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【政治】

民主、攻勢へ痛手 渡辺氏ら3氏離党

2008年8月29日 07時08分

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 民主党参院議員三人の離党劇は、九月の党代表選で無投票三選が確実となり、衆院選へ臨戦態勢を強めていた小沢一郎代表らに冷や水を浴びせた。衆参で多数を握る政党が異なる「ねじれ国会」に大きな変化はないものの、民主党が主導する参院運営にも影を落としそうだ。

  (竹内洋一)

 菅直人代表代行は二十八日の記者会見で、離党届を出した渡辺秀央、大江康弘両氏が比例代表の個人名の得票が当選者で最下位レベルだったことを指摘し、「議員辞職するのが政治家としての国民に対する責任、義務だ」と批判した。

 両氏が採決で造反を繰り返してきた経緯もあり、党内では「離党は織り込み済み。影響はない」(幹部)との声が大勢。だが、多数を握っている参院での国会運営に影響が出る可能性もある。

 国民新党と統一会派を組む参院の民主党会派は現在百二十議席。三人が離脱すれば百十七議席となり、過半数の百二十一を確保するには、共産党か社民党の協力が欠かせない。

 先の通常国会では、共産党だけでなく、統一会派の国民新党とも足並みが乱れたことがあった。野党間の連携をより緊密にしなければ、政府法案の否決や民主党法案の可決はままならなくなる。

 新党に参加する荒井広幸氏はすでに自民党会派に入っているが、新党が与党に協力した場合、与党は過半数まで残り十二議席。民主党からさらに六人がこぼれると過半数を回復し、民主党と立場が逆転する計算だ。

 また、民主党にとっては、次期衆院選を控え、「イメージが悪い」(参院幹部)のも事実だ。小沢氏は二十八日、代表選出馬の意向を表明し、衆院選マニフェスト作成や公認候補発表の準備を加速させていた。それに合わせるように起きた離党劇は、結束のほころびを国民に印象づけることにもなりかねない。

 一方、自民党にとっては、苦汁を飲まされてきた参院での過半数回復に向け、民主党議員に対する水面下での切り崩し工作がようやく実った形だ。尾辻秀久参院議員会長は二十八日、記者団に「いろいろな動きがあるのは承知していた」と、三人と接触があったことをにじませた。

 自民党内からは、三人の離党劇について「これが第一弾とかいう、うわさもある」と不敵な声も漏れており、民主党は過去に造反したことがある参院議員に対する引き締めを強めている。

 <新党結成の規定> 政治資金規正法上の政党要件は(1)国会議員が5人以上所属する(2)直近の衆院選または参院選で、選挙区か比例代表の選挙で有効投票総数の2%以上の得票がある−のいずれかを満たすことが前提。公職選挙法にも同様の規定がある。政見放送を利用でき、はがきやビラの配布枚数で優遇される。国会法は衆参両院の比例代表選出の議員が選挙で戦った相手の政党に移動することを禁じているが、新党への参加は可能だ。

(東京新聞)

 

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