターが専門的見地から試合続行不可能と判断した場合。
  • セコンドがタオルを投入した場合。

第28条 反則による負け
すべてメインレフェリーの判断により裁断が下される。

第29条 判定
  • 試合の決着が時間内につかなかった場合、(1)メインレフェリー1名、サブレフェリー2名(審判員3名制の場合)または(2)ジャッジ1名サブレフェリー2名(審判員4名制の場合)の合計3名の審判員が各ラウンドの優劣を10点マイナス法で採点し、判定を下す。合計点により3名のうち2名以上が優勢と判定を下した競技者の判定勝ちとする。
    なお、アクシデントにより試合続行不可能となった場合、以下の通りとする。
    • 試合時間が2ラウンドの場合、1ラウンド終了時点で試合が成立するものとし、その時点で行なわれているところまでを判定する。2ラウンド目が開始されている場合も終了時点までを判定する。
    • 試合時間が3ラウンドの場合、2ラウンドが終了時点で試合成立とし、その時点で行なわれている時点までを判定する。3ラウンド目が開始されている場合も終了時点までを判定する。
    • アクシデント及び反則により裂傷があった後に試合が続行され、その裂傷が正当な加撃により悪化して試合続行不可能となったときは、その時点をもって上の各2号を適用する。


  • 判定基準
    判定はすべて審判員の判断とし、以下の攻撃を判定の際有効とみなす。
    • ダメージ
      • ダウン、またはそれに相当するダメージを与えたと判断できる打撃攻撃
      • 関節技や絞め技が一本に近い形に入った、または身体的ダメージを与えたと判断できる攻撃
      • 投げ技により身体的ダメージを与えたと判断できる攻撃
      • その他ダメージを与えたと判断できる攻撃
    • 優位性
      • 有効箇所に当たる打撃攻撃
      • 有効的に対戦相手を倒す攻撃
      • その他優位に試合を進めていると判断できる攻撃
    • 積極性
      • スタンドの攻防で積極的に打撃を出す攻撃
      • スタンドのレスリングで積極的に倒しにいく攻撃
      • スタンドの攻防で積極的に関節技や絞め技を狙う攻撃
      • グラウンドの攻防で積極的に打撃を出す攻撃
      • グラウンドの攻防で積極的に優位なポジションを狙う攻撃
      • グラウンドの攻防で積極的に関節技や絞め技を狙う攻撃
      • その他積極的と判断できる攻撃
  • トーナメントの試合の判定は全てマスト判定とする。

第30条 引き分け
  • 時間内に勝敗がつかず、3名の審判員のうち2名以上が優勢と判定を下さなかった場合。
  • 両方の競技者がほぼ同時にノックアウトされたとレフェリーが判断した場合。


第31条 ノーコンテスト
パンクラスと審判団が協議の結果、試合不成立と判断した場合。
第11章 キング・オブ・パンクラス実行委員会

第32条 キング・オブ・パンクラス実行委員会
  • キング・オブ・パンクラス実行委員会(以下、実行委員会) は、タイトルマッチ運営等パンクラスマット参加選手の序列に関わる一切の事柄に対し、最終決定権を有する。
  • 実行委員会は、パンクラスの毎興行終了後10日以内に招集し、各項の決定を行う。
  • コミッショナーは実行委員の決定を承認し、タイトルの認定をする。

第33条 体重階級制
  • 実行委員会は、下記の8階級を設け、各階級にランキングと王座を設ける。
    • ヘビー級………… 93.0kg以上120.2kg未満
    • ライトヘビー級… 83.9kg以上93.0kg未満
    • ミドル級………… 77.1kg以上83.9kg未満
    • ウェルター級…… 70.3kg以上77.1kg未満
    • ライト級………… 65.8kg以上70.3kg未満
    • フェザー級……… 61.2kg以上65.8kg未満
    • バンタム級……… 58.0kg以上61.2kg未満
    • フライ級………… 58.0 kg未満
  • 前項に属さない試合は、無差別級とする。
  • 競技者は、実行委員会が確認した際に体重階級を申し出なければならない。
  • 実行委員会は、全階級、全競技者の最高峰に立つ王座として、無差別級キング・オブ・パンクラシストを設ける。


第34条 計量
  • 競技者は、審判部の立ち会いのもとパンクラスが指定する日時に行われる計量を受けなければならない。また、計量をパスできなかった場合の再計量は計量指定時間から1時間以内とする。再計量をパスできなかった場合の最終計量は当日計量の場合、計量指定時間から2時間以内、前日計量の場合は、試合当日の本戦開始から3時間前とする。
  • 計量を受ける競技者は上半身裸、下半身も必要最低限の衣類で受けなければならない。
  • 競技者が計量にパスせず、再計量及び最終計量にもパスしなかった場合、原則として不戦敗となり処罰の対象となる。なお、故意に計量を無視した競技者は、失格、出場停止、無報酬、除名の対象となる。また、再計量及び最終計量において前計量結果より正規の体重から逸脱するような結果を出すなど、試合出場に対して誠意が見られないと判断されるような態度をとった場合も同様の処置をとる。
  • 対戦相手の同意が得られた場合は、試合は無差別級として行われる。ただし、試合が行われた場合でも、計量をパスできなかった競技者の報酬は75%以下に減額される。
  • 計量をパスできなかった競技者は、タイトルマッチの場合は、勝利しても王座に就けない。
    • タイトルマッチで、王者が正規の体重を維持できなかった場合王座は空位となる。
    • 王者が正規の体重以外で正規の体重の挑戦者に負けた場合(不戦敗を除く)王座は移動する。
    • 王者が正規の体重以外で正規の体重の挑戦者に勝っても王座は空位となる。
    • 挑戦者が正規の体重を維持できなかった場合は、勝敗に関わらず王座は移動しない。


