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帝王切開した医師の無罪確定へ 福島地検が控訴を断念

2008年8月29日22時8分

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 福島県立大野病院で帝王切開手術を受けた女性(当時29)が死亡した医療事故で、業務上過失致死と医師法違反の罪に問われた執刀医を無罪とした福島地裁判決について、福島地検は29日、「控訴しない」と発表した。これにより執刀医で同病院の産婦人科医、加藤克彦医師(40)=休職中=の無罪が確定する。

 控訴断念の理由について同地検の村上満男次席検事は、判決を覆すために必要な証人や鑑定といった「新たな証拠を出すことは不可能」と説明。加藤医師を逮捕・勾留(こうりゅう)したことについては「当時の判断としては、鑑定医の話や医学書の記載に基づいたもので、間違いはなかった」と話した。

 同地検は「女性が癒着胎盤で大量出血する恐れがあったにもかかわらず、子宮摘出に移行せずに胎盤をはがし続けて女性を失血死させた」などとして、06年3月に加藤医師を起訴。だが、20日の福島地裁判決は「胎盤をはがしはじめたら、継続するのが標準的な医療」として同地検の主張を退け、異状死の場合、死亡後24時間以内に警察へ届けなければならない医師法違反にも問えないとしていた。

 加藤医師の弁護団は「検察の主張はまったく立証されておらず、控訴断念は当然。裁判が産科を中心とする医療現場全般に与えた悪影響が無罪確定で終息することを期待する」とのコメントを出した。

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