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関東大震災:直後の横浜を記録150枚 民家から写真帳

山下町方面=「震災直後ノ写真目録」より
山下町方面=「震災直後ノ写真目録」より
「尋小学校ニ於ケル関西ヨリノ配給品」=「震災直後ノ写真目録」より
「尋小学校ニ於ケル関西ヨリノ配給品」=「震災直後ノ写真目録」より
「グランドホテル跡」=「震災直後ノ写真目録」より
「グランドホテル跡」=「震災直後ノ写真目録」より

 関東大震災(1923年)から9月1日で85年。被災直後の横浜市内を記録した写真帳が、東京都葛飾区の渡辺治さん(85)方で保存されていたことが分かった。収められた150枚の写真すべてに建物名や町名などの説明が添えられている。現存する横浜の震災写真帳では最も上等に作られており、撮影場所が分かる写真がこれだけ多く見つかるのは初めて。専門家は「非常に貴重な資料だ」としている。

 写真帳は、表紙に「震災直後ノ写真目録」と印刷された折本。黒い布で覆った縦24センチ、横34センチの板26枚にLサイズの写真が4枚ずつ張られている。それぞれ「18 グランドホテル跡」「38 市役所」などと通し番号と活字の説明が付き、震災1年の追悼式が最後。撮影者や作成者は記されていない。

 渡辺さんは生まれてすぐに現在の横浜市南区で被災した。写真帳は市内の生糸輸出商社で働いていた父の故太三郎(たさぶろう)さんが持っていた。渡辺さんが幼稚園のころには自宅にあったという。このため29年ごろまでに作られたとみられるが、渡辺さんは「由来を聞いたことがなく、詳しいことは分からない」と話している。

 相模湾を震源とした関東大震災では、横浜の建物倒壊被害は東京よりも大きかったとされ、行政が記録用に写真を撮影したとみられる。しかし、現存する写真は撮影場所が分からないものが多い。

 「横浜の関東大震災」などの著書がある今井清一・横浜市立大名誉教授(日本近代史)は「撮影場所がすべて明記されているのは非常に貴重。地図上に写真を分布させれば、横浜の震災の全体像が分かる」と評価している。

 この写真帳の発見を受け、横浜開港資料館(同市中区)が所蔵品を調べたところ、写真帳の150枚を含む当時の写真を収めた2冊組みの別の写真帳が見つかった。同館で展示している。【杉埜水脈】

毎日新聞 2008年8月30日 15時00分(最終更新 8月30日 15時29分)

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