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【主張】予算編成 財政再建頓挫させるのか

2008.8.30 03:12
このニュースのトピックス主張

 総合経済対策と来年度予算の概算要求がまとまった。総選挙を控えて共に財政規律の緩みが顕著だ。福田康夫政権は補正予算と年末の予算編成で重大な覚悟をもって切り込まないと、財政再建は頓挫しかねない。

 総合経済対策はそもそも高止まりするであろう原油など原材料の新価格体系に経済社会を適合させる構造転換策であるはずだった。しかし、盛られたメニューが目的に沿ったとは言いがたい。

 燃料費負担軽減を理由とした運送業支援や中小企業向け信用保証制度の拡充は一時しのぎどころか、モラルハザードを招く懸念がある。さらに経済対策とはほど遠い学校耐震化なども含まれ、事業規模は約11兆円に膨らんだ。

 とりわけ問題なのは公明党が強く求めた所得・住民税定額減税の年度内実施だ。来月の臨時国会に提出する補正予算案は予備費や特別会計の剰余金で乗り切る方針というが、この減税で第2次補正編成も必至だろう。断じて国債の追加発行は避けねばならない。

 減税が必要なほど景気が深刻でない中でばらまき色の強い対策が策定されたのは、言うまでもなく総選挙が控えているからだ。それは概算要求にもいえる。

 概算要求基準では分野別の歳出削減路線を踏襲する一方で、成長や低炭素社会実現を目的に3300億円の重要課題推進枠を設けた。この分捕り合戦が懸念されたが、実際、各省庁ともここに要求を集中させ収拾がつかない。

 来年度予算の重要テーマも見通しが立っていない。基礎年金の国庫負担割合引き上げの安定財源確保では、消費税以外に財源を求める声が自民党内に根強い。

 道路特定財源の一般財源化ではその使途などを秋の税制抜本改革論議に委ねたが、道路予算は大幅な増額要求となっている。このままでは福田首相が決断した全額一般財源化は極めて危うい。

 今年度税収は第1四半期がマイナス成長になるなどで大幅な不足が生じるのは必至だ。来年度も基調的に変わらないだろう。消費税の来年度引き上げも事実上先送りされている。

 そうした中で歳出圧力だけが増大すれば、2011年度の基礎的財政収支黒字化目標は達成できまい。そして市場の信認を失い民間経済に多大な悪影響を及ぼす。

 首相は選挙ではなく日本のために財政規律を徹底してほしい。

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