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 「激震 改正薬事法」 大衆薬“開戦前夜”
■流通大手…人材確保と提携で参戦準備
■ドラッグストア…体力増強と新規事業で守り
FujiSankei Business i. 2008/8/28

改正薬事法施行で、薬剤師がいないと販売できなかった風邪薬などがスーパーでも販売できるようになる
改正薬事法施行で、薬剤師がいないと販売できなかった風邪薬などがスーパーでも販売できるようになる
 
 来年4月の改正薬事法の施行で、スーパーやコンビニでもかぜ薬などの大衆薬が販売できるようになる。流通大手は絶好の商機ととらえ、人材確保や提携で攻勢をかける。これまで大衆薬の定価販売で稼いできたドラッグストアは、大資本のスーパーと24時間営業のコンビニの参戦に備えを固める。大衆薬メーカーは販路拡大に期待する一方、製品の表示変更など対応に追われている。市場規模1兆円といわれる大衆薬市場は早くも“開戦前夜”の様相だ。(田村龍彦、滝川麻衣子)

 ◆電光石火

 関係業界を、激震の予兆と驚愕(きょうがく)させたのが、セブン&アイ・ホールディングスと調剤薬局最大手のアインファーマシーズが今月5日に合意した資本・業務提携だ。

 アインは1月にドラッグストア大手のCFSコーポレーションとの経営統合をCFS筆頭株主のイオンに阻止されたばかりで、“電光石火”の変わり身をみせは、危機感の表れでもある。

 グループにドラッグストア事業を持たないセブン&アイの村田紀敏社長は「グループのインフラとアインの専門性を組み合わせることで新しい可能性が出てくる」と大きな期待を寄せる。

 両社は調剤薬局とコンビニの共同出店のほか、大衆薬の販売に必要な「登録販売者」の人材確保でも協力する。

 セブンのライバルのイオンは、21日の持ち株会社体制移行の際に、ドラッグストア事業を独立させ、「成長分野の一つ」(幹部)と位置付けた。

 スーパーでの大衆薬販売に向け、登録者の確保など準備を進める一方で、グループ内で競合相手となってしまうドラッグストア事業の強化に余念がない。

 傘下のドラッグストア連合である「イオン・ウエルシア・ストアーズ」に加え、統合を阻止したCFSとの関係を強化し、プライベートブラン(PB)商品の共通化や人材育成を加速させる考えだ。さらに今月に入り、京都を地盤とするシミズ薬品の株式を約30%取得し、手薄だった関西エリアを強化するなど得意のM&A(合併・買収)も駆使している。

 深夜でも薬が手に入るようになる24時間営業が強みのコンビニでは、ファミリーマートが一部店舗で大衆薬を販売することを決め、登録販売者の養成に乗り出している。家電量販店のヤマダ電機やホームセンターのカインズも、販売準備を進めており、業態の垣根を越えた競争の激化は必至だ。

 ◆身売り話

 大衆薬市場のうち約7割の販売を占めるドラッグストア業界は、防戦に懸命だ。

 これまでは日用品や食品を安値販売しスーパーから顧客を奪う一方で、薬剤師の配置という規制がある医薬品を定価で販売し収益を上げてきた。しかし、流通大手が規模のメリットを生かし、大衆薬の値引き販売を仕掛けてくるのは確実で、逆に顧客を奪われる危機に直面している。

 マツモトキヨシホールディングスが9月末に医薬品卸の茂木薬品商会を完全子会社化するのも、価格競争力を強化するのが狙いだ。「異業種だけでなく、メーカーと直取引する外資の参入も想定し、グループとしての流通体制を整える」(同社)と備えを固める。

 年内には化粧品を中心とした新業態店もオープン。“マツヨキ”のイメージを排し美容カウンセリングを提供するなどで20〜40代の女性を取り込み、「多業態展開」で生き残りを目指す。

 中部地盤のスギ薬局は、9月にM&Aで機動的な対応が可能な持ち株会社に移行。さらに薬剤師と看護師を派遣し在宅治療患者をケアする事業に力を入れるなど、新たなビジネスに活路を見いだそうとしている。

 ただ、これまで拡大を続けてきたドラッグストア業界は、店舗過剰で成長が鈍化している。大手のツルハホールディングスが7月に中小のスパークを完全子会社化したほか、流通大手には「身売り話が次々と持ち込まれている」(幹部)という。業界の再編・淘汰(とうた)は必至だ。

                   ◇

 ≪大衆薬メーカー≫

 ■表示変更で“返品騒動”も

 大衆薬メーカーは、改正薬事法施行を「販路拡大によるまたとない商機」と位置づけ、期待をかけてきた。ただ、規制緩和に対応したパッケージの表示変更に伴う返品などの混乱に加え、販売に必要な「登録販売者」の養成に時間がかかることから、「市場拡大効果は未知数」と疑問視する声も出始めている。

 改正薬事法は、薬局などで販売できる一般医薬品を成分や効き目に応じて、「第1類」「第2類」「第3分類」の3段階に分類。すべての製品にこの分類を表示する必要がある。

 厚生労働省は周知徹底期間を設ける目的もあり、9月から新表示の製品販売を認めている。メーカーは「改正法施行で、旧表示のものがすべて返品されることになったら大損害」と、新表示への移行を急いでいる。

 ただ、業界では「施行までに売りさばけない回転の遅い商品もある。中身は一緒でも、詰め替えて売るわけにいかない」(関係者)と、早くも“返品騒動”を危惧(きぐ)する声も上がる。

 もう一つの懸念材料が、規制緩和の条件として新たに設けられた「販売登録者」だ。資格取得には、「医薬品販売の実務経験1年以上」というハードルが設けられている。このため、「コンビニやスーパーが受験資格を満たす人材確保するには時間がかかる。改正法施行後に、すぐに売れるようになるとは思えない」(大手メーカー)との冷静な声が聞かれる。

 また、「1週間や数日の販売動向で商品を入れ替えるコンビニの手法には対応できない」(同)との見方も出ている。

                   ◇

【用語解説】改正薬事法

 06年6月成立、09年4月から施行予定。薬局、薬店で販売できる一般医薬品を、医療用医薬品成分が含まれる「第1類」、風邪薬や解熱鎮痛剤などの「第2類」、整腸剤などの「第3類」に分類。第2と第3について、薬剤師がいなくても、都道府県が新たに実施する試験に合格した「登録販売者」を配置すれば販売できるようになる。99年に栄養ドリンクなどの医薬部外品、04年に整腸剤やビタミン剤が薬剤師がいなくても販売できるようになるなど、徐々に規制が緩和されてきた。

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