菜の花畑でほほ笑む少女
農作業を手伝う少女
サツマイモを収穫する少年
アフガニスタンで死亡した伊藤和也さん(31)は、現地で多くの写真を撮影した。大干ばつで荒野と化していた地に、自身が育てた緑が広がり、子供たちが笑う風景が写っている。4年8カ月の間に、志は着実に成果を上げていた。
菜の花畑で戯れる少女、大きく育ったサツマイモを手に笑みを浮かべる少年。伊藤さんが赴任した04年1月にはなかった姿だ。
アフガニスタンは旧ソ連の侵攻、タリバーンの台頭、米国を中心とした空爆とテロ掃討作戦と、大干ばつによって国土が荒廃していた。20年以上前から医療活動をしていたペシャワール会は、飢餓を防ぐために食料確保を優先させ、井戸を掘り、用水路を築いて田畑を復興した。伊藤さんは作物を実らせる農業支援を担当した。
会が公開した300枚を超える写真は、伊藤さんが昨年7月の一時帰国の際に持ち帰っていた。作物の生育状況を記録するために写していたが、現地の人たちとの温かな交流を思わせる姿が残っていた。
アフガニスタンでは、外国人が現地の子供や女性の写真を勝手に撮影すると、家族が怒ってトラブルになることが多いという。会の福元満治事務局長は「こういった写真を撮れた彼は現地の人たちに親しまれていた。今の状況で見るのはつらい」と目を潤ませた。