福島県立大野病院で帝王切開手術を受けた女性(当時29)が死亡した医療事故で、業務上過失致死罪などに問われた被告の加藤克彦医師(40)を無罪とした1審・福島地裁判決について、福島地検は29日、控訴を断念すると発表した。9月3日の控訴期限を過ぎれば、加藤医師の無罪が確定する。
女性は2004年12月、帝王切開手術で女児出産後、子宮に癒着した胎盤をはがす処置を受け出血死した。検察側は「癒着胎盤と認識したら、ただちに子宮摘出手術に移行すべきだった」と加藤医師の過失を主張したが、1審判決は「当時の医学では胎盤をはがし続けた行為に問題はない」として無罪とした。
福島地検の村上満男次席検事は「裁判所の判断を覆すのは困難と判断した」と控訴断念の理由を説明。検察当局は、医師の過失の根拠となる臨床症例を提示することや、新たな鑑定人確保などが難しいとの結論に達したとみられる。(01:43)