第35条 パンクラスにおける序列
パンクラスマットに参加する競技者は、すべて以下の序列に分類される。
  • キング・オブ・パンクラシスト(王者)
    パンクラスの最高峰に立つ競技者。
  • ランカー
    各階級において、キング・オブ・パンクラシストに挑戦する資格を有する競技者。
  • ノーランカー
    本条(1)、(2)以外の競技者。

第36条 キング・オブ・パンクラシスト
  • キング・オブ・パンクラシストは、パンクラス主催興行において最も高い実力を発揮し、試合内容、人格、ともに品格ありと認められた者のみその資格を有する。
  • キング・オブ・パンクラシストは、前項に規定するキング・オブ・パンクラシストとしての適格性を保持するように努めなければならない。
  • キング・オブ・パンクラシストがパンクラス以外の試合に出場し、王者として不適格な試合を行った場合、実行委員長の指示により、4ヶ月以内の防衛戦(指名試合)を行うか、王座を返上しなければならない。
第37条 ランカー
キング・オブ・パンクラシストに続く競技者として、1位から5位までのランキングを設定する。ランキング1位の競技者は1年以内にタイトルマッチを行う優先権を有する。

第38条 ランキングの変動
実行委員会は、毎興行終了後に実行委員を招集し、競技者のパンクラスにおける勝敗、試合数、勝率、実績、および他団体、他競技における実績等を考慮した上でランキングを更新する。実行委員会は、毎興行終了後10日以内に最新オフィシャルランキングを発表する。また、前回出場から365日経った月日までパンクラス出場がないランカーはランキングから自動的に外れるものとする。

第39条 タイトルマッチ
  • 挑戦者は、実行委員会がランカーの中から選定する。ただし、無差別級はこの限りではない。
  • タイトルマッチは、パンクラスオフィシャルルールに則って行われる。
  • 引き分けの場合は、キング・オブ・パンクラシストの防衛となる。
  • タイトルマッチは、常に5分3ラウンドで行われる。
  • 王者及び暫定王者は王者になってから1年以内に防衛戦を行なう義務がある。ただし、主催者の都合でオファーをしない場合はその限りではない。
  • 王座統一戦、新王者決定戦、正王者決定戦、挑戦者決定戦、暫定王者決定戦はマスト判定により必ず勝者を決定する。

第40条 種々の事情によりタイトルマッチが行えない場合
  • キング・オブ・パンクラシストに責のある理由の場合
    本人の意思、日常生活や練習中の怪我等、キング・オブ・パンクラシストに責のある理由によりタイトルマッチが行えない場合、速やかにその座を返上しなければならない。新しい王座は、実行委員会の指名する選手が対戦する、新キング・オブ・パンクラシスト決定戦によって決せられる。
  • キング・オブ・パンクラシストに責のない理由の場合
    公傷と認められる試合中の怪我、交通トラブル等、キング・オブ・パンクラシストに責のない理由によって予定されていたタイトルマッチが行えない場合、また長期にわたってタイトルマッチが行えない場合、実行委員会が指名する選手により、暫定キング・オブ・パンクラシスト決定戦を行い、その王座を決する。
  • その他上記に含まれない事例が生じた場合、速やかに実行委員会を招集し、その決定に従って対処する。
キャッチレスリング」ルール
  • 試合時間は5分1ラウンドか5分2ラウンドとし、延長ラウンドは行わない。
  • 競技者は、オープンフィンガーグローブとレガースを着用しない。
  • 競技者は、パンクラスが認可するマウスピース、ニーパッド、シューズを任意で着用できる。
  • すべての打撃攻撃は禁止とする。
  • 上記以外はパンクラスオフィシャルルールに準ずる。
パンクラスゲート」ルール
  • 試合時間は5分2ラウンドの一種類のみとする。
  • 判定なし。時間切れは引き分けとする。
  • パンクラスが用意したレガースとニーパッドを必ず着用する。
  • 足の裏以外がマットに着いた状態をグラウンドポジションとする。
  • 一方または両者がグラウンドポジションでの顔面及び頭部への打撃攻撃は、グローブ装着部分以外では禁止とする。(パンチ、掌打、鉄槌等のみ可能)
  • ヒールホールドは禁止技とする。
  • セコンドは1名までとする。
  • 上記以外はパンクラスオフィシャルルールに準ずる。
ネオブラッド予選トーナメント ルール
  • 試合時間は5分1ラウンド延長3分1ラウンドの一種類のみとする。
  • 本戦判定ドローの場合は延長戦。延長戦の判定はマストシステムとする。
  • 勝利選手が何らかの理由で次戦に出場できない場合は相手選手の不戦勝とする。
  • 足の裏以外がマットに着いた状態をグラウンドポジションとする。
  • 一方または両者がグラウンドポジションでの顔面及び頭部への打撃攻撃は、グローブ装着部分以外では禁止とする。(パンチ、掌打、鉄槌等のみ可能)。
  • セコンドは1名までとする。
  • 上記以外はパンクラスオフィシャルルールに準ずる。