自生大麻除去に青森県汗だく 東北一の繁殖地
青森県三八地方の山林で8月上旬、県八戸保健所指導予防課の円子隆平課長(60)ら6人が炎天下、やぶに分け入った。「大麻が大量に自生している」との情報を得ての伐採作業。5時間かけて大麻草2905本を引っこ抜いたり、刈ったりして根絶やしにした。 「大変だが、やめたら最後、大量繁殖してしまう」と円子課長。作業は大麻草が成長する夏場に集中し、一シーズンに30回ほど出動する。 大麻草は1本当たり1000―1万個の種を付け、成長すると高さ2―3メートルになる。除去は1本でも数人掛かりの重労働で、1回の作業で体重が数キロ減ることもあるという。 東北6県の2006年まで5年間の除去本数は表の通り。青森が9割超と突出し、全国でも北海道に次ぐ。政府は各都道府県と1960年に対策に本腰を入れ始めたが、半世紀近くたった今も根絶には程遠い。 青森県内の自生大麻の群生地はヤマセの吹き込む地域とほぼ一致する。稲作に適さない地域として戦前、政府が軍事用のパラシュートや船舶の縄、袋を作る繊維を採るために栽培を推奨したことが背景にある。 警察庁の統計では、06年の大麻取締法違反容疑での摘発は、過去最高の2288人。インターネットなどで入手した種の違法栽培が02年の54人から123人へと急増した。 「大麻の幻覚作用で凶悪犯罪が起きる可能性もある。違法栽培が増える中、自生大麻が悪用されないよう対策を強化する」と、青森県警組織犯罪対策課。 県医療薬務課は「地道に自生地点を1つずつつぶしていくしかない。見つけたら、ぜひ通報して協力してほしい」と呼び掛けている。
2008年08月30日土曜日
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