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2008.08.29 23:22 |  診療  |  こどもの精神科  |  発達障害  |  NINA  | 推薦数 : 0

診断,ついたらどうしよう?

またまた受診についての続きです。

今日は3.こどもさんに実際に診断がつくことが不安,という場合。

診断名=病名がつくことに抵抗がある,という親御さんは多くいらっしゃるのではないでしょうか。
これは当然のご心配だろうと思います。我が子に病名がつくなんて,我が子が「普通じゃない」なんて…と思われる親御さんのお気持ち,とても想像できます。
精神科で医師から診断名を下されることは,「精神の病だ」「精神が異常だ」と言われたも同然じゃないか,という思いもおありかもしれません。

でも。
少なくとも発達障害に関しては,「異常」だから診断名をお伝えする,というわけではありません。
こどもが大人になる過程で伸びていく能力には,さまざまな種類があります。
ことばの力,周囲のことを理解する力,他者とコミュニケーションをはかる力,手先を器用に操る力,大切なことに注意を集中する力,などなど。
これらのたくさんの力が年齢に合わせてみんな同じペースで育っていくのが理想的ですが,人間誰しも早く成長する部分とゆっくり成長する部分が混ざり合っているもの。
いろんな力の育つペースに大きなバラつきがあると,学校のような大きな集団のなかでみんな一斉に受ける形の教育では勉強が思うように身につかなかったり,うまく友達関係が築けなかったり。

学習や対人関係にしんどさを感じることそのものもつらいことですが,その状態が長く続くと,失敗する体験(挫折)や努力が報われない虚しさ(無力感)の経験が繰り返されたり,クラスでのいじめや無視などの体験を重ねることになったりするうちに,「自分には何かをやり遂げる力がある」とか「自分は大切な存在だ」とか思えなくなってしまう…。
自己効力感や自尊心を失ってしまうこと,それは本当に悲しいことです。

そうなる前に,こどもさんの発達にバラつきがある(つまり,発達障害がある)ということを確認して,さらにそれはどのような発達のアンバランスであるのかも確かめて,そこからこどもさんにとって必要な支援を受けられる態勢を整えていきましょう,というのが診断をする意義だと思うのです。

発達障害の診断がつくということは,それが誰のせいでもないことが明らかになることでもあります。
こどもさん本人が怠けているわけでもない,お母さんやお父さんの育て方が間違っていたわけでもない。
おそらくはこどもさんがもって生まれてきた特徴なのです。
だから,誰かを責めたり自分を責めたりせずに,みんなで力を合わせて今から始められることをひとつひとつやっていけばいい。
得意な部分を伸ばしながら,苦手な部分を補いながら,大人になるまでにバランスを整えながら発達・成長していけばいい。
そのための診断だと私は思っています。

…長々と書いていますが,受診に対する不安や疑問の解消に少しはお役に立てているでしょうか。

診断がついたらどうすればいいのか,という話は後日に続きます。

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なかのひと

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