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北の女スパイ、任務果たせず報復おびえ→自宅玄関カギ4個

8月29日3時5分配信 読売新聞


北の女スパイ、任務果たせず報復おびえ→自宅玄関カギ4個

元正花被告の自宅マンションの窓には他の世帯にない鉄格子が取り付けられている(28日、京畿道軍浦市で)=前田泰広撮影

 【ソウル=前田泰広】韓国で脱北者になりすまし、スパイ活動を行っていたとして、国家保安法違反の罪で起訴された北朝鮮の女工作員、元正花(ウォンジョンファ)被告(34)。

 検察などの合同捜査本部の調べによると、元被告は大胆不敵な素質を見込まれ、北朝鮮の工作機関・国家安全保衛部にスパイとして採用されたものの、最近は本国からの指令を実行できず、ソウル郊外の自宅に4個もカギを付けるなど、北朝鮮に殺されることにおびえる日々を送っていた。合同捜査本部は、元被告の活動実態の全容解明を目指す。

 同本部によると、元被告は1989年から3年間、韓国に派遣される特殊部隊員としてスパイ訓練を受けていたが、訓練中のけがが原因で除隊していた。

 ところが、元被告は98年、保衛部に再びスパイとしてスカウトされる。元被告が除隊後の92年、北朝鮮で亜鉛5トンを盗み出し、北朝鮮と中国を転々として6年間も逃走を続けたことが保衛部の目に留まり、「大胆さと臨機応変な振る舞い、度胸の良さがスパイに向いていると評価された」(合同捜査本部関係者)という。北朝鮮では、亜鉛の窃盗は1キロであっても銃殺となる重罪だという。

 元被告は2001年10月、保衛部に命じられ、脱北者を装い韓国に潜入。1997年に韓国に亡命した黄長(ファンジャン)ヨプ元朝鮮労働党書記の居場所特定や韓国の対北朝鮮情報要員の暗殺など、次々と任務を与えられた。交際していた40歳代の韓国軍少佐を中国に誘い出し、北朝鮮工作員に引き入れることも命じられた。(「ヨプ」は火へんに「華」)

 しかし、元被告はこうした任務を果たすことができず、保衛部から「おまえが実行できないなら、別の工作員にやらせる」などと叱責(しっせき)され、次第に追い詰められていった。自宅マンションの玄関にカギを4個付け、3年前から精神安定剤の服用も欠かせなくなった。元被告は調べに対し、「指令を守れなかった報復で殺害されることを恐れていた」と供述している。

 元被告は今年7月、日本にいる脱北者の居場所を突き止められないまま、渡航先の日本から韓国に戻った後、逮捕された。保衛部からの指令などをすぐに自白し、「逮捕されて良かった」と漏らしたという。

最終更新:8月29日3時5分

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