事件・事故・裁判

　捜査情報漏えいの見返りに元暴力団組員から接待を受けたとして、収賄罪などに問われた元大阪高検公安部長、三井環（たまき）被告（６４）に対し、最高裁第２小法廷（中川了滋裁判長）は２７日付で上告を棄却する決定を出した。懲役１年８月、追徴金約２２万円とした１、２審判決が確定する。三井被告は近く収監される。

　三井被告は、情報提供者への謝礼などに使う検察庁の調査活動費（調活費）について「検察幹部の飲食などに不正流用されている」と実名で告発しようとした直前の０２年４月、逮捕された。このため「逮捕は口封じ」と主張していたが、小法廷は調活費問題に触れず「上告理由に当たらない」とだけ述べた。

　１、２審判決によると、三井被告は０１年、元暴力団組員（贈賄罪で実刑確定）から４回の飲食接待（計１５万円相当）とデート嬢の接待（７万円相当）を受けるなどした。調活費について、１審判決は「問題の糾明が必要」と言及し、２審判決は「被告が体験した限度で、不正流用の事実があったと言わざるを得ない」と踏み込んだ。

　三井被告は７２年任官。高知、高松両地検の次席検事などを経て９９年に大阪高検公安部長に就任。逮捕後に懲戒免職された。【北村和巳】

　三井被告の話　決定を受け取っておらずコメントできない。

　笠間治雄・最高検次長検事の話　検察の幹部職員が犯罪を行ったことは誠に遺憾。再発防止に努めている。