政府・日銀がようやく景気停滞を認めた。マイナス成長から抜け出す即効薬として、政府・与党の総合経済対策は「国民の不安解消」を掲げている。
景気低迷の理由の一つに、国民の自信喪失と心理面での萎縮(いしゅく)が挙げられる。家計の収入の大半が、消費でも投資でもなく、貯蓄に回る。企業も利益の大部分は、労働者に対する分配よりも、内部留保を厚くするのにあてている。国中が守りの姿勢になってしまった。
自信復活には何が必要なのだろうか。日本は、70年代の石油危機を省エネや公害防止技術の開発で乗り切った。今回もやはり技術開発がカギを握る。
具体的には、CO2を伴わない新エネルギーの開発や、全く新しい考え方の超省エネ技術などが中心になるだろう。
株式投資に対する配当金の優遇税制などの小細工はやめて、大学や産業界の未来技術の開発に対し、国として積極的な援助と投資を行うべきだ。
そのためには、新技術の開発や研究に対する減税措置をしっかり考えるべきだ。また、大学の基礎研究や産業界の技術開発に関する理解を深め、国家プロジェクトとして思い切った大きな投資をしてほしい。
低金利政策では内需が決して拡大しないことは、日本はすでに経験済みだ。内需拡大や輸出の競争力を強化する手段は、新技術の開発以外にない。
そして何より、国民に向かって首相が日本の未来像をはっきり示すことが必要だ。それを実現するための各大臣による論戦が活発化し、各省庁が具体的道筋を整えてこそ、最大の景気対策となる。
小手先の景気刺激策よりも、国民はそれを待ち望んでいる。(樹